不思議な国編②
白いリボン付きの青いドレス。首元には蝶ネクタイ。細長い耳型のヘアアクセサリーが髪に絡みつく。
「っ……最悪……」
かぐやが頬を染めて俯く。
「似合ってるじゃん、バニーガールを要望だったのにそれ以上に色っぽい♡」
時雄の軽薄な呟きが虚ろな屋敷に響いた瞬間──
「黙れ変態野郎ォッ!!!」
かぐやの叫びと共に空間が振動した。耳を飾るウサギの耳がピンと立ち上がり、青いドレスの裾が怒りで激しく揺れる。
「ちょっと!落ち着いてよかぐやちゃ~ん?」
時雄が両手を挙げて宥めようとするが──遅かった。
「閉じろ、懲罰房!」
ガラガラガラ……ッ!
床に描かれた魔法陣から黒い檻がせり上がり、時雄を一瞬で飲み込む。
「ぎゃああっ!?何これ聞いてないんですけど!?」
暗闇の中で時雄の悲鳴が遠ざかっていった。
「はあ……はあ……まったく……」
かぐやが肩で息を整える。しかし瞳には困惑の色も混じっていた。
「これで一件落着かな~?」
空中でくるくると踊るヒメカ。アリスの白いドレスが埃一つ立てずに宙に留まっている。
「あのさ、ヒメカちゃん、2階へ上がってもいいかな?」
「うん。お姉ちゃん、大好きだからいいよ。上で一緒にあそぼ」
階段を上りに階へ到着。でも、普通の家庭のどこにでもある風景
「まあ、そうよねぇ何かヒントがあると思ったけどあるわけないか‥」
「かくれんぼ使用よ、まずはお姉ちゃんが鬼ね」
「はいはい、じゃあ1分後に探し始めるからね」
時計をみて1分たつのを待ってから探し始めた。
その辺を探してみたが中々見つからないがその時天井裏でガサッと物音がしたのでまさか屋根裏にでも隠れてるのかと思い点検口から覗いてみた。
するとそこは誰かの勉強部屋のような部屋になっていて机、ベッド、テレビなどおいてあった。
「え?この家2階建てだよね?外から見た感じでは到底こんな部屋あるような高さじゃないはずだけど」
と不思議がりながら部屋へ登ってみると違和感なく普通の部屋だ。なんなら扉まである。
扉を開けようとして歩き出したら机の下にヒメカちゃんが隠れていたのが見えた。
「ヒメカちゃんみーつけた……ってここでこれって一体どうなってるの?」
かぐやが扉の向こうの異様な景色に唖然とする。目の前に広がるのは明らかに普通の民家――目の前には2階に行く階段がある
「なにそれ!?」かぐやの声が甲高くなる。「説明してちょうだい!」
「簡単に言うと……上ってみれば」
かぐやは「??」状態で2階へいくと普通の2階、再び点検口を覗いてみるが今度は普通の屋根裏だ。
しかし気になって2階を隅々まで探検してみると今度はタンスの中に上にいく梯子があり上に突き抜けていた。
窓の外を見てみると普通の路地裏に見えるが道路ではチンドン屋やらピエロやらが踊っている異様な感じだ。
さらに梯子を上ってみる。とまた、どこかの家の部屋っぽい。ドアを開けると何処かの2階のような場所で今度は見知らぬ男性がいて
「うわー誰だ?泥棒?え、ウサギのコスプレ?」などといいながら驚いてる
四十代ほどの眼鏡をかけたサラリーマン風の男がソファーから腰を浮かせる。ワイシャツにネクタイ姿だがネクタイの色が虹色に変化している。
「ちっ違います!誤解です!」
かぐやが両手を広げて弁明する。しかしウサギ耳付きの青いドレスはあまりにも場違いだ。
「警察呼びますよ?ここは私の書斎で……」
男が携帯を取り出す。画面には【警視庁東京支部】と表示されているが署名欄は空白。
「待って!これは試練の一環なの!」
かぐやが必死に説明するも男の背後に忍び寄る影があった──
「はーいお兄さん?」
いつの間にか現れたヒメカが男の耳元で囁く。
「そんな堅苦しいことしてないでさ、お茶会に参加しなーい?」
「え?」
男の瞳が赤く輝いた刹那──
「ひゃっはぁあああ!」
突如奇声を上げてテーブルクロスを引き裂くと中から大量のトランプ兵が湧き出し、室内がカードの山となる。
「ちょっ!」
かぐやが後退りする。そのとき。
ガン!
