剣と魔法の世界編⑭
ちなみに『月の女神』は表向きは普通のギルドだが裏の顔もありそれは冒険者の育成施設という面を持ち合わせており中には高ランクの冒険者も多く在籍しておりガイルはその中のトップクラスに位置付けされている。
その他にも多くの有能な人材が集まっているのだ。
またこのイベントは王国だけでなく隣国の貴族にも通知され多数の応募があったらしい。
さらに大会のスポンサーとして王都最大の商会が協賛し資金面でも大きなバックアップを受けているとのこと。
ちなみに大会運営の費用は全て当該ギルドで負担している為、出場者の懐事情も潤うという仕組みになっている。
なお、敗者は即刻退場となるため負けたらそこで終わりになる。
時は流れ、大会当日を迎えた。
会場には既に多くの観客が押し寄せている。
司会者:「皆様お待たせ致しました!只今より史上最大のトーナメント大会を開催致します!」
司会者の宣言と共に盛大なファンファーレが響き渡る。
観客達は大盛り上がりである。
司会者:「それでは早速一回戦を始めたいと思います!」
司会者が右手を挙げると中央の舞台にスポットライトが当たった。そこに佇んでいるのは白いローブを着た少年であった。
彼の名はシオンと言い、若くして一流の魔導士として名高い人物だ。
時雄:「いよいよ始まるぜ!」
ガイル:「落ち着け。俺たちの番はまだ先だぞ」
クエンリー:「うるせえ!落ち着いてられるかってんだ!」
アリーシャ:「もう、早く静かにしてよ」
そうこうしているうちに第一試合が始まったようだ。
司会者:「東側からはあの若き天才魔道士ことシオン選手!」
歓声が上がる。中には黄色い声援もあるようだ。
対する西側からは月の女神からの出場者の魔導士女性Aだ!
マミ:「私は魔導士最強トーナメントで優勝を目指しています!皆さんの応援よろしくお願いします!!」
そう言うと彼女は杖を構え、魔法陣を展開し始めた。
シオン:「ふっ、所詮は素人だな。少し遊んでやるか、貴様、名前は?」
マミ:「私は『月の女神』所属のマミです。以後お見知りおきを」
シオン:「いいだろう、全力でお相手しよう」
マミは呪文を唱える。
「ルイン・グラビトン!」
重力操作系の魔法でシオンを圧殺しようとしたが失敗に終わった。何故ならシオンには効かないからだ。
シオン:「残念だったな、お前程度の実力では到底及ばない相手だ」
マミ:「そう……ならこれはどうかしら!ホーリー・バスター!」
今度は聖属性の砲撃を繰り出した。しかしこれも防がれてしまう。
シオン:「もう終わりか?」
マミ:「ええ、どうやら私の力不足だったようです」
シオン:「ならば潔く負けを認めろ」
マミ:「いいえ、まだです!私は最後まで諦めません」
彼女は再び立ち上がり、新たに呪文を唱えた。「フレイムストーム!」
巨大な火柱が立ち昇り、その中心から渦巻くように広がっていく。熱風が吹き荒れ、周囲の物すべてを焼き尽くしていく。
シオン:「愚かな奴だ。勝てないと知っていながら抗うとは」
彼は右手を天に掲げると空から黒雲が生まれ、雷鳴が轟く。
シオン:「これで終わりにしてやろう」
司会者:「おおっとぉー!ここでまさかの大逆転劇が起こりましたぁー!!シオン選手が得意の暗黒魔法を放ちました!」
アナウンスが入る。
観客達のテンションも上がり始めた。
シオン:「消えろ」
彼が指を鳴らすと、天空に禍々しい球体が生成され落下してくる。
その大きさは半径五十メートルにも及び、まさに災厄といった光景だ。
シオン:「冥土の土産に名前だけでも教えてやる。我が名は闇の皇子にして魔王軍四天王の一人、不死鳥の騎士団副団長、ブラッド・グレモリー様だ!」
司会者:「なんと!あの伝説の勇者パーティーの一員だったブラッド選手ではないか!これは面白いことになってきたぞ!」
司会者も興奮気味だ。
観客も大盛り上がりだ。
観客A:「すげぇな!あいつがあのブラッドかよ!」
観客B:「マジか!伝説の英雄様じゃん!」
観客C:「信じられねーぜ!」
観客D:「俺達も頑張ればあんなふうに強くなれるかも!?」
観客E:「そうだな!やってみようぜ!」
観客F:「私達も負けてられないわ!」
観客G:「私たちも行きましょう!」
一方、試合中の二人はというと……
マミ:「嘘でしょ……私の魔力を越えるなんて……」
彼女の足元には無数のクレーターができていた。あれほどあったはずの魔力が消えてしまっているのだ。
シオン:「フッ、愚かな娘だ。自分の限界すら理解できないとは」
マミ:「黙りなさい!まだ私は終わっていないわ!」
シオン:「まだ抵抗するつもりなのか?」
マミ:「当たり前じゃない!私には守るべき者達がいるんだから!」
シオン:「そうか。ならば貴様に特別な技を見せてやろう」
