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剣と魔法の世界編④

姉妹は、アンナとエレナと言いこの街にある小さな薬屋の娘で普段は二人で店を切り盛りしているという。

妹のエレナは14歳の少女で背丈は俺と同じくらい。茶色の髪を後ろで束ねたポニーテールが特徴的だ。服装は薄緑色のワンピースドレスを着ている。

時雄:「よろしくお願いします」

かぐや:「よろしく」

二人は握手を交わした。

時雄:「それじゃあ早速出発しましょうか」

アンナ:「ええ、でもお兄さんは大丈夫なんですか?登録票を見させていただいた限りでは私達姉妹よりもレベルもスキルも下のようですが?お姉さんのお手伝いのような方という認識でよろしいのでしょうか?」


時雄:「ま、まぁ‥その‥……」

俺は恥ずかしさのあまり顔を赤らめた。それを見たかぐやは口元を手で覆い笑いを堪えていた。

かぐや:「別に構わないわ。それに戦闘は慣れているもの」


エレナ:「そ、そうなんですか?」

エレナは驚いていた。

時雄:「そうですね。剣術だけは得意ですから。それにいざとなったら守ってあげますよ」

時雄は胸を叩いた。

エレナ:「え、でも剣術もレベル1って書いてありましたけど」

時雄:「うっ……そ、それは……」

時雄は言葉を詰まらせた。

かぐや:「そうね。でも大丈夫よ。私が守るから」

エレナ:「あ、ありがとうございます」

エレナは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔を見た瞬間、胸がドキッとした。

俺は慌てて誤魔化すように咳払いをした。

時雄:「コホン……まあとにかく行きましょう」

こうして4人パーティーが組まれた。メンバーは、俺とかぐや、アンナとエレナの4人である。

目的地は東門から出てすぐの場所にある小さな村だった。徒歩で行くと丸一日かかる距離らしいが馬車だと半日もかからないらしい。

途中、何度か魔物との遭遇があったが問題なく撃退できた。

かぐや:「ふう……何とかなったわね」

アンナ:「そうですね。皆さんのおかげです。本当にありがとうございました」

エレナ:「お姉さまの言う通りです。お姉さまのお力は素晴らしいものでした。お兄さんは見栄を張ろうとばかりして足を引っ張ってたようでしたけど‥でもまたお願いしたいです。お金がないので奥の方の高価な薬草を取りに行きたいんですけど‥」

アンナ:「あの、勝手なお願いで申し訳ないんですけどお姉さんの強さをお借りしてもっと奥地へ高価な薬草を取りにつれて行ってもらえませんか?あの、お恥ずかしいですが護衛料は薬を売った代金でお払いいたしますので…」



時雄:「ああ、別に構わないよ。ただし条件がある。俺のことを『兄貴』と呼ぶこと。そして敬語を使うことだ」

アンナ:「お姉さんさえ護衛してくれるんでしたらいくらでもおよびいたします。かぐやお姉さんはそれでいいんですか?」


かぐや:「私は構わないわよ。それじゃあ行きましょうか」

アンナ:「え?これからすぐに?装備は大丈夫なんですか?二人とも丸腰なのに‥そんなワンピース姿で?」

他の冒険者は奥地へは重装備で向かうのに二人の軽装に驚きを隠せないでいる。それにかぐやさんと呼ばれる女性は特に何も持っていないのに……


かぐや:「ええ、大丈夫よ」


エレナ:「あの、本当に大丈夫なんですか?」

アンナ:「そうですよ。こんなに無防備で……」


かぐや:「心配してくれるのはありがたいけど私は問題ないわ。それに私の戦い方は特殊なのよ」


アンナ&エレナ:「特殊な戦い方?」


時雄:「そうなんだよな。俺にも良く分からないけど凄い技があるんだよな?」


かぐや:「ええ、まあね」

アンナ:「どんな技なんですか?」


時雄:「それは秘密だ。企業秘密ってやつさ」

アンナ:「……怪しいですね」

エレナ:「私も気になります!ぜひ教えてください!」

かぐや:「ダメよ。教えられないわ」

二人は残念そうな表情を浮かべた。


時雄:「まあそういうことでさっさと行こうぜ」

そう言いながら歩き出す俺達についてくるようにアンナとエレナも後を追いかけてきた。

しばらく歩いて森の奥深くに入った頃だった。

突然目の前に巨大な熊のようなモンスターが現れた。

グオーー!!

