表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/26

三途の川

## 感情バレバレ! 魂共有コンビの大ピンチ

「もう……本当に反省してください」かぐやが深いため息をつく。その吐息すら甘美に感じてしまい時雄は頭を抱える。

(待て待て落ち着け! 相手は自分の魂の一部だぞ……つまり自分自身だ! 自分に欲情するなんてあり得ない! でも……あまりにも完璧な美貌なんだよなぁ……)


「考えれば考えるほど酷いですよ」かぐやがツンとした口調で続ける。「それにこの状態……すごく不潔な感じがするんですけど」

「そ、それだけは勘弁してくれ!」時雄が慌てて遮る。「俺だって混乱してるんだ。お前があまりにも魅力的すぎるから―」

「魅力的という評価は保留します」かぐやの表情が微かに和らいだ。「ただ、スケベな妄想だけは止めなければ。今の私たちは一心同体。あなたのネガティブな想念が試練の妨げになるのは明白ですから」

そういわれながら小屋を出るとなんと目の前に階段が出現している。

「階段があるが二人で入って大丈夫なのかな?」

階段を目の前にした時雄の不安そうな問いに対し、かぐやが即座に情報を出し始めた。

「それは可能です。魂が共有されているため同一人物とみなさますし、基本的に神人の進化したものは人数制限がありませんのでこの場合は私一人と認識されます」

「そうか、なら迷うこともあるまい。先へ進もう」

そういって二人は上り始めた。その道中に

「ここを上ると最初の世界です。それはランダムで設定されており実際にあるどこかの世界となります。それは地球と同じ宇宙の他の惑星、またはパラレルワールド、または六道輪廻などの世界に繋がっています。だから最初の世界は私は普通の人間だし時雄はまだ神人力が弱いので比較的安全な世界になることを願いましょう」かぐやが説明してくれた

## 漆黒の世界

ついに最初の世界に到着したが辺りは暗闇で覆われ夜空には月が…

「なんだあの月は?月に唇がありニンマリしてやがる。なんなんだこの気持ちの悪い世界は」と時雄はあせった。

するとかぐやは「データーによると異世界文化のあの世の入り口みたいですね。日本で例えるなら三途の川ってところです」

「試練世界レベルは本来なら最低レベルであるDレベルで幸運なのですが…」

「だったらとっととこんなところ抜け出そう!」と時雄は言ったが

「それは神人一人だった場合です。今回は人間である私を守りながらの試練となるのでAレベルに跳ね上がります。」

## 死後の世界で出会う怪異たち

「Aレベル……だと!?」時雄が青ざめて叫んだ。「冗談じゃない! 三途の川が難易度MAXってどういうことだよ!」

漆黒の夜空には巨大な月がぼんやりと浮かんでいた。よく見ると──中央に唇が蠢いている。歪んだ笑みを浮かべた口元から低い呻き声が漏れる。

**うぅ……ぅ……うぅ……**

「よく聞いてください。階段の場所は橋の向こう側です」とかぐやが無表情で指差す。その先には巨大な川が広がり、朽ちた木製の吊り橋が細々と架かっていた。その向こう岸はぼんやりと黄金色に光っている。

道中では無数の亡者たちが橋を渡ろうとしていた。水面から伸びる無数の巨大な水手が彼らを掴み、悲鳴とともに引きずり込む──まさに地獄絵図だ。

「ちょ、ちょっと待てよ!あれ渡るのかよ!?あの化け物共に捕まったらどうなるんだよ!?それよりも向こう側って完全な死の世界って事じゃ‥」時雄は後ずさる。

「おそらく肉体から魂が剥離し、永遠に彷徨うことになるかと思います。魂を喰らわれる可能性もあります」かぐやは淡々と分析する。

「向こう側へ行くということは人にとっては完全な死を意味しますが神人やその魂を宿してる私達にとってはどうということもありません」

「それに神人ならばDレベルと言ったのは時雄一人なら向こう岸まで空を飛んでいけばいいだけの話。だけど私は飛べないしあなたの今のレベルでは一緒に飛んで連れて行ってもらうのは不可能」

「え?俺って空飛べるの?」

「ええ、ただし私を担いでは無理というだけで…」と言われるやいなや少し宙に浮いて見せた。

「おお、本当に飛べる。ちょっと向こう岸までみてくるわ」と飛んでいこうとしたが

「待って」かぐやの叫ぶ声が聞こえかぐやの場所まで戻った。

「私をここに置いていかないで、周りを見て頂戴。鬼のような者や色情の亡者が私を狙っているのがわかるでしょ。今はあなたの神人のオーラのようなものであいつらは手を出せないでいるだけであなたがいなくなったら…」


