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不思議な国編①

二人は体力が完全に回復したので階段を上り始めた。

「さーて、今度はどんな能力が加わるかなー。楽しみ」ウキウキしながら上る時雄

(それにしてもかぐやちゃん可愛いな…よーし今度はバニーガール姿お願いしてみよう)

「さてと」

かぐやが腰に手を当て仁王立ちする。「また変な妄想してる……バニー服のことまだ覚えてるの?」

「え?当たり前じゃん☆」

時雄がにんまりと笑う。その目は獲物を狙う猛禽類のように鋭かった。

「なにその気味の悪い笑い方!」

「だってかぐやちゃんがバニー服着てくれるんだろ?そりゃ楽しみだよ〜♪」

「ふざけないで!」かぐやが顔を真っ赤にして怒鳴る。「あれはお仕置き期間中の冗談でしょ!」

「冗談じゃありませんよ?」

「勝手に解釈しないでくれる!?」

「えーじゃあ約束破ったペナルティはどうなるんですかぁ?」

「知らないわよそんなの!」

「じゃあ僕にも考えがあります!」

「?」

「今日中にバニー服着てもらわないと……」

「な、なによ……」

「かぐやちゃんを神力不足で倒れるまで追い込むぞ!」

「え゛!?そ、それって……」

「そう。神人としての本能が暴走して……色々と理性が吹っ飛ぶかも♪」

「最低!サイテー!馬鹿!閉まれ、懲罰房!」

時雄また懲罰房行…

「ぐえええぇぇぇん!」

暗黒の懲罰房に時雄の情けない泣き声がこだました。

「なんで……なんでバニーちゃん見るだけでこんな目に……!」

壁にへばりついた彼は涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。筋肉が痙攣してカエルのような体勢になっている。

「あああ!誰か!水!せめて水だけでもぉぉ!!」

「黙りなさいったら!」

空間が歪み、かぐやが苛立たしげに現れた。ナース服のミニスカートがひらりと翻る。

「何回言えばわかるの?『懲罰房は自業自得』でしょ!」

「でも!でもバニー服は約束したじゃん!『着てくれるって言ったじゃん!!」

「記憶を捏造するな!」

かぐやの掌から放たれた神力波が時雄の脳天に直撃。彼は白目を剥いて床に沈んだ。

「うう……痛い……でも夢ならバニー姿が……」

「馬鹿じゃないの!」

呆れ顔のかぐやだったが一瞬だけ瞳が揺れた。

時雄は懲罰房の中でナース姿のかぐやをみながら

(まあ、いいか、ナース姿でいてくれるんだし)と思いながら見入っていた。

懲罰房から出してもらった後、階段を上り続け三日程上り続けたらようやく次の試練のステージに到着した。



「ふぇーやっと三世界目か今度はどんな世界なんだ?」

「えっと、データーベースの情報によるとここは不思議な国」

「不思議な国?で、名前は?」

「いえ、だから名前が不思議な国」

「不思議な国ワンダーランドみたいな名前じゃないの?」

「そうね。ただの不思議な国」


### (下編:不思議な国のアリス?いいえ神人です)


「不思議な国……?」

時雄が首をひねる。「それってつまり『名前がない』ってこと?」

「そういうことでしょうね」かぐやが肩をすくめる。「この世界の記録はかなり曖昧で……ただ、上に登れとしか書いてないのよ。試練レベルは最低ランクDっていう事なんで謎が解ければ簡単にクリアしそうだけど」

