修羅の国編⑨
「まさか八将軍全員集合ってか……!?」
「ええ」
かぐやが冷や汗を拭いながら幻影投影を展開。立体映像で八将軍の名が浮かぶ。
- **炎将軍** (火焔操作)
- **雷将軍** (電撃制御)
- **氷将軍** (低温生成)
- **土将軍** (大地形成)
- **風将軍** (暴風発生)
- **霧将軍** (迷彩/認識阻害)
- **音将軍** (音波操作)
- **影将軍** (空間転移)
「先ほど倒した風将軍も含め残り7将軍ね。しかも全員が羅刹直属の戦力……」
「つまり俺たちの作戦は最初から詰んでたってことかよ!」
「だからこそあなたが必要なの」かぐやが時雄の手を強く握る。彼女の掌から温かい神力が流れ込んだ。「【転移】の成功率を上げるにはあなたの【飛翔刃】が不可欠よ」
「要は全員を一遍に相手にしなきゃいけないってことね……」
時雄が【天照】を鞘から引き抜く。銀色の刀身が朝日の如く煌めいた。
「まあいいさ」
彼は不敵に笑う。
「風将軍を倒せたんだ。他の連中も楽勝だろ」
### 第一撃:雷将軍 vs 【飛翔刃・稲妻】
ドガアアアアアン!!
突如として天から降り注ぐ雷撃! だが時雄は悠然と立ち尽くす。
「【飛翔刃】・【稲妻】!!」
時雄の全身から放たれた神力の波動が雷撃をそのまま反射した! 雷将軍の笑顔が凍りつく。
「バカな……雷を反転するだと!?」
次の瞬間──
ギュルルルン!!
【天照】を振るい放った雷撃の残滓が稲妻状の斬撃となり雷将軍を直撃!
「グハッ!」
金色の粒子を撒き散らしながら雷将軍が崩れ落ちる。
「まず一匹♪」
### 第二撃:炎将軍 vs 【飛翔刃・業火】
「炎将軍! 行け!」
羅刹の命令と共に赤い巨人が咆哮を上げた! 手のひらから噴き出す溶岩流が津波のように押し寄せた。
「高温領域形成……」かぐやが警告する。
「要するに熱いだけだろ?」
時雄が【天照】を垂直に構える。
「【飛翔刃】・【業火】!!」
刀身から放出された青白い神力の奔流が炎を喰らう! 相反する熱量が拮抗し空間が歪んだ。
「ほう……」
羅刹が感心したように呟く。
「だがこれはどうだ!?」
炎将軍の両手が赤熱し溶岩の球体が形成される!
「【火球連弾】!!」
灼熱の砲弾が無数に降り注ぐ!! だが時雄は微動だにせず──
「【飛翔刃】・【放射】!!」
全方位に向けて広がる円形の斬撃!! 火球を粉砕しつつ炎将軍の胴体を袈裟切りにした!
「ぐあああ!!」
溶けゆく身体から怨嗟の声を上げて炎将軍が消滅する。
「二匹目ゲット♪」
### 中盤戦:氷将軍&土将軍 vs 【飛翔刃・氷晶・大地】
「氷将軍! 土将軍!」
羅刹の号令で二将軍が同時に動く!
- 氷将軍:絶対零度の凍気領域
- 土将軍:無限湧出の岩石塊
「厄介ね……」かぐやが舌打ち。
「任せろ」時雄が右手と左腕を別々に掲げる。
「【飛翔刃】・【氷晶】!!」「【飛翔刃】・【大地】!!」
右から放つ螺旋状の冷気は氷将軍の凍気を吸収しながら更に研ぎ澄まし!
左から放つ重厚な岩撃波は土将軍の岩石を砕いて礫の盾と化す!
「んなッ!?」
「俺の氷が……吸収された!?」
二将軍が同時に絶句する中──
「はいオワリ♪」
左右から挟み撃ちの【飛翔刃】が同時に炸裂!! 氷将軍は無数の水晶針に串刺しにされ、土将軍は巨大な岩棺に埋没して沈黙した。
「四匹目クリア♪」
時雄が鼻歌混じりに拍手する。
「羅刹様!」
「このままでは……!?」
残る三将軍が一斉に臨戦態勢に入る! 空間が歪み幻影が踊り狂った!
「えーい。雑魚が‥」
「必殺、飛翔刃、無限乱舞!」刀を何度も振りまくり無数の衝撃波が三将軍と羅刹に向かって飛んで行った。
「えーい。雑魚が‥必殺、飛翔刃、無限乱舞!」
ギュイイィィン!!
時雄の振るう【天照】から無数の斬撃が扇状に拡散した! それはもはや一つ一つの斬撃ではなく──神力の津波だった。視認さえ困難な速さで次々と刃の竜巻が舞い上がり三将軍+羅刹へ殺到する!
「影将軍! 空間転移で回避を──」
「遅いッ!!」
ザッパアアァン!!!!
