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第九十一話 始末標的


「カンナ大丈夫?」


私は後ろから必死についてきているカンナに声を掛ける。


「うん、でもライラ大丈夫そうなら先に行って!」


カンナは苦しそうにしつつもそう告げる。




偽物のアンズかもしれない。


その真偽を確認する為、私達は大急ぎでカンザキの館に向かっていた。

もし偽物だとしたら何が狙いなのか……。


遅れつつあるリアとマリーにも言われ、私は速度を上げてカンザキ邸に向かって行った。



全速力で走り辿り着いた私は、急いでドアをノックする。

暫くすると、普通にドアが開かれた。


「あら? ライラ様ではありませんか。 いかがなされました?」

出迎えたメイドが怪訝そうな顔で出迎える。


先程カンザキに報告して帰ったばかりだったからであろう。



「カンザキさんは?」


「ご主人様は先程お出かけになられました」


「一人で?」


「いえ、お付の者数名とです」


「クレアも?」


「クレアお嬢様でしたらお部屋だと思います。 ライラ様がお伺いなさいましたらお喜びになるかと……」


「アンズは?」


「お嬢様のお雇いになった方ですか? それでしたらお嬢様の隣の部屋かと思われます」


私はメイドにクレアの部屋を訪ねるとそちらに向かって駆け出した。



(カンザキさんは出ているから大丈夫そうだ。 となると一緒にいるクレアが危ないかもしれない)

私は全速力で階段を駆けのぼっていく。





それを見ていたメイドは目を丸くして、


「ついにライラ様もお嬢様に惚れたのでしょうか? 喜ばしい事です」

そう言って微笑んだのだった。




クレアの部屋前に着くと、

「クレア? 私よ、ライラ。 今いる?」


「おねぇ様!!! おります、今開けますから!!」


嬉々とした声が聞こえてドアが開かれる。


そこには満面の笑みを浮かべたクレアがいて、


「おねぇ様!!」


いきなり抱き着いて来た!



「わわっ、ちょ、ちょっと!」


狼狽する私に構わず、


「おねぇ様だ! おねぇ様がいる!! はぁはぁ……おねぇ様の匂い。 も、もう我慢できない!」


抱きすくめられたまま、私の首に噛みついた!!



かぷ!


「うっひゃあ!!」


噛みついた挙句、舌で舐ってくる。


「あぅ、う……ぅん。 こ、こらぁ~」


私は腕に力を込めてクレアを引き剥がす!

っていうか私結構力強いのに、この子も相当強いわ……。




そして、


ズベシッ!!


「あいた!」

クレアの脳天に軽くチョップを食らわせる!!



「酷いです! おねぇ様」


「酷いのはあんたよ! 会って早々なにしてんのよ!」

私は噛まれて舐められた場所をハンカチで拭きながら、



「私はただおねぇ様に気持ち良く……」


「はいはい! それはいいから!  それよりアンズはいる?」


「あう~つれないおねぇ様。 でもそれもまた素敵……」



(人の話を聞け! こいつはぁ~)


ちょっとだけ怒りが湧いたがそれを押さえて、


「クレア、アンズはどこ?」


「もう! アンズアンズっておねぇ様は私よりあんなチンチクリンの方が好みなのです?」


「好みとかじゃなくて! とりあえず用事があるのよ!!」


「……はぁ、仕方ないですね。 アンズなら丁度私の部屋に来てました」


ため息交じりに告げたクレアの後ろ……部屋の中から白銀の一閃がクレアに迫る!!


「クレア!」


私はクレアを抱きかかえて廊下を転がった!!



急いで立ち上がろうと……ええい! 抱き着くな!!!


私にしつこく抱き着いてくるクレアを引っぺがすと、開いているクレアの部屋の方に目を向ける。



部屋からゆっくりとアンズが出て来た。


「いきなり何するのよ!」


私がアンズに怒鳴ると、



「どうやら色々気付いた様だからな。 カンザキとクレアを始末しようと思っただけだ」


アンズは短刀を構えたまま私の方を向くと、


「お前にはこの姿で一回負けているからな……。 別で改めて消させてもらおう。 まずは……」

アンズは前回同様煙玉を叩きつけると、


「クレア!」


私はクレアを抱っこして距離をとる。

煙が晴れるとそこにアンズはいなかった。



「クレア無事か!?」


私の言葉にクレアは赤くなりつつも、


「はい、ご主人様!」


いつの間にか呼び名が変わっている……。


しかし私はそれどころじゃない。



むぅ~、アンズに逃げられたか!


「クレア、アンズが行きそうな場所ってわかる?」


するとクレアは真面目な顔になり、


「先程の会話から、もしかしたらお父様のいる場所かもしれません」


カンザキさんのところ?


「私とお父様を始末と言っておりましたし……」


確かに……でも二人を狙うなら何故今? チャンスはいくらでもあったのに。


とりあえず考えるのは後回しだ!



「カンザキさんはどこに?」


「街の商業会場です。 商業全般の話し合いがあるとかで」

クレアが立ち上がる。


「場所を教えて急いで行かないと!」

私が言うと、


「私が案内します。 ついて来て下さい!」

クレアが駆け出した!





館を出た所で追いついたリア達と鉢合わせる。


「ライラ姉様!」

「ライラ姉」

「ライラどこへ!?」


館を飛び出していく私とクレアに、みんなが慌てて声を掛ける。



「街の商業会場よ! そこにカンザキさんが居て狙われているかもしれない!」


私はそれだけ言うとクレアに続いて駆け出した!


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