オーランドのサイボーグ戦士
「(しかし全然怪しい人物はいないねえ)」
だがよく見ると監視カメラやスピーカーなどがいたる所に設置されている事に気づく。さらに何の機能を持った装置なのか不明な機械も多い。
「(このサングラスがあれば大抵の偽りの神なら簡単に探知できるはずなんだが‥)」
と周囲を見回している。
「(無線LANとかじゃないよな。何なんだろう?)」と思いながら探索が続くが何も見つからないので諦めて帰宅することに。
しかし帰宅途中、とある人気のない建設現場を通り過ぎようとしたところ、建物の影からさわやかな笑顔をした青年が現れた。
「お兄さん、ちょっといいかな?」にこにこしているがなんとなく不気味な印象だ。
「何?」ぶっきらぼうに応じる。
「お兄さんさあ、普通の人間じゃないよね?レジスタンスの人間でしょ?解るんだよね。」
「いや、そんなレジスタンスなんて知らんぞ!」
「まあ、とぼけててもいいさ。役所にあった人格制御装置がお兄さんの考えが読めなかったって言うのがすべてを物語ってるんだよねえ。」
「人格制御装置?」そう言いながらあの奇妙な機械を思い出す。「あ、あれか」と納得。
「そうだよ。その装置があるおかげで市民たちは平和でいることができるんだよ」
「(なんだそりゃ)」
「でもね、一部の人間だけには効果がないみたいなんだよね。どうやら、ミュータントは影響を受けにくいらしい。そしてお兄さんはどうやら影響を全く受けないという事はレジスタントのミュータントと言う事。」
「は?」
「つまり、お兄さんは我々の敵だということだよ!」と言い放った途端、男の目つきが豹変する。鋭い眼差しに変わり敵意むき出しになっている。
「へぇ、レジスタンスが遂に尻尾を出したか!」ニヤッと笑いながら挑発するような態度に出る。
「いや、そうじゃなくてさっきも言ったが私は一般人で……」
「今さらそれはどうでもいい。制御できないという人間自体が問題なんだから」と言いながら近づいてきたと思ったら一瞬で間合いを詰めてきた。尋常ではないスピードでパンチが飛んでくる。時雄は咄嵯に腕で防ぐことができたものの威力は凄まじく腕が痺れる程の衝撃を受けた。あまりの痛みに思わずうめき声が出てしまう程であった。
「くっ!」
「ほう、今のをガードするとは中々やるじゃないか」と余裕の表情で感心している。
「うるさい!喋ってないで攻撃を続けてみたらどうだ」と虚勢を張る。
「じゃあ、望み通りにしてやるぜ!」と今度は蹴りが繰り出される。
反射的に避けるが完全には避けきれず脇腹に直撃してしまう。ドスッ!という鈍い音とともに激しい痛みが襲ってくる。並みの人間なら粉みじんに体は砕け散っていたであろう。
「ほう、サイボーグの攻撃を受け平然としてるとは。やはり普通の人間ではなかったか」とニコニコしながら解説してる。
まるで実験動物のように扱われている気分にイラっとする。
「おい、調子に乗るなよ!舐めるのも大概にしとけってんだ!」と怒りに任せ拳を振るう。時雄のスピードもマッハを超えているのだが敵はさらに上のスピードだ。
「私をとらえられるかな?もっと速くなるからね。加速そーーーち!」そう言いながらさらに一段ギアが上がる。凄まじいスピードの猛攻だ。しかもパワーも乗ってるため削られていく。
「ふふふ、どうした?どうした?ミュータントとはその程度の者か?」段々調子に乗って攻め続けた。そして、ひとまず手が止まった。時雄がゆっくりと立ちあがる。
あれほどの攻撃を浴びた割にはダメージがほとんどない。
「ふん!いい気になるなよ!たかだか人間の分際で。」少しイラついてる感じだ。
そして「そろそろ終わりにしようぜ!」と叫ぶと全身の細胞が活性化して赤く光り輝く。血液が沸騰しているのか異様に熱く燃えるように熱くなっていく。
「はあ?お前こそ調子に乗ってるんじゃねぇよ!」と叫びながら殴りかかる。が、時雄は難なく攻撃を避ける。
「なんだ?今のスピードは…」青年は驚いた表情をした。
