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地獄界編③

現世・ヒミコ邸地下室


「あらあら……」

鏡面モニターに映る羅夢の変化にヒミコが銀髪をかき上げた。碧眼が闇を孕んで光る。

「まさかあの鬼女まで時雄くんに執着するとはね」

かぐやがモニターを凝視しながら詰め寄る。

「ヒミコ様!止めないんですか?」

「止めないわよ。彼の運命を決めるのは彼自身」ヒミコが立ち上がり鏡面に手をかざす。

「ただね、転生輪廻の力って簡単に言うけどその能力って最上級レベルよ、私はもちろんの事ピースメーカーの彼でさえまだ到達していない力。生命や死を司る能力の上位互換に創造と破壊の能力がありさらにその上の能力よ。気が遠くなる程の試練が待ってるわ」



羅夢は壁にぴったりと身を寄せると、艶やかな黒髪が水晶越しに蠢いた。

「いいわ。ただし条件は二つ。第一に**百年以内**に達成すること。地獄の時間でね」

「百年……!?」時雄が顔を上げる。

「鬼にとっては瞬き程度よ」羅夢が嘲笑う。「第二に、もし失敗したら**私を…そのー…あなたのパートナーにしてほしい。神人の伴侶候補ならこの地獄の統括者だってここから出る事を許可してくれるはず**」


## 地獄の取引


羅夢の言葉に時雄は凍りついた。百年?地獄の時間で百年……神人での百年はあっという間だ。しかも地獄での100年は人間世界で10年程度。あまりにも短すぎる。

「冗談じゃない!いくらなんでも短すぎる!」


「悪い条件じゃないと思うけど。失敗したらこの体はあなたの物よ。それとも……私の体はお気に召さなかった?」


## 封印内の選択


羅夢の翡翠色の瞳が水晶壁越しに絡みつく。時雄は拳を固く握り締めた。

「パートナーだと……? 本気なのか?」

「ええ。神人と契りを結んだ鬼は特別な地位を得られるわ」羅夢がくるりと回りながら壁際に立つ。タイトな黒装束が妖艶に揺れた。「私となら……地獄の深部まで案内してあげる。転生能力習得に必要な情報も提供できるわ」


現世・ヒミコ邸地下室


「あらあら……」

ヒミコが紅茶カップを置いた。碧眼が鋭く光る。

「あの鬼女、なかなか賢いわね。時雄くんに地獄を有利に進めさせる道を選んだわ」

かぐやが両手を組んだ。

「でも……百年って早すぎませんか?転生能力なんて最上級の力なのに」

「だからこそよ。期間限定でプレッシャーを与えつつ……」

ヒミコが不気味な笑みを浮かべる。

「失敗すれば肉体関係で彼を支配できる。さすがは鬼ね」


血の池地獄・封印内部


羅夢が水晶壁に近づいた。吐息が白い靄を作り出す。

「考えてみるといいわ。私の体を好きにする権利よ?」彼女の指が壁を這い回る。その動きは明らかに挑発的だ。

「この地獄で退屈してるの。あなたのスケベな視線……悪くなかったわ」

「……」時雄は俯いた。金棒の柄を握る手に力がこもる。

(羅夢の誘惑に負けるわけにはいかない)