梯子から落ちてきた時雄が脛を打って悶絶した。
「ぎゃああ痛ててて!なんだよもう!」
「閉じ込めたはずのアンタがなぜ!?」
かぐやが叫ぶと時雄は腰を押さえながら
「俺の方が知りたいよ。お前が空間移動で呼んだんじゃないのか?」
時雄がウサギ耳をつけて扉に滑り込み、かぐやも追いかける。背後で男の笑い声が響いた。
「あっははは!逃げるのかい?捕まえてダンスパーティで踊らせてあげるよ~!」
ヒメカがピョンとジャンプして二人の前に着地。
「お姉さんたち楽しいことになってきたね♪」
「あなたこそ説明なさい!あれは何!?」
「『帽子屋さん』。この家の住人で永遠に午後3時のまま時間停止してる人。面白いでしょ?」
ヒメカはくるりと回転してドレスの裾を広げる。「さて、次は『チェシャ猫』と『眠れる森の美女』も紹介してあげる!」
「いらないわよ!」
かぐやが頭を抱え時雄が額に汗を浮かべる。
「しかし何となくわかってきたわ。こんな感じで階段や梯子を見つけて上っていけばいい訳ね、そうすることでどこか別な場所に繋がっているってことね。早い話、立体巨大迷路ってところかしら」
「そうだねえ、そう考えてもらえると嬉しいよ」
帽子屋の男が再び姿を現し、片眼鏡を輝かせた。
「だが注意しておくれ。この迷路には『ルール違反者への罰』が仕掛けられてるんだ」
「ルール違反……?」
時雄が首を傾げる。すると男は突然狂ったように笑い出し、椅子ごと後ろ向きに倒れた。
「ヒャハハ!時間制限だよ坊主!午後四時になると壁が襲ってくるんだよ!!」
「おいおいマジかよ」
時雄が額の汗を拭う。
「あと十五分しかないぞ」
かぐやが冷静に腕時計を確認する。文字盤には『Time: 15:45 / Next Tea Time: 16:00』と表示されていた。
「なるほど。次のティータイムまでの間に出口を見つけなければ──」
「──トランプ兵の餌食です」
「じゃあ、ちゃちゃと行きますか」かぐやは二部屋離れた部屋に移動しそこにあるタンスの引き出しをすべてとりだした。
「みーつけ♡」かぐやがほほえみながら言った。
「ちょ、待てよ、なんでこんな簡単に?」
「そりゃ、もちろん透視能力使えば楽勝♡」
「え?透視?千里眼じゃないの?」
「透視が出来ないなんて言ってないじゃないといってもあの時は出来なかったけどね」
時雄は生唾を飲んだ。
「よーし、俺も」そう言い薄笑いをしてかぐやを見た。
「きゃあ、何見てんのよ!あんたの妄想丸わかりなんだからやめなさい…閉じろ懲罰房!」手で胸を隠す仕草をしてその場へしゃがみこんだ。
「うわ‥しまっ…な、何すんだ?」
「だ・か・ら?その気持ち悪い妄想するなって言ってるの?今、私の裸見ようとしたでしょ。」
「ぎゃあああ!また懲罰房だぁー!?」
暗黒の牢獄に放り込まれた時雄が床を転がり回る。
「ふふっ♡」
頭上からヒメカの笑い声が響く。
「面白いねお兄ちゃん!女の子の下着透視しようとして捕まるなんて漫画みたい!」
「違う!断じて違う!」
時雄が必死に否定するもヒメカは楽しげに宙返り。
「じゃあなんで胸元チラチラ見てたの〜?」
「それは……やっぱ男のロマンというか男子の本能というか‥」
「うるさいわねこのエロバカ!」
壁の外からかぐやの罵声が響く。時雄は顔を真っ赤にしたまま壁を叩いた。
「誤解だ!俺はただ……と言っても考え丸わかりだからこんないい訳通用しないか。ごめんなさい。もう見ませんから出してください。時間もないのでお願いします。かぐやさま…」
「……しょうがないわね」
かぐやが溜息をつくと懲罰房が光の粒子となって消失。時雄が煤けた服のまま飛び出した。
「助かったぁ!」
「ただし!」かぐやが指を立てる。「次に変な真似したら永久封印よ?」
「はいはーい!了解です!」
時雄が敬礼ポーズで応えるとヒメカが拍手。
「友情素敵~!」
タンスの引き出しから現れた梯子に真っ先にヒメカが上って行き続きてかぐや、時雄と続いたが、梯子を上って行く最中に上を見上げるとかぐやのお尻が目の前にあり興奮してしまい、上からかぐやに蹴飛ばされてしまった。
「ぐえええっ!」




