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第六十一話 魔法兵団


「リア、カンナをお願い」


私は背後にいるカンナをリアに託すと剣を抜いた。



シバは私を嘲る様に笑うと、


「剣士が魔法兵に勝てるとお思いですか? しかもこの人数に?」


私達を囲む兵士達も杖を構える

……およそ二十人ぐらいだろうか?



私はマリーをチラッと見る。

それだけで通じたか分からないが、賢明なマリーに託すしかない。



私は呼吸を整えて……その時! シバが兵達に号令を下した!


「やりなさ……」


「神速!」


瞬間、周りの時間がゆっくり感じられる。


シバの号令が途中からゆっくりと聞こえる中、私はシバとその周囲にいる兵達に剣を向ける!


「華月流 四龍」


敵の数は多い……先手を打って数を減らすと共に頭をつぶす。

それにより兵達も浮足立つはず。


シバを斬りつけ返す刃で周囲の三人に一太刀ずつ食らわせた!


神速が切れる。



「……い。 !?」


号令を言い終わったシバの胸が切り裂かれ血が噴き出