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第九十七話 代表者達


私はちょっと気になったので聞いて見た。


「あの。 トラノさんはランタナ男爵と関わりがあるのでしょうか?」


ただの顔見知りには見えなかった為、少し気になったのだ。



私の質問にトラノは足を止めこちらを向くと、


「ああ……、はい。 お恥ずかしながら」

トラノは微笑みを崩すことなく、


「元々私も男爵位を持っておりまして……」


「え! トラノさんって男爵だったのですか?」

私が驚いて声を上げると、


「もう昔の事です。 今は国会議事堂に務める職員とお思い下さい」

軽く首を振って再び前を向いて歩き出す。



ランタナ男爵との関わりは不明だったがトラノが男爵だったなんて……。



むに!


「あいた!」

私は思わず声を上げる!


驚いたトラノに何でもないと言うふうに手を振ると、


『何するのよリア!』

私を抓ったリアに非難の言葉を小声で投げる。


『ライラ姉様が失礼な事を聞くからですわ!』

リアも私に非難の眼差しだ。


『先程の男爵の態度を見れば明らかですわ! それを遠慮なくズケズケ聞くなんて!』


『うっ、そ、そうかもしれないけど……気になったんだもん』


『だもん……じゃありませんわ!』



「ふふっ」

前を行くトラノが笑いながら振り返ると、


「お二人は仲がよろしいのですね」


「えぇ!」

「ないですわ!」


私とリアが同時に……あれ?私は驚いただけなのに、リアって拒絶即答ってあんまりじゃない!?


「私が男爵だった頃、ランタナ男爵とは……ライバルの様な関係だったのですよ」


「そうだったんですね……それが何でまた__ってあいたぁ!!」

リアに足を思いっきり踏んづけられたぁ!


「バカライラ姉様!! って言い難いですわ!!」


う〜、私は足先を地面にトントンして痛みを和らげる。

足の指ピンポイントで踏まれたわ!

痛いったらない!


「良いのですよ、リア様。 今はもう昔の話ですから」

トラノはそう言うと視線を前に向ける。

しかし目は違うものを見ている様に……懐かしそうな顔をしている。


「私には一人娘がおりまして……妻が命と引き換えに残してくれた大事な娘だったのですが……。 その娘が年頃の頃に……良くある話ですが男に騙されましてね」

トラノは寂しそうにすると、


「自殺してしまったのですよ……」


「そんな……」

トラノの淡々とした言葉に胸が締め付けられる。


「そこをランタナ家に責められまして……『男爵家と言う者が男に騙されるとは何事か!』と」


「酷い!」


私の言葉にトラノは首を振り、

「そういうものなのですよ。 地位を上げる為、利用できる物は何でも利用する。 それが貴族社会なのです」


「それに……」トラノは続ける。


「妻を失い娘を失い……私にはもう何もありませんでしたから」

トラノは通路の先に目をやり歩き出した。


「男爵の地位など惜しくありません」


寂しげに歩くトラノ。


私達はみんな声を掛けられず、その後をついていくのであった。






「ここで御座います」

トラノが両開きの扉前で足を止めた。


代表者十一名と最高責任者がいらっしゃる筈です……とトラノが告げる。



「案内ありがとう御座います。 トラノさん」

私がお礼を言うと、少し驚いた彼だったが、


「いえいえ、こちらこそ……久しぶりに楽しい会話でしたから」

そう言って笑ってくれたのだった。



ドアを開けて中にはいる。



中は広い会議室となっており、そこに居る十ニ名の視線がこちらに注がれる。


細長い机が中央にあり、私達が入ってきた扉の前には一人分の席。

そこから机の両側に五人と六人が座り、奥に一人座っている。


「ご足労頂きありがとうございます。 まずはお掛け下さい」

私に一番近い席にいる女性が話し掛けてきた。


私は軽く会釈をすると勧められるまま椅子に座った。

ちなみに私の後方、ドアの横にも椅子が置いてあり、リア達はそちらに腰掛けた。



私達が席につくと待っていた様に正面の人が話し出した。


「まずは遠路遥々ようこそ、我がカタクリに。 そしてこの度の魔族撃退に感謝します」


話しかけて来た人はかなり年齢の行った老人だったが、話し方には全くよどみもなく年齢を感じさせない。


「私はカタクリ国の最高責任者。 名前をツワブキと言う」


そこで私も、

「私はストケシア国から来ました。 ライラと申します」


ツワブキは頷くと、

「アスター王から連絡は受けている。 かの剣聖の娘だそうだな」


「はい。 恥ずかしながら剣の腕はまだまだですが……」


「謙遜するでない。 その腕を持って魔族を退けたのだろう?」


「ええと……はい」

少し恥ずかしい。


「では、早速ですまないが魔族について把握できた事があれば教えて欲しい。 我が国も魔族には苦しめられているところでな」



そうして私はリリスの事をツワブキに話して聴かせた。

ちょいちょい質問も入ったが特に問題なく答えられた。


まぁ、違ったら背後からリアが突っ込むだろう。



「……なるほどな。 魔王軍の暗部か……」

ツワブキが暫し考える仕草をする。


席についていた代表者の一人が、

「ライラ殿がそのリリスとか言うのを追い払ってから、国内のにいる魔族の統率が乱れております。 恐らくそいつが統率していたと思われます」


「それでは要石は?」


「今のところ襲撃はピタリと止みました。 現在防衛配置を建て直しております」



……ってことは、要石の襲撃を指示していたのもリリスだったのね。


リリスを退けた事で、図らずもカタクリ国の襲撃は収まりそうだ。



「ライラ殿、貴公らのおかげで魔族達が……いや、魔王軍が動いている事がはっきりした。 これは由々しき事態である。 至急各国に……」

ツワブキがそこまで言った時!



ドッカーン!!



大きな爆発音と共に国会議事堂が大きく揺れたのだった!


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