第七十四話 百合謀略
少しだけR15 注意です。
百合の方です。
あからさまな表現は無いと思いますが、雰囲気的という事で。
「もう~~、いい加減離れて!!」
私は耐えきれずクレアを睨みつける。
「ですが何かあった時、すぐに守って頂かないと……」
クレアの方は意に介さず、私の視線を受け流す。
クレア達と一緒にカタクリに行くことになり、旅を進めていたのだが……。
兎に角クレアがくっついてくる。
歩く時も休憩中も飯の時も……一度なんかトイレまでついて来ようとしたから怒鳴っちゃったわよ!
一体何なんだ~~!
チラリとクレアを見ると、こちらを見つめてニコニコしている。
(はぁ……もう、気がおかしくなりそうだわ……)
本当なら魔族を倒してカンナ達の……ううん! カンナの道中を安全にしてあげたいんだけど……。
同行すると言った以上、さすがに自由に行動するのはいけないと分かる。
でもクレアが自由過ぎでしょ!
私が倒木を跨いで通ろうとした時、クレアお付の老兵……ハギとカラーと言う名前らしい……のハギの方が、
「クレアお嬢様、そろそろ夜になります。 キャンプの準備をした方が良いかと……」
「あら? もうそんな時間なのね。 じゃあ、そうしましょう」
丁度倒木を跨いだ先が開けていた。
彼らはテントを出し始める。
私はテントをカンナ達に残してきた。
その為、今の私はテントを持っておらず手持ちは個人の寝袋しかなかった。
立ち尽くす私にクレアが声を掛けてくる。
「あら? ライラはテント持ってませんの?」
「ちょっと、訳ありで……」
「じゃあ、私のテントに入ります? 空きは十分にありますので」
相変わらずニコニコしている。
先程までのクレアをみると不安が無いわけではない。
しかし夜露に濡れたり、寝ている間に魔族に襲われるのも避けたい。
実際テントがあれば少しは安心して寝れるかもしれなかった。
食事は美味しかった!
老兵のカラーの方は元調理師だったようで、少ない食材で豪華な料理に仕上げてくれた。
流石お金持ちの家に雇われるだけはある。
剣の腕以外にも秀でている所があるようだ。
しかしそんな美味しい食事をとりつつも私はカンナ達が気になっていた。
確かにマリーは強いし、リアもある程度立ち回れる上に回復魔法がある。
だけど何が起こるか……どんな敵が現れるか……。
素直に戻ろうかとも思うが……その度に私の足を何かが止めていた。
そしてそうこうしているうちに、私が不安に思っている就寝時間が来てしまった。
見張りは老兵二人がするらしい。
『私も!』と手を挙げたのだがクレアに却下された……。
クレアに色々捕まりたくない為、私は早々に寝袋に入る事にした。
……と、クレアもテントに入ってきたようだ。
私はクレアに背を向け『既に寝てますよ』をアピールする作戦をとっていた。
後ろでゴソゴソ音がする……寝る前に着替えているのだろう。
別にそれは良いのだが……。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
クレアの荒い息遣いが聞こえる。
(なんで息荒くしてるの!? 今着替えただけだよね? もう寝るだけだよね!?)
必死に寝たふりをする私。
私に近付く気配がする……うぅ、もう逃げたい。
ごめん! 私が謝るからカンナ達の元に戻して!!
私が心の中で叫んでいると……。
ピリ……ピリピリ……ピー……
何か布の様な物が裂ける音がした……。
(な、なにが起こっているの……)
不安と恐怖しかない。
繰り返して言うけど、私は寝袋に入って、横を向いて寝ている。
この状態で……あり得ない事が起こった。
さわっ
(え? あ、あれ? 今)
私の太もも触られた?
え? で、でも私寝袋に……。
さわっ
(ええぇ! ま、また……しかも今度は……)
何だか……お尻の方から股の方にかけて触られている気がする……って言うか!!!
「気のせいなわけあるかーーーーーー!!!!」
私は寝袋から飛び出して跳ね起きた!!!
私のすぐ横にいたクレアがびっくりした目でこちらを見ている。
いや、びっくりしているのはこっちだよ!!!
「クレア!! 貴方なにしてるのよ!!!」
クレアをよく見てみると……、
(う、嘘でしょ……)
私は目を疑った……私の寝袋に切れ目入れて手を突っ込んでいる……だから触れたんだ……。
ってやばすぎでしょ!!!
「起きてたのですか? 折角、夢心地のまま気持ち良くさせてあげましたのに……」
そう言って妖艶な笑みを浮かべる。
(ね、寝てないで良かった!!)
寝ていたらどうなっていた事か……。
「ふざけないで! 私の寝袋までこんなにしちゃって!!」
「大丈夫。 私がもっと良いものを買ってあげますから」
「そう言う問題じゃないでしょ!!」
怒鳴る私に臆することなくクレアが私に近付いて来る。
目が妖しくなっている。
「ちょ、ちょっと……何する気よ! こ、こっち来ないで!!」
(ヤバイ……これは別な意味でヤバイわ)
恐怖を感じて声が震える。
魔族よりヤバイ! 頭がおかしいわ!!
私を抱きしめようと迫るクレアを躱してテントの外に転がり出る。
何とか剣だけは掴むことが出来た。
(こうなったら荷物は諦めよう! ひとまず逃げなきゃ!)
クレアがテントから顔を覗かせた。
「逃がしません。 ハギ、カラー、ライラを捕まえなさい」
クレアの指示にどこからともなく老兵が現れる。
そして逃げようとした私の前に立ちはだかった!