かぐやの切実な叫びが夜気を切り裂いた。その声には明らかな恐怖が滲んでいた――普段の冷静沈着なロボットのような姿はどこにもない。


「え……!?」時雄が振り返ると、ゾッとする光景が広がっていた。


背後の森から、赤い目を爛々と光らせた鬼たちが這い出てきている。樹木のような巨躯に牛頭馬頭の顔を持つ異形だ。さらに川沿いでは色欲魔の亡者が、ねっとりとした笑みを浮かべて手招きしている。かぐやの華奢な身体は、彼らにとって極上の獲物に見えた。


「くそっ!」時雄が拳を握る。神人力が滲み出すと同時に、かぐやを庇うように立った。背中越しに彼女の微かな震えが伝わってくる。


> **(魂共有感覚)**

>

> 「怖い……時雄さんだけなら簡単なのに……私を守るために……こんな……」

>

> かぐやの思考が直接流れ込んできて時雄は息を飲んだ。肉体の繋がりだけでなく、感情さえ共有される。

「気にすんな」時雄は短く呟いた。「お前は俺自身なんだから」

「とりあえず一緒に飛べるか試してみるか」とかぐやを抱えて飛ぼうとしたがやはり今の力では二人分の重さは無理だった。

と、そのとき「キャー」とかぐやが悲鳴を発した

「どうした?」と時雄が尋ねると

かぐやの叫びが時雄の耳を劈いた。「いやらしい……私を抱えた時、ふしだらな事想像したでしょ!」


**(魂共有感覚)**

「信じられない……こんな非常時に……」

かぐやの思念が稲妻のように流れ込んできた。嫌悪と恐怖が渦巻き、時雄の胃が締め付けられる。

「ち……違うんだ!」時雄は弁解した。空中に浮かんだまま汗が滲む。周囲では腐臭漂う亡者たちが呻きながら近づいている。「考えてたのは……お前の安全だけだ!」

「嘘です!」かぐやの澄んだ声が震えていた。漆黒の着物の袖が翻る。「あの触れ方……あなたの意識層では『柔らかい感触』が鮮明に─」

「ただ、理性で必死に我慢して守ることに集中してた事も解るのでその辺は考慮できますけど」

(まいったな、必死に紳士的な態度を取っても自分自身には嘘つけないのがキツイ…)と時雄は思った。

「それにしても参ったな。何とか橋を渡るしかないか」

よく見ると橋を渡ってる亡者の中には水手の攻撃を蒸発させながら歩いてる人達もいた。

「あいつらなんで渡れてるんだ?あの力はいったい…」と時雄

「ああ、彼らは生前に善なる行いをした人達で私達よりはるかに高見の神によって守られてる人達ですね」とかぐや

「しかし俺たちは自力で突破しなきゃいけないと‥」

「そういうこと」とかぐや

「それに問題はそれだけではないの。もっと重要な事も…、だからすぐにでも渡りましょ。私の着物も微弱ながら神の力を宿ったみたいだし」

「重要な事って?」

「ないしょ、ウフフ♡」かぐやが赤らめた頬を押さえる。

「いや、リスクがあるならすべて知っておいた方がいい。教えてくれ」と時雄が詰め寄った。

「えっと、あなたや亡者には関係ない事なんだけど…」顔が真っ赤になり恥ずかしがっている


「えっと……」かぐやが漆黒の着物の袖を握りしめ俯く。「私は今は人間なので……あの……女性特有の……生理現象が起こると……」

「生理現象……?あっ!!」 と思ったと同時にビンタがとんできた。

「だから変な事を考えないで、今はまだ平気ですがいずれは…」と虚勢を張ってる様子

「早く渡らねば……もう時間がないのです!」

彼女の膝がぴくぴくと痙攣し始める。漆黒の着物の裾がわずかに持ち上がり、白い太ももが露わになった。

「おい!そんな状態で走れるのかよ!」

「神人力の結界を張り進むしか……どうにか……」

「解ったよ、どのみちそれしか手はなさそうだし、しかしどうやって作ればいいんだ?」

「作るのは簡単なはずです、念じればいいだけなので」

「わかった、やってみる」時雄は結界を念じたら結構簡単に出来上がった…がなんか形がおかしい、かぐやのシルエットのような形になっている

「……何これ?」

時雄が張った神人力結界は奇妙な形状だった。透明な膜がぐにゃりと歪み、まるでかぐやの身体をぴったりトレースした立体模型のようだ。曲線がくっきり浮かび上がり、黒い着物の下の輪郭すら透けて見える

