第七十五話 百合逃走
前回に引き続き百合的R15です。
ソフトだとは思いますが一応注意です。
「あ、あんた達……」
私の目の前に立ちはだかるハギとカラー。
「すまないが、お嬢様の言う事は絶対なんでな」
剣は抜いていないが私を左右から挟む様に取り囲む。
(このまま二人同時に相手をするのは……)
私はハギの方に向かう!
ひとまずどっちかを倒さなくては……。
「華月流 無刃術 鏡花水月」
私はハギに肉薄すると、目の前で瞬時に腰を落とし足を払う!!
そしてその足を振り子に、体を起こすとすぐさま反対の足を出して回し蹴りを食らわせた!!
ハギはいきなりの足払いに体勢を崩しつつも回し蹴りの方は腕でガードする!
(ちっ! 倒せなかったか!)
下がると同時に、後ろに警戒を向けるとすぐ後ろまでカラーが迫っていた!
私は前屈みなると、迫っているカラーに向かって後ろ向きに飛び退さり、その懐に潜り込んだ!
いきなり飛び込んでくるとは思わなかったのか、思わずカラーの動きが止まる!
その瞬間、私はカラーの鳩尾に肘を叩きつけた!!
「ぐ、う!」
呻くように体を折ると、カラーが横倒しに倒れる。
がし!!
(えっ!?)
倒れたカラーを尻目に前のハギに目を向けた瞬間! 後ろからしがみつかれた!!
慌てて後ろを見ると……!!
クレアが顔を赤くして私にしがみ付いていた!!
「なぁ!! く、クレア!!」
「捕まえましたわよ。 おねぇさまぁ~」
(うっきゃー! 私はあんたのお姉ちゃんじゃないわよ!!!)
振りほどこうとした時、前からハギが迫る!!
(し、しまっ……)
強烈な拳が鳩尾に放たれる!!
私は身をよじると、辛うじて場所をずらした!!
こ、この状況で気絶は出来ない!
しかし!
パキともバキともつかない音が体の中で響き、鋭い痛みが走った!
鳩尾から外れた拳が肋骨を折ったようだ。
「くふっ!」
思わず声が漏れる。
「ああ、大丈夫ですか? おねぇさま!」
「わ、私はあんたの姉じゃ……ひゃぁ!!」
言いかけている途中で思わず悲鳴を上げてしまった!!
(み、み、耳を噛まれたぁ!!!)
あ、甘噛みだったけど、なにしてるの!?
「く、クレア! あんた一体何を!!」
「あ~……かぷ!」
「ひゃん!!」
(ま、また噛むし!!)
クレアが変なことしてくるせいで集中出来ないし、力が入らない!
ひとまず振りほどかないと!!
がしぃ!!
「あぐぅ!」
ハギが私の両腕を掴む!
振りほどこうとした私の気配を察したようだ。
っていうか、掴まれた瞬間折れた場所が痛かったわよ!!
おかげで……少し目が覚めた!!
私はそのまま足を上に蹴り上げた!!!
それはハギの股間を直撃する!!
クニュともブニュともつかない感触がした……。
「おごぉぉ!!!!」
ハギから変な声が漏れそのまま白目を剥くとゆっくり後ろに倒れて行った。
さわっ!
「うっひゃ!!」
いつの間にかクレアが私の服の中に手を入れていた!!
耳元にクレアの荒い息が掛かる。
「こ、この!! しつこい!!」
私は首を思いっきり前に出して……そのまま後ろに叩きつけた!!
ガン!!
(いったぁ!)
「きゃん!!!」
クレアの悲鳴が聞こえて私への拘束が緩む。
(今だ!)
私は腕を振って拘束を解くと、クレアから距離を取った!!
急いで振り返ると……クレアが額を押さえてしゃがみ込んでいる。
「うっ……うぅ……うぅぅ……」
どうやら泣いてしまったようだ……しゃがみ込んだ状態で嗚咽が聞こえる。
(う……やり過ぎちゃった?)
結構強くぶつけた気はする。
痛む胸を押さえつつ……少し心配になった。
目とか鼻だったら痛め方も酷いかもしれないし、商家のお嬢様で顔に傷など非常にヤバイきがする。
確認をしようと近寄り、
「く、クレア……あの、大丈夫?」
声を掛けるが返事はせず、ただただ首を振るばかりだ。
クレアに近付くと、
「ごめん、ちょっと傷見せて……」
泣いているクレアの手を退かすと……涙が出ている目も、鼻も、おでこも特に赤くなっていない。
「あれ? どこに当たったの?」
「おでこの上……頭の方……です!!」
言うなり私を押し倒した!!
「ったぁ!!」
胸の下の方に激痛が走った!!
クレアは私に跨ると、
「やっぱりおねぇさまは優しいです。 こんなにクレアの事を心配してくれるなんて……」
顔が……悦になってる!
「あ、あんたさっきの泣いていたのは!!」
「勿論泣きまねです。 優しいおねぇさまなら来てくれると信じてました!」
「私はもうあんたを信じないわよ!」
「またまた、おねぇさまったら……」
「こ、こら! 話ながら私の服を捲るな!!」
クレアは妖艶な手つきで私の上着をまくっていく。
寝る前だったので上着しか来ておらず……あっさりと白い肌が外気にさらされる。
「クレア。 私本当に怒るよ?」
「本気で怒って下さるなんて……やはりおねぇさまは私の事を真剣に想って下さるのですね」
(駄目だ……この子の頭の中どうなってるの!?)
気付くと胸の辺りまで服が捲られていた。
「あ、こら!!」
「まぁまぁ、落ち着いて……えい!」
「いったぁぁぁ!!」
クレアが私の痛めている場所を押す!!
そちらに気を取られている間に私のブラを外そうと……。
「ふふっ可愛い……スポーツブラなのですね」
……なんだかカチんときたぞ!
ちょっと怒りがこみ上げた私は……痛み覚悟で身をよじった!!
「きゃ!」
上に跨っていたクレアが横に倒れこむ!
「っ!」
激痛が走るがそれを押し殺して立ち上がった。
このままここにいると私の色々なものがなくなりそうだ。
私は捲られた服を下げつつその場から逃げ出す!!
クレアの呼ぶ声が聞こえるが構ってられない。
私は全速力で走っていき……そのうちクレアの声も聞こえなくなった。
「はぁ……はぁ……」
荒い息を整えつつ大木に寄りかかる。
胸は益々痛くなり……荷物はほぼない。
着の身着のまま状態で剣二本だけは持ってきたが……これからどうしよう……。
私は途方に暮れて天を仰いだのだった。