決意を固めた時雄が顔を上げた。

「わかった。だが百年は無理だ。少なくともその十倍の千年で転生能力を獲得する」


羅夢の翡翠色の瞳が大きく見開かれた。長い黒髪が水晶壁で踊る。

「千年ですって?冗談でしょ!」彼女の嘲笑が狭い空間に響いた。「転生能力は神々でもほんの一握りしか持たぬ力。それを千年で?人間如きが……!」

「それでもやる」

時雄が水晶壁に額を押しつけた。革ジャンの襟元が擦れ、埃が舞う。

「お前を傷つけたくないんだ。それに……」

かぐやの顔が脳裏に浮かんだ。

「約束した相手がいる。彼女のところに帰らなければならない」


現世・ヒミコ邸地下室


「わかった!」かぐやが両手を胸元で握りしめた。「時雄さんは私を守ろうとしてるんですね」

ヒミコが椅子を回転させながら微笑む。

「それだけじゃないわ。彼が本当に欲しいのは」

碧眼が鋭く光った。

「転生能力そのものではなく……あなたの元に戻る手段なのよ」


血の池地獄・封印内部


羅夢の笑い声が止まった。彼女は一歩下がり、腕を組む。鬼の鋭い爪が黒装束に食い込んだ。

「ふぅん……本気なのね」彼女の翡翠色の瞳が細くなる。「ならば千年で達成できなかった場合……」

突然彼女が壁に飛びついた。柔らかな体が水晶面に押し付けられ、豊かな胸の形がくっきりと浮かぶ。

「私の全てを差し出しても構わないわ。その時はよろしくね♡ダーリン♡」

「しかしその前にここから抜け出すことが先決だな。こんなところで時間食ってる場合じゃないぞ」

「そうね。でも約束はそこから出てからでいいけどはやくなんとかしなさいね」

「なんとかって言われても…」

現世・ヒミコ邸地下室

突然辺りが光につつまれイザナミ登場

「と、突然どうしたのですか?こんな場所に?」とヒミコはびっくりして戸惑いを隠せない

「え?イザナミ様」かぐやも驚きを隠せない。だがすぐに気をとりもどし

「時雄さんを懲罰棒から出してやってください。お願いします。」と必死に懇願する

「わかっておる。そのための準備をするためにここへ来たんじゃからな」

「準備?」

「そうだ、時雄とやらは散々地獄で暴れまくってくれ、わしの鬼達を浄化して転生させおった。その罰を与えたのだ」

「しかし、今は羅夢という小娘のおかげで勝手な浄化がいかにルール違反になるのか解ったはずだ。あそこで小娘のいう通りに殺すことを約束しなかったのは良い判断だ。そんな勝手な約束をしてたらもうしばらく懲罰房暮らしが続くところだ。ただこれから先、調子に乗ることも度々あることだろう。そこでかぐや、お前に彼が暴走しそうになったら止めてくれることを条件にあの小僧を出してやろうと思うがどうだ?」


## 地獄の檻と約束の鎖


「私が……時雄さんのブレーキ役ですか?」

かぐやの声が震えた。漆黒の着物の袖をぎゅっと握りしめる。


イザナミは炎をまとった腕を組み、重々しく頷いた。

「左様。あの男の神力は強大すぎる。かつてのように無邪気に暴れさせれば……地獄そのものが崩壊しかねん」

彼女の金色の瞳がかぐやを見据える。

「汝なら可能なはずじゃ。魂の共鳴が見えるぞ」


鏡面モニターには相変わらず血の池地獄が映し出されている。封印結界内で腕組みする時雄の背中に、羅夢が絡みつくように身を寄せる姿が見えた。


「ヒミコ様……」かぐやが振り返る。「私にできるでしょうか?」


「できるわ」ヒミコが銀髪をなびかせながら立ち上がる。「ただし条件がある」

彼女の指先が水晶玉のように輝いた。

「条件?」

かぐやの眉が寄る。ヒミコの指先が発する蒼い光が室内を照らし出す。


「簡単なことよ」ヒミコの唇が弧を描く。「あなたに時雄くん専用の"抑制装置"を埋め込む。神力を感知すると自動的に発動する護符の一種」

「それなら安心じゃ」イザナミが頷く。


「ちょっと待ってください!」かぐやが両手を広げた。「抑制装置って何ですか?まるでペットみたいな扱いじゃないですか!」

漆黒の瞳が潤んで見上げる。まるで捨てられた仔犬のようだ。


「まあまあ」ヒミコが人差し指を立てた。「可愛い子猫ちゃんに鈴をつけるようなものよ。時雄くんが暴走しそうになったら……」

「『閉じろ懲罰房!』て言うと時雄くんは再び懲罰房に閉じ込められるから。しかもこの懲罰房はかぐやちゃんの力すなわち時雄君自身の力で強制的に作られるから今後時雄君がどんなに神人力が上がったとしても絶対に破壊することはできないから安心よ♡」


「『閉じろ懲罰房』……?」

かぐやが呆然と復唱した。漆黒の着物の裾が微かに揺れる。


「そう」ヒミコが紅茶をひと口啜る。「あなたの言霊は強力よ。神人が暴走した際の最終手段として最高ね」


かぐやの指が着物の襟を固く握りしめる。脳裏によみがえるのは神田明神で交わした約束──


「私は……」

深呼吸で震えを抑え込む。

「時雄さんが傷つくのを止められます」


ヒミコが軽く拍手した。

「素晴らしい!では早速儀式を始めましょ」


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