ふっと臭い匂いで我に返り辺りを見回してみるとどこかの公衆トイレにいた。


「……ってどういうことだよ!」

「神力転送ミスじゃない?どうせアナタが下品な冗談言うから神々が罰を与えたんでしょ」

「冤罪だ!」

外に出てみると普通の……日本の街並みだった。


---

「あれれ?」

時雄が道路標識を見る。『TOKYO』『SHINJUKU』……日本語交じりの看板が並ぶ。

「東京だこれ!新宿区だよね!?」

「嘘でしょ……データベースによると三次元基準座標系は存在しない筈なのに……」

「存在しないってどういうことだよ。あ!あれは……?」

ビルの谷間に見える東京タワー。しかしどこかが違う――柱が螺旋状に歪み先端に巨大な顔が浮かんでいる。

「しかしわからないのが上に登れって…階段と違うのかな?」


「恐らくそうね。『上に登れ』という指示だから……高層建築の頂点を目指すと理解するべきかしら」

「じゃあ東京タワーか?」

「でもあれ異形過ぎない?」

タワーは相変わらず不気味にうねり時折先端の顔が目を開閉していた。

「とりあえずこの辺りの事を誰かに尋ねてみましょう。」とかぐやはそう言って近くの屋敷を尋ねてみた。

「ごめんくださーい。誰かいませんか?」

だが人の気配はない。

「不用心な家ね」

かぐやが眉をひそめる。確かに普通の民家にしては豪奢すぎる。西洋風の鉄柵に蔦が絡みつき、窓枠は全て曇っていた。


「入ってみるか?」時雄が門を開けようとすると、突然扉がバタンと開いた。

「わわっ!」


玄関には誰もいない――が足音だけが響いている。

カツン……カツン……

靴音だけが廊下の奥へ消えていく。


「なにこれ怖っ!」

「気をつけなさい。この世界の法則は我々の常識を越えてるのよ」


二人が慎重に足を踏み入れると――

「いらっしゃいませ」


天井から逆さまに降りてきた少女がいた。長い黒髪を二つに分けたリボン。着ているのは学生服だ。だが袖や裾が時々透明になり、また現れる。


「えっと……君は?」

「『案内役』。名前はヒメカ」彼女がくるりと宙返りする。「迷える旅人を導く者です。あ!靴は脱がなくて結構ですよ!この屋敷、床が食べちゃいますから」


「食べ……?」

ヒメカの言葉通りかぐやの靴紐がシュルシュルと床に吸い込まれた。

「きゃっ!」

「どうやら正解らしいね」時雄がにやりとする。「靴を脱がない方が安全だと」

「もちろん!」ヒメカが嬉しそうに跳ねる。「でも足裏が熱くなったら要注意!溶かされますからね〜♪」

「ところでヒメカちゃんていくつなの?随分若く見えるけど」とかぐやは尋ねてみた。

## 続き:不思議の国の案内人と時空の歪み

「七歳です☆」

ヒメカがそういって微笑んだ。

「へー可愛いね。かぐやちゃんとセットでかぐや姫ってところか」

「やめてくださいその言い方!」

かぐやが即座に抗議するが、ヒメカはくるりと回転した。

「おもしろーい!じゃあわたしアリスになる!」

「お嬢ちゃん、可愛いからアリス役ぴったり。ねえかぐやちゃん。ヒメカちゃんをアリスのコスプレにしてやってくれない?」

「かぐやちゃんはもちろんウサギさん、ですよね」


「かぐやちゃんはウサギさん?」

ヒメカがきょとんとした顔で時雄を見上げる。


「やめなさいよ!」

かぐやが耳まで真っ赤になりながらヒメカの肩を掴む。

「それにこんな子供に変な衣装を──」


「まあまあ」

時雄が手を挙げた。

「試してみてダメだったらやめればいいんだしさ。ほらデータベースのヒントにも『着せ替えシステムを利用せよ』って書いてあったじゃん?」


「それは事象を解析するためのコード解読用の話で……」

かぐやが説明途中で口をつぐむ。たしかに現在の状況下では情報源が限られているのだ。


「わたし着てみたい!」

ヒメカがリボンを揺らして飛び跳ねる。

「アリスのドレスって可愛いよね~!白と青のエプロン付きで!」


「やれやれ……」

かぐやが観念して手首の冷却装置を操作する。瞬時に空中に光の粒子が集まり──

くるりと回転したヒメカはいつの間にか純白のアリスドレスに包まれていた。

「きゃっ!すごい!スカートふわふわ!」

「さ、今度はかぐやちゃんのウサギさん、ぴょんぴょんぴょんと早くして」と調子に乗り出した。

私が……ウサギ?」

かぐやの目が大きく見開かれる。

「そんなの絶対に嫌よ!」

彼女は両手を振って拒絶するが──


「ダメーっ!」

ヒメカが突然時雄の影に潜り込んだ。

「ちょ、やめてよバカ!」

かぐやが逃げようとすると──屋敷全体が軋み始めた!

「待て待て……地震?」


「違うわ……空間が歪み始めてる!」

かぐやが頭上の天井を指差す。通常ならそこにあるはずの蛍光灯が消失し、代わりに黄色い陽光が降り注いでいた。


「時間稼ぎが必要ですね」

ヒメカが浮き上がる。空中でドレスの裾を翻しながら、「次のチャプターが始まる前に皆様準備を」と歌うように宣言した。

「さあお嬢さん?」


かぐやの周囲に銀色の靄が集まる。

「きゃっ……!」

抵抗しようとする彼女だが──データベースから強制的に抽出された『兎』の認証コードが可視化され、瞬く間に服装が書き換えられた。

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