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第六十三話 各々之道


「ラ、ライラ!」


私の姿を見るとレムルスは驚いたような表情を見せた。

隣にいるフローラも目を丸くしている。



たぶん私達が捕まったと思ってたんじゃないかな?



二人はアザミが寝かせられているベッドの側に腰かけていた。

アザミは元気を取り戻したのかベッドで上半身を起こしている。

苦し気な表情もなくなっていた。


「お、王国兵は? それにどうしてここが?」

私達がここの場所を知っている事も驚いている要因の様だ。



「ふふん! あんな卑怯な手を使う連中に私達が負けるわけないでしょ!」


「あら? ライラ姉様は大怪我でうずくまっていたように見えましてよ?」


「うぐっ……べ、別にそれは言わなくてもいいでしょ! 勝ったんだから!」

ば、ばらさなくても! 折角かっこよく決まったと思ったのにぃ~。


「ここの場所はね~リアが教えてくれたの。 リアはリアが心配している人の場所が分かるんだよ~」


「カ、カンナ!?」

思わぬ伏兵による暴露にリアが慌ててカンナの口を塞ぐ。


カンナによってばらされた内容……即ちリアはレムルス達を心配していたという事になる。


レムルス達の視線に気づくとリアは慌てて目を逸らす。

腕を組んで高慢な態度をとるが……顔は真っ赤になっている。


「か、カンナに言われたからですわ!! 心配だなんて……」


「リアさん……ありがとう」

アザミが名前を呼ぶ。


「あ……う……~~~~」

リアは顔を赤くしたまま口をパクパクしていたが……、


「も、もう!!」

完全にゆでだこ状態になったリアはそのまま部屋を飛び出していった!



(ふっふっふ……なかなかレアなリアが見れたわ。 今後いじられたらこのネタでいじろう)

ちょっとあくどい事を考える私。


そんな私の前にレムルスが歩み寄る。



真剣な表情……その顔つきはきりっと引き締められはっきり言ってかなりカッコいい。

しかし瞳は潤み、悔しそうな……悲しそうな表情を浮かべている。


私の前に進み出ると、90度近く腰を折り頭を深く下げた。


「本当に!! すまなかった!!!」


「あ、う、ううん! レムルス達は悪くないよ!」

頭を下げるレムルスに慌てて私が声を掛けると、


「そうだね。 人の弱みに付け込む王国兵が元凶」

「うん。 レムルスさん達は悪くないよ!」

マリーとカンナもウンウンとレムルスに声を掛けた。


「ごめんなさい……私のせいで」

アザミがベッドに座ったまま俯く……その瞳からは雫が煌めきながら落ちていく。


「ちょ、ちょっと。 貴方こそ一番の被害者でしょ! 気にしないの! それにそこまでしてレムレスが助けようとしたのよ? それだけ大事に想われてるって事じゃない!」


「あ……う、うん」

私の言葉にアザミが顔を赤くする。


「そりゃあ、アザミは大事な仲間だからね。 でも……」

真面目な顔で回答するレムルス。


(うがぁ! この唐変木! ぜんっぜん分かってないわ!!)

これ以上水を差すような事を喋らせない様、鳩尾に肘鉄を食らわせた!!


「ごふっ!」

不意打ちに崩れ落ちるレムルス。


「れ、レムルス……」

心配そうにレムルスを見るアザミとフローラだが、


「今の肘鉄は間違ってないと思う」

マリーがしみじみと呟いた。






「そうか、このまま街を……」

レムルスが寂しそうにつ呟く。


ユーフォルビアの街外れ。

アザミの様子を見た私達一行は旅支度を終えて集まっていた。



私達はこのまま街を出てスノーランドに向かう。



アザミは病み上がりな為まだベッドで寝ており、フローラが付き添っている。

私達を見送りに来ているのはレムルスだけとなっていた。


「まぁちんたらしていると王国兵の増援が来ちゃうしね」

私は肩をすくめる。


「ライラ、やっぱり僕も……」


「すとーっぷ!」

レムルスが言いかけた言葉を大声で遮る。

そして、


「レムルス……貴方は真面目で良い人だとは思う。 けど貴方には近くで見てくれている人がいるでしょ?」


「?」

顔に?を浮かべるレムルス。


(ほんとに! 本当に分からないの!? 鈍すぎるでしょ!!)


散々睨まれたけど……あまりに不憫なアザミに同情してしまう。

頑張れアザミ……頑張れば何とか……なるかなぁ? レムルス鈍すぎだもの。


ここにいないアザミに心でエールを送る。



(そろそろ行かないと……)


私はレムルスに向かって手を差し出した。

レムルスは一瞬悲しそうな顔をしたが……グッと顔を引き締めると、ニッコリと笑顔を見せる。


そして私の手をしっかりと握りしめると、


「ありがとう、ライラ! 世話になった!!」


「ううん、こちらこそ。 色々ありがとうね」


私とレムルスが言葉を交わすと、


「フン! 精々しっかり頑張りなさいですわ」

「まぁ……がんばって」

「またね! また会えるといいね!!」


リアとマリーとカンナがレムルスに別れの挨拶を言っていく。



私とレムルスはお互いに手を離すと暫く見つめ合う。


そして……お互いに頷き合うと、同時に背を向けた。


私はスノーランドへの道を進んで行く。

レムルスは仲間の元へ戻って行く。



互いに道は違えど旅は続いていくのだった。


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