「さて、調子に乗ってたのはどっちかな?少し本気になってみようか。2割程度は使ってやる。感謝しろよ。」そう言って気合を入れた。
身体が一気に加速する。
「くそっ!速い!」
「これでもまだ2割だと言ったはずだぞ?」
「ふざけやがって」
「ふざけてんのはどっちだ?」と言いながら反撃する。一発殴ると青年は大きく吹っ飛ぶ。しかし、壁にぶつかる前に何とか体制を立て直したようだ。
「なるほどね。少し侮り過ぎていたようだね。認めるよ。レジスタンスの人間ね。さあ、続きを始めよう!」と両手を広げる。
「こっちのセリフだ」と言うなりダッシュして懐に入り込み腹に膝蹴りを入れる。ドゴッ!鈍い音と共に膝が腹部にめり込んだ。胃液を吐き出したがそのまま押し出して転がって行く。
だが、すぐに立ち上がり、口から血を流しながら笑う。
「いいね、いいね、その口から出てるのは血か?それともオイルかな?」と煽りまくる。
「まだやるのか?」
「とうぜんだ!」
「だったら遠慮なくポンコツロボットなどスクラップにして資源ごみとして解体屋送りにしてやるぜ!」
「ふざけるな!俺はサイボーグだ!ロボットじゃねえ!」頭に血が上って来てるようだ。
口調が荒くなりつつある。
「あ?悪かった。ロボットじゃなくカラクリ人形ってとこか」
「テメエ!殺す!」
「やれるもんならやってみな!ほら来いよ!」と手招きする。煽るとまんまと乗っかってくる。単純な奴だと笑いそうになる。
「ほざくなーーーーー」と叫ぶと同時に再びスピードアップして距離を縮めてくる。先ほどまでの加速とは比較にならないぐらい速い。だが神人の敵ではない。
「早いな!だが、これで終わりだ!」と叫びながら拳を突き出すが時雄がただ手を出すだけでパンチがカウンターとして当たる事となった。ドゴン!と大きな音を立てて青年が転がった。再び起き上がるが体勢を整える余裕などないまま連続攻撃を食らったため全身が悲鳴を上げているようだ。立ち上がるだけで精一杯と言った感じであった。
「うぐぅぅぅううううう」
「どうした?さっきまでの威勢はどうした?」
「まだだ、まだ、終わっていない!」と叫び立ちあがろうとするも足腰に力が入らずうまくバランスが取れない。そしてとうとう倒れてしまう。倒れた衝撃で機体のいたるところから火花が散っている。さらに油圧や冷却水などのパイプが破裂していて液体が流れ出ていた。時雄がとどめを刺そうとした時に「タイムアップーーー!おしまいでーーす!」という甲高い声が響く。
「はい、ここで休憩入りまーす!」と可愛らしい声が聞こえてきた。
声の方を振り向くとロリ顔の女の子がいた。
「(なんだあ?この少女は?)」と思っていると、今度は別の方向から声が聞こえてきた。
「さすがだな!オーランドのサイボーグ戦士を倒すとは恐れ入ったぜ!」軽い口調で細身ので長身の男性も現れた。
「新手か?今度は二人相手か。さっきの奴は準備運動にもならなかったぜ!ちょっと物足りないと思ってたんだ。かかってこいやーー!」時雄再び戦闘態勢に入る。
「ちょ、ちょっと待てって!俺たちはそいつとは違う。敵じゃーないぜ」焦ったように言って来た。どうやら本当に敵対する意思はないようだ。
「ふん!どうせ仲間同士だろ?信じられん!」
「いや、違う。そいつは確かに元はこっち側の人間だがオーランドの奴らに捕まって洗脳されてたんだ。なので無力化して取り押さえようと思ってたんだがお前と戦闘になってしまったんで助けようとは思ったんだが。必要ない様子だったので終わるまで見ていたんだ。それにしてもお前があいつを倒してくれたおかげで無駄な労力を消費しなくて済んだからな。感謝しているぐらいなんだ」
「それよりもお前たちは何者なんだ?オーランドって何?」と尋ねた。
「おいおい、オーランドを知らないってお前こそ何者だよ?」
「まあ、いいわ、その人を倒してくれた事には感謝してるわ。私の名はリリィ・ミンクス。リリィて呼んでね。反オーランドグループ、『平和な大地』のメンバーよ。」と女の子が自己紹介。
「そして俺が、ホビー・リンダン。ホビーでいいぜ!」