「時雄さん、私の事ばかり考えすぎ、もう少し抑制して円形にして欲しい」とかぐや

「でも、時間が惜しいからもうこのまま行きましょ」と結界の中へ入り橋を渡り始めた。

いくつもの水手が襲ってくるがすべて今のところ蒸発させている、がかぐやはだんまりだ。

結界内の空間は狭く、かぐやの体温が背中に直に伝わる。神人力で形成されたドーム状の膜がゆらゆらと歪み、内部では呼吸するたびに二人の吐息が絡み合った。


(魂共有感覚)

> 「……近い」

> 「仕方ないだろ!これが最適解なんだ!」

> 「でも……背中の温もりが……変な気持ちに……」

> 「だから考えてる余裕はないんだよ!前方注意!」


水面から伸びる水手の攻撃は激しさを増していた。巨大な手が結界を叩き、衝撃で膜が波紋のように揺れる。そのたびにかぐやの小さな悲鳴が漏れた。


「大丈夫か?」

「ええ……でも……」彼女の膝が再び震え始める。漆黒の着物の帯が汗で湿り、腰回りに張り付く。「……限界かも」

「何がだ?」「……だから……トイレ!」最後の言葉は泣き出しそうな声だった。

時雄が振り向いた瞬間、かぐやの額に脂汗が滲んでいることに気づく。結界の表面を流れる水しぶきが彼女の頬を伝い、涙のように煌めいた。

(魂共有感覚)

> 「お願い……見ないで……」

> 「見るも何も……もう接触してるだろうが!」

> 「そうだけど……!」

> 「いや待て……妙案を思いついた!」

「かぐや、結界を縮小できるか?」

「え?でもそれじゃ攻撃に耐えきれな……」

「逆だ!もっと密着すれば密度が上がって防御力が増すはず!」時雄が強引に結界を絞る。二人の身体が吸い寄せられるように密着する。

「きゃっ……!」

かぐやの髪が時雄の首筋を擽り、柔らかい胸元が背中に押し付けられた。着物の布地越しにも伝わる鼓動──自分自身の鼓動とは異なるリズム。

「これで行ける!」

時雄が前方を見据える。結界の表面に金色の火花が散り始めた。水手の攻撃が接触するたびに激しい電光が走る。

「すごい……でも……」かぐやの声が弱々しくなった。「……お尻が……痛い」

「……っ!」

密着しすぎたせいでかぐやの臀部が時雄の腰骨に直撃していた。柔らかな弾力と冷たい着物の感触が背筋を貫く。

(魂共有感覚)

> 「やめて……集中できない……!」

> 「俺だって耐えてんだよ!前だけ見てろ!」

> 「無理だよぉ……もう……漏れちゃう……」

橋の終点が見えてきた。その時河原で一人の女性が手を振っているのが見えた。

「やっと、河原が見えてきた。ん?あれ?あの女性はまさか以前地球で暴れまわった雪女?」

「そうよ、その雪女いえその呼び方は失礼ね。ひみこ様よ、私を待ってるわ。あそこまで早く」

「よっしゃ」

橋の終わりが近づくにつれ、河原で手を振る女の姿がはっきりしてきた。銀髪が月光に溶けるように輝き、純白の衣が幽霊のようにたなびいている。その隣にあるのは朱塗りの鳥居のような門——現世と冥界を隔てる結界の出入り口に違いない。


