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第九十九話 敵兵追加


「ありがとう、ライラ姉。 少しばかり危なかったから助かったよ」

マリーがお礼を言ってくるが、


「え、えと? 何でマリーはここにいるの? 部屋に残っていたんじゃ……」


私は未だ状況が呑み込めていない。

一体何が起こっているの?



「それは__」

マリーが口を開こうとした時、


「部屋にいたら襲われたんだよ」

カンナが先に口を開く、


「襲われたって……あの爆発?」


「あれは僕がやったんだ」

と、マリーがさらりと答える。


「うん、いきなり部屋に剣を持った人達が来てね……マリーが魔法で吹っ飛ばしたの!」

カンナが説明してくれる。


「部屋に……いきなり?」

そんなことがあるのだろうか?

ここは国の中枢ともなる国会議事堂なのに……。



「まぁ……そうなるだろうとは思いましたわ」

リアが深く頷く。


「やっぱりそうだよね……まぁ無いに越したことはなかったけど」

マリーもリアに頷いている。


「え? 何があったか二人は分かるの? っていうか、二人して何か知ってたの?」

私のいないところでそんなやり取りしていたの?


(う~なんか仲間外れ感がするわ)


私の言葉に二人は顔を見合わせ、

「いや……やり取りと言うか……」

「そうですわよね?」


リアが私の方を向き、


「誰だっておかしいと思いますわよ? さっきのやり取り」


「さっきのやり取りって?」


「ほら? 何とか男爵って人が部屋に迎えに来た時ですわ」


「あの、準備出来たって呼びに来た時?」


「そうですわ」


何かあったかなぁ?

準備出来たからって呼びに来た感じだったけど……。


分かっていなそうな私に、リアとマリーは顔を見合わせ溜息をつく。



「あんな怪しい言葉に気付かないなんて……」

「仕方ありませんわ。 ライラ姉様は脳みそも筋肉なんですから」


「ひどい!」

それはあんまりだ!


「では、脳みその半分が筋肉のライラ姉様にも分かる様に教えてあげますわ」


う……半分ぐらいに譲ってくれた……まぁ半分ぐらいはそうかも。


「大体私達の案内役としてトラノさんがいらっしゃるのに、貴族の方……後から男爵と分かりましたが、そんな方が迎えに来ること自体おかしいですわ」


「それに、あの中で誰かを残すっていうのもおかしいし、それでカンナを指名してきたのも変」

マリーも教えてくれる。


「ですわ。 だからマリーが即残ると言ったのですわ」


「うん、そしてリア姉は僕達に『襲われたら外に出るよう』伝えてくれた」


「え? そんなの言ってた?」


「直接じゃないけどね。 『あれな時は外にほっぽり出す』……あれって何かあった時は外に出てって事だよね?」

マリーには『転移テレポート』がある……確かに出るのは容易いだろう。


リアはそうだという風に頷いている。


「でも何でここにいると思ったの?」

外だけでは何処か分かりそうにないと思うけど……。


「マリーの『転移テレポート』はマリーが知っている場所にしか飛べませんわ。 私達と合流しやすく国会議事堂の敷地でとなれば、ここに来ますわよ」


マリーは少し鼻の頭を掻きつつ、

「でも、ここにも敵が張り込んでるとは思わなかったよ。 外に逃がさない様に見張りまで配置するなんてね」


「ふふっ。 でも読み通り実際外にいてくれて助かりましたわ。 おかげで合流できましたし」


リアが国会議事堂の扉側に視線を向ける。

「それに……」


ドタドタドタ!!

国会議事堂の中から大勢の足音が聞こえ、先程の様な冒険者達が続々と外に出て来た!




「部屋の中にいたままでしたら、分断された上この全員に囲まれておりましたわ」


「そうなると僕もどうしようもないね」

マリーが杖を構える。



「え? つまりどういう事?」

ええと? 


「……つまり、カンナを狙う者達が国会議事堂にいるという事ですわ」

「だから、外に出てみんなで合流しないと厳しいという事。 そして……」


マリーが指をパチンと鳴らす。


建物から出て来た男達が足を滑らせて転ぶ。

その足元は光を反射している……よく見ると薄く氷が張られていた。


「敵はまだまだ出てくるよってことだよ。 ライラ姉」


「と言う訳で、筋肉の出番ですわ」


「私、筋肉って名前じゃないんだけど……」

私はぼやきながら剣を抜いた。





「いくらお前達が強くてもこの数に勝てると思うのか!?」


私達を囲む冒険者風の男達。

恐らく金で雇われた冒険者崩れか傭兵だろう。


私達四人に対して……二十人近くいる様だ。


剣や斧を持つ者、弓をつがえる者、杖をかざす者……数も種類も色々いるようだ。


(う~~ん、ちょっとシビア?)