シオンは右手を前に突き出した。
すると、空間が歪み、裂け目ができる。
そしてそこから巨大な蛇のような怪物が現れた。全長数十メートルもありそうな巨躯を持っている。
口の中には鋭い牙が生えており、舌は二股に分かれている。
赤い瞳からは強烈な威圧感を感じる。
マミ:「何、あれ……」
シオン:「我が配下にして最強の魔物の一体、世界蛇ヨルムンガルドだ」
ヨルムンガルドは咆哮を上げた後、動き出した。大地を震わせるような足取りで近づいて来る。
マミ:「…さすがにお手上げね。降参します」
司会者:「おおっと!ここでマミ選手降参宣言!よって勝者はシオン選手になりました!」
観客達は割れんばかりの拍手喝采を送った。
時雄:「すっげぇ迫力だったな」
ガイル:「全くだ。あれだけの魔法を使いこなすとは流石は最強の魔導士と言ったところだな」
クエンリー:「おい、次は俺達の番だぜ!早く行こうぜ!」
アリーシャ:「ちょっと、落ち着きなさいよ。まだ時間あるんだから」
そう言いつつ、時雄達四人は控え室へと移動していく。
控え室では他の選手達が待機していた。
その中には見知った顔もあり、手を振ってくる。
クエンリー:「おう!久しぶりだな」
相手も手を振り返す。彼女の名はエリーゼといって、『月の女神』に所属している上級魔導士だ。小柄でポニーテールをしたかわいい子でギルド内でも人気のある方だ。
ガイル:「エリーゼじゃないか、久々だな」
クエンリー:「よお、元気そうだな」
エリーゼ:「ええ、あんた達もね。相変わらず馬鹿やってんでしょうけど」
アリーシャ:「ねえ、あの人がクエンリー次の対戦相手なんでしょ?勝てる自信ある?」
エリーゼ「もちろんよ!私がこんな脳筋野郎に負けるわけないでしょ!」
クエンリー:「おーい、聞こえてるぞー。誰が脳筋野郎だって?俺はなあ、こう見えても頭が良いんだぞ!」
ガイル:「ああ、こいつは馬鹿だぜ!」
エリーゼ:「ウフフ、そうね。この間もアリーシャを攫われたんだって?考えなしに動くからよ。」
ガイル:「そうだな、こいつは昔から何も考えてない奴だからな」
クエンリー:「てめーら!何てこと言いやがる!」
アリーシャ:「まあまあ、落ち着きなさいよ」
エリーゼ:「ふふっ、冗談よ。あんたはいい加減学習しなさいって」
ガイル:「まったく、こいつはほんとうに脳筋馬鹿だぜ!」
クエンリー:「なんだと!もう一度言ってみろ!エリーゼなんざ小指でチョンだぜ!」
アリーシャ:「やめなさいってば。これから戦うのに喧嘩売っちゃダメでしょ」
ガイル:「そうだな。こいつの事は放っとけばいい」
エリーゼ「だったら何か賭ける?自信がないなら別にいいけど」
クエンリー:「はあ?何をだよ?」
エリーゼ:「あなたがもし私に勝ったらあなたのお嫁さんになったあげるわよ」
クエンリー「なんだと!それを早く言え!じゃあ俺が負けたらどうすんだ?まあ、負けんけど。」
エリーゼ:「もしも私が勝ったら私をお嫁に貰ってね♡」
クエンリー:「……は?」
エリーゼ:「だから、私をあんたのものにして欲しいの♡」
クエンリー:「ええっ?ちょっと待てって……どういうことだ???」
エリーゼ:「もうっ、鈍感ね!あんたが好きだってことよ!」
クエンリー:「えええぇぇぇ!!!」
エリーゼ:「だから私を恋人にして欲しいのよ!わかった?」
クエンリー:「いや、全然分からない!」
エリーゼ:「もういいわ!とにかく私と付き合ってもらうからね!」
クエンリー:「いきなり何言ってんだお前?意味不明だぞ」
エリーゼ:「いいから黙って聞きなさい!」
エリーゼはクエンリーを押し倒した。「私をあんたのお嫁にして!」
クエンリー:「えええぇぇぇぇぇ!?」
エリーゼ:「あんたは私のことをどう思っているのよ?」
クエンリー:「そりゃ好きだよ」
エリーゼ:「じゃあ付き合うことに異論はないわね?」
クエンリー:「ああ、いいぜ」
エリーゼ:「それじゃ決まりね!」
クエンリー:「で、これで良いのか?」
エリーゼ:「ええ、問題ないわ」
クエンリー:「そうか……」
時雄:「よかったじゃないか!末永くお幸せにな」
クエンリー:「おう!」
ガイル:「全くお前って奴は……呆れるほど馬鹿だな」
アリーシャ:「ホントね。でもよかったわ」
エリーゼ:「あんたたちも祝福してくれるのね」
アリーシャ:「当然よ!」
エリーゼ:「ありがとう!」
時雄:「さて、そろそろ行こうぜ」
クエンリー:「そうだな」
アリーシャ:「そうね」
ガイル:「おう!」
時雄達は観客席に戻って来た。
司会者:「さあ、次の試合の時間となりました!第二試合は『月の女神』所属の魔法剣士クエンリー選手VS同じく『月の女神』所属の上級魔導士エリーゼ選手だ!」
観客達のボルテージが上がる。