時雄:「うわっ!でっけー熊だ!」

かぐや:「時雄は絶対に手を出さないでね」


そう言ってかぐやは前に出る。

アンナ:「くっ……ここで戦うしかないようですね」

エレナ:「お姉ちゃん!怖いよぉ!」

エレナは泣きそうな顔をしながらアンナに抱きついている。

アンナ:「大丈夫よ。私が守ってあげるから」

アンナは妹を庇いながら前に出た。

アンナ:「私達二人で何とか倒しましょう」

アンナは覚悟を決めたように剣を抜いた。

時雄:「お、おい!無茶するな!俺がやるから下がってろ!」

時雄は慌てて止めに入る。


かぐや:「駄目よ。あなたはそこで見てるだけでいいから」

時雄:「でも……」

かぐや:「大丈夫だって言ってるでしょう?いいから大人しくしてなさい」

かぐやは有無を言わさず熊に突っ込んで行った。

そして次の瞬間、時雄達の目の前には信じられない光景が広がっていた。


熊が氷漬けにされていたのだ。


アンナ:「なっ、なんですか今の魔法は!?」

エレナ:「すごーい!」

姉妹は目を丸くしていた。

かぐや:「ふう……これで終わりね」

時雄:「どうだ!凄いだろ!」

アンナ:「どうして兄貴が威張るんですか?何にもしてないのに。」

かぐや:「お約束のセリフ言うなんてアホね」

時雄:「だってかっこつけたかったんだもん……」

俺は少し拗ねてしまった。

エレナ:「でも本当にすごかったです!ありがとうございます!」


アンナ:「本当に助かりました!ありがとうございます!」

時雄:「礼はいらねえよ。それよりさっさと先へ進もうぜ!しかしここで採取した薬草で何の薬を作るんだい?」


アンナ:「その前に奥の方から行くつもりですが途中の薬草でもかなりの値打ちがあるものが沢山ありますからね、帰りに採取する予定です。それと‥‥我々が作った薬は全て治癒ポーションになります」

時雄:「へぇ〜治癒ポーションかぁ。どんな効果があるんだ?」


アンナ:「傷を治したり毒を消したりできます。まあ一般的なものですね」

時雄:「ふーん……ってことはもしかして……」


アンナ:「はい……実はうちの家族はみんな冒険者なんです。父は腕利きの剣士でしたが事故で亡くなりました。母も同じく腕が良いんですが今はお店を手伝ってくれています。弟もいます。私と同じ冒険者になりたいと言っていました」

エレナ:「でもお父さんはもういないし、お母さんと三人暮らしになるから厳しいかなって思ってるんだよね~。あ、そうだ!お兄さん達も冒険者さんなの?」


時雄:「ああ、俺とかぐやは最近始めたばかりなんだけどな」

かぐや:「ええ、そうね」


アンナ:「そうなんですね。でもさっきの戦いは圧巻でした。かぐやさんみたいな人がパートナーさんだと兄貴も安心ですよね!」

エレナ:「お姉さんが戦闘担当で兄貴がギャグ担当っていいですよね」


かぐや:「……」


時雄:「はは……ハハハ……ハァ……」

時雄は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。


俺達はその後、更に森の奥へと進んでいった。時折現れるモンスターを倒しながら進んでいるうちにようやく目的地にたどり着いたようだ。

そこは大きな湖のほとりだった。

辺り一面に青い花畑が広がっている。

その中に一つだけ紅い花が咲いている。

時雄:「ここがゴール地点ってことなのか?」


かぐや:「多分そうでしょうね」

エレナ:「すごい綺麗な景色……ここには怪我を50%治せる中級治癒ポーションの薬草があるはず」


アンナ:「ええ、幻想的です」


時雄:「確かにこれは凄いな」


俺達はしばしその光景に見惚れていた。しかしいつまでもぼーっとしているわけにはいかないので仕事に戻ることにした。


アンナ:「それじゃあ早速採取しましょうか」

エレナ:「うん、早く終わらせて帰ろうよ~」

時雄:「おう!頑張ろうな!」

俺達は二手に分かれて作業を開始した。まずは簡単な手順で摘み取っていくことになった。しかしこれがなかなか難しいものであった。

茎を切り取ると根っこごと抜いてしまうため、注意が必要なのだ。失敗すれば貴重な薬草がダメになってしまうかもしれない。

そのため慎重に行う必要があった。

そうこうしているうちに太陽が傾き始めたため、一旦中断することになった。

時雄:「ふぅ……結構時間がかかったなぁ」

アンナ:「お疲れ様でした。おかげさまで必要な数だけ採れましたよ。これでやっとポーションを作れます」

エレナ:「お姉ちゃん!やったね!」

エレナは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねていた。

時雄:「良かったな!」

かぐや:「ええ、本当に良かったわ」

みんな笑顔になっている。その笑顔を見ているとこちらも幸せになってくる。


時雄:「よし!じゃあ帰ろうぜ!」


アンナ:「はい!帰りましょう!」

エレナ:「は~い!」

二人は元気よく返事をした。


俺達は来た道を引き返すことになった。


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