最前列の**霧将軍**が霞のごとく姿を消す前に縦横斜めの斬撃が全身を網目に刻む! 七色の神力の残滓と共に霧散する将軍。
「グ……ギィィ……!」
続いて**音将軍**。頭部から生えた蛇型スピーカーを振動させ音波の防壁を形成するが──
ギギギギィンッ!!
飛翔刃の一撃で装甲が割れ音波が逆流。鼓膜も臓器も内部破裂し悶絶しながら吹き飛ぶ!
「おのれ……!!」
最後尾で牙を剥く**影将軍**。手にした異次元接続の鍵を翳し空間断裂を発動──
シュババババン!!
だが断裂空間すら斬撃の流れ道に利用され逆に深手を負う! 全身を数十の裂傷が走り肉体が崩壊した。
「三匹まとめて終了♪」
時雄が余裕綽々でウィンク。
「さて問題はメインディッシュ……」
目を細めた先にいる羅刹の巨体。彼の纏う暗黒の神力障壁が蠢く触手のように変化し無限乱舞の斬撃を弾いていた。
「……フフフッ。愉快だなぁ神人よ」羅刹が低い嗤い声を漏らす。「我が配下を悉く屠るとは!だがここからが真の戦いだ!!」
「なあ、かぐやちゃん」
「何よ?こんな時に」
「もしかしてだけど、あいつ弱いんじゃね?」
「どうしてそんなこと思うの?羅刹はあなたよりたくさん階段を上ってるのよ」
「いや、だってさ、あいつ空飛んでここまできたじゃん。かぐやちゃんでさえワープしてここまで来たのに‥てことはその程度の神力って事だと思うけど」
「飛行と転移の違いって話?ああそうだよ」時雄が羅刹の周囲を旋回しながら呟く。「空飛ぶってのは低級神力の象徴。空間移動は最高位の証拠だ」
「だから?」かぐやが汗まみれの戦闘服を脱ぎ捨てる。冷却パッドが露出し蒸気が立ち上る。「あなたが見落としてるのは──」
「羅刹の神力濃度だろ?」時雄が遮る。「俺が100とすると羅刹は500くらい。でも効率で言えば10対100だ」
「……!?」かぐやが驚愕する。「その計算方法どこで?」
「カン☆」時雄がウインク。「神人になってからは直感が冴えるんだ。奴の飛行は単に排熱してるだけ。転移ほどの精密制御がない。つまり弱点は──」
「我が思考を邪推するな小僧!!」
ゴォッ!!
羅刹の巨腕が大地を叩き割った。衝撃波で砂塵が天空高く舞い上がる。
「論戦中失礼」時雄が【天照】を構える。「お前の弱点見えてきたぜ。神力圧縮率の低さ。熱量浪費型。空気摩擦で自己損耗してる」
「ほう?」羅刹の目が赤く光る。「ならば試してみよ」
「言われなくても」
時雄が指笛を吹き空中の斬撃粒子を一点集中──
「飛翔刃・彗星!!」
流星の尾を引く赤熱の刃が羅刹の胸元へ迫る! だが黒い障壁が展開され──
ジャキン!!
神力の盾が十の層へ分裂し刃を受け止めようとしたが──
「読めすぎだろ☆」
時雄が刀身を捻り軌道を曲げる。彗星が螺旋状に障壁を切り裂く!
「グガッ!?」
羅刹の左胸に浅い裂傷。血潮は黒く蒸発した。
「チッ外したか」時雄が悔しそうに舌打ち。
「ぬぅ……!この小童めが!!」
「なーんてね♡」
直後外したはずの彗星が背後から羅刹を直撃。
「ぐわー、いったい何を…?」
「秘剣、ツバメ返し」外れたとはずの彗星がブーメランのように戻ってきたのだ。
「ぐわー、いったい何を……?」羅刹が胸を押さえて唸る。
「秘剣・ツバメ返し」
外れたはずの彗星がブーメランのように舞い戻り羅刹の背部装甲を抉ったのだ。
「ぬぅ……! この小童めが!!だが我はこの世界の皇帝なるぞ!貴様なんぞに、退かぬ!媚びぬ!省みぬわー!」」
黒い血管が額に浮かぶ羅刹の咆哮が天地を揺るがす!
「ぷぷっ」時雄が吹き出す。「そのセリフ使い古しすぎだろ(笑)この中二病野郎が、しかも負けフラグたてちゃって」
「黙れッ!!」羅刹の怒号が砂塵を巻き上げる。「皇帝に対する侮辱許さん!!」
「あーらら」時雄が飄々と刀を回す。「その『皇帝』って設定も自分で名乗ってんだろ?悲しい奴だな〜」
「死ねえぇぇ!!」
「まあ、何だな、中二病には中二病で対応してやらなきゃ失礼ってもんだ」
かぐや「何考えてるの?馬鹿な真似はやめてよね」
「大丈夫大丈夫、いくぞ!神分身」
「神分身?ファンネル?」羅刹が目を見開いた。眼前に五人の時雄が四方八方に展開する!