「ヒミコ様〜!」かぐやの声が歓喜に弾けた瞬間、結界が崩れた。


**バシャンッ!**


水手たちが津波のように押し寄せる。時雄がかぐやを抱えて跳躍——寸でのところで鳥居内へ滑り込んだ。


「ふう……」

砂利道に尻もちをつく二人。結界が消滅し、神力が消耗したのか全身が鉛のように重い。

「おつかれさま」

涼やかな声と共に銀髪の美女が舞い降りてきた。長い睫毛が影を落とす眼差しは慈愛に満ちている——が、口元にはいたずらっぽい微笑。


「ヒミコ様……私…」かぐやが真っ赤になって下腹部を押さえた。

「大丈夫。浄化してあげる」

ヒミコが掌をかざすと蒼い冷気が渦を巻く。氷の花弁が舞い踊り、かぐやの緊張が溶けていくのが見えた。

「ふわぁ……ありがと」かぐやはへたりこんだ。

「はじめましてヒミコ様、そしてありがとうございます。しかしなぜこの場所に?」


砂利道に崩れ落ちた時雄とかぐや。ヒミコの放つ冷気は氷の香りを漂わせながらも、不思議と心地よかった。

「ふう……生き延びた」

時雄が安堵の息をつく。だが視界に入るヒミコの姿に、思わず喉仏が上下した。

銀糸のような髪が月光に溶け、透き通る白い肌には血管が薄く浮かぶ。着物の合わせ目からは鎖骨と豊かな胸の谷間が覗き――

「またエロい事考えてるわよね?」

かぐやの冷たい視線が背中に突き刺さる。(魂共有感覚)

>「今のは不可抗力だろ!? 生き物として本能だ!」

>「本能なら尚更コントロールしなさい!」

「喧嘩してる場合?」

ヒミコがクスクス笑いながら二人に近づいた。ふわりと甘い香りが漂う。

「問題はここからよ。もう体力は戻ったでしょう?」

立ち上がったかぐやがヒミコに向き直る。漆黒の着物の裾が少し捲れ上がり、細い脚が露わになっていた。

「どうしてヒミコ様が? 私たちがここを通るのをご存じだったんですか?」

「ええ。"ここを統治する神"から託されたのよ、こんな聖なる場所で用を足されたら困ると。それにかぐやちゃんの「こんな場所で用を足すなんて死ぬほど嫌だ」っていう悲痛な叫びも聞こえたし」

「"統治する神"ですって?」時雄が眉をひそめる。「誰だよそれ」

「この場所は特別なのよ」ヒミコの指が虚空を撫でる。すると風が集まり、銀髪が生き物のようにうねった。「死者の魂が行き交う交通整理役みたいなものかしらね」

「交通整理役がそんなに強そうなんですか?」

かぐやの疑問にヒミコは嫣然と微笑んだ。

「強いだけじゃないわ。魂の穢れを見抜き、浄化する術を持っているの。例えば……」

ヒミコの視線がかぐやに向いた。

「貴方、さっき何かを漏らしかけたでしょう?それを未遂に抑えたのも私のお陰」

「……ありがとうございます」かぐやは羞恥と尊敬が入り混じった表情で俯いた。

「それで……何故我々を? まだ階段を探さねばなりませんが」

「焦らないの」ヒミコの手が扇のように開かれると、空間に霜が降りた。「階段はすぐそこに見えてるわ。でも貴方たちには準備が必要」

「準備って?」時雄が尋ねる、するとかぐやが困ったように言い出す

「ここに来る前に言ったことだけどここがAレベル難関て言ったの覚えてる?」

「ああ、それなら、お前がいるから難易度が上がって橋を渡るのが大変って事だろ?」

「いえ、ただ単に結界を張って渡るだけ位ならDレベルのままなの」

「単に結界を張って渡るだけならDレベル……ってことは?」

時雄が首をかしげる。ヒミコは妖艶な笑みを浮かべながら銀髪を指で梳いた。

「そうね」彼女の唇が三日月型に歪む。「ここから先は私が説明するわ」

「お願いします。私の口からはとても言いにくいので…」とかぐや、そしてヒミコが語り始めた

「本来なら時雄一人ならすぐに階段に行けて試練完了なんだけど……」

ヒミコの言葉がかぐやに向けられる。月光に縁取られた彼女の銀髪が微かに震えた。

「この先は普通の人間には行けないの。入った途端に浄化されてしまうわ」

時雄が息を飲む。

「じゃあ……かぐやはここで終わりか?」

「終わらない」かぐやが強く首を振った。「私と時雄さんは魂が繋がっている。どちらかが欠ければ──」

「その通り」

ヒミコの冷気をまとった手がかぐやの肩に乗る。漆黒の着物が霜を纏い、かぐやの肌が青白く光った。

「魂共有状態では片方が消えればもう一方も引きずられて消滅する。それが試練の"A難易度"の理由よ」

「つまり……」時雄が目を細める。「二人で同時に次の世界へ行く方法を考えろってことか?」

「察しがいいわね」

ヒミコの指が砂利を撫でると、霜が氷の道を作り始めた。

「方法は一つだけ。それは……」

彼女が三途の川の川下を指さした。

「三途の川を下ったところに地獄があるわ、そこでは亡者達が裁かれ罰を与えられ苦しんでる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