流石にこの人数は多い。



建物の壁を背後に私達は半円状に囲まれてしまう。



そこへ……。


「これは一体何事です!!」


建物から出て来たクレアが声を掛ける。

隣にはトラノさんもいた。



「その方々は私の大事な人達です。 それに魔族から国を守った者達ですよ!!」


クレアはつかつか歩いてくると、私と傭兵達の間に割って入る。



「そんなことはどうでもいい。 俺達は雇われて仕事をするだけだ」


「雇われたって……どなたに雇われたというのです!?」


「それを言うわけがないだろう。 分かったらどけ。 退かないならお前もまとめて始末する」


それを聞いた別な傭兵が、


「おい、始末するわけじゃなく捕まえるんだろう?」


「捕まえるのはあのチビだけだ。 後はどうしようと構わないとの事だしな」


「へぇ……なら、俺はあの金髪の女を貰おうか……どうせ殺すなら楽しんでからでもいいだろう?」

傭兵の目がリアの体を舐め回すように見る。


「っ!」

気丈なリアが、少し怯えたような表情を見せる。



「……お前」


私の中から怒気のこもった声が漏れる。


「私の大事な義妹いもうとに……」


チャキ


剣を構える。


私の怒りを反映するかのように刃先がギラリと輝く。


「そのふざけた視線を向けるな!!」



私の気迫に傭兵達が一斉に後ずさる。



しかしすぐに、

「ちっ! 構わねぇ。 やっちまえ!!」


傭兵達が武器を構えて一斉に飛び掛かってくる!!



「神速!」


クレアをカンナの方に押しやると、私は襲い掛かる刃を躱しつつ敵の中に突っ込む!!



そして、


「華月流  八華閃はっかせん


敵の真ん中で回転しつつ剣で斬りつける!!

自己を中心に八卦……つまり全ての方向に攻撃する技だ。


そして狙うのは腕……それにより多数の敵の戦力を削ぐことが出来る。



神速も相まって、一気に六人の腕が斬り飛ばされ地面に落ちる!!


「は? はぁぁぁ!?!?」

「ひゃ、お、おれの腕がぁ!」


神速が終わり、腕をなくしたことに気付いた男達が悲鳴を上げて地面をのたうち回る!!


一瞬にして辺りに血の匂いが立ち込めた。



だけど、まだ敵はいる!

いきなり六人が倒れたことで驚愕し怯えている今がチャンス!



私は続けて剣を振るう!

剣に付いた血が飛び散り地面に赤いシミが描かれる。



「華月流 五色!」


弓の弦ごと男の指を斬り飛ばし、隣にいた斧を持つ男の腕を引き裂く!


一瞬の出来事で反応が遅れた傭兵達から悲鳴と怒号が響き渡った。



「『重りょ……』」


私に向かって『重力ヘビィ』を唱えようとしていた魔術師の胸に青い剣が突き刺さる!!


私が腰の剣を抜きざま投げつけたのだ。



我を取り戻した傭兵達が二手に分かれて……一部が私に向かって斬りかかってきた!!

だが腕はそんなに良くないらしく、ただの力任せの攻撃だ。



「華月流 双葉葵」


隣の傭兵とお互いに剣を突き刺し、相打ちになってもらう。




もう一方の傭兵達は、


「『凍結フリーズ』」

マリーの魔法により、二人の傭兵が足を凍結され動きを止められる。



「こっちに来ると危ないよ? 『氷針アイスニードル』」


マリー達の周辺を氷で出来た針山がびっしりと囲んだ。

一部の隙も無く、この状態で踏み入れば足は穴だらけになるだろう。



「うげ! なんだこりゃぁ!」

マリー達に近寄れなくなった傭兵達が叫び声を上げて足を止める。



「どんどん行くよ? 『氷獄アイスジェイル』」


傭兵達の頭上から氷で出来た剣が何本も落ちてくる!!

それは傭兵達を囲む様に地面に突き刺さっていき、ついには傭兵達を閉じ込めた。


冷気を出して青く透き通るような剣。

剣から漏れ出す冷気によって、囲んだ傭兵達を極寒が覆いつくす。


「さ、さみぃ!」

「出してくれ!」


「ちっ! こんなもの! 俺の魔法で!!」


魔術師が一人いたらしく閉じ込めた氷の剣に向かって、


「『火炎ファイヤ』」


火球が現れ氷の剣にぶつかる!!


ピキッ!!


火球は氷の剣にぶつかり消えてしまった……しかし氷の剣にヒビが入ったようだ。


「どうだ! もう一度食らわせて……」


ドヤ顔の魔術師だったが、


ピキン!


剣は再度凍り付きヒビも消えてしまう!


「なんだとぉ!!」

驚いた魔術師は、再度魔法を唱える為杖を向けようとした。


グッ!


腕が動かない!


慌てて自分の腕を見ると……どんどん体が凍り付いていく。


「げぇぇ!」

閉じ込められた他の傭兵達も凍り付いていっている。


「こ……こんなこ……と……が」

魔術師は驚愕の表情を浮かべながら氷の像へと変わって行った……。




「華月流 四龍」


私の剣が滑る様に傭兵達を切り裂いていく。


四人の傭兵がどっ!と地面に倒れ伏した。



「はぁ……はぁ……ふぅ~」


私達を囲んでいた全ての傭兵達が沈黙している。

腕を斬り飛ばされた者達も気絶したのか静かになっていた。



「……リア」

カンナが小さく声をだす。


「……分かりましたわ。 カンナはお優しいですのね」

カンナに促されリアが傭兵達に『回復ヒール』を唱えていく。



気絶は回復しないが怪我は回復していく。

凍っている者も、マリーが魔法を解くと氷状態が一瞬で解除され地面に崩れ落ちた。


「全員死んではおりませんわ」

リアの言葉にカンナは顔を綻ばせ、


「ありがとう。 みんな」

守るために戦い、敵の命をも助けた私とリアとマリーにお礼を言いつつ嬉しそうにするカンナだった。


読者の皆様、ありがとうございます。


今回で九十九話まで来ました。


これも皆さまが読んで下さるからこそです。


物語はまだ続きますので、

これからも引き続き宜しくお願いいたします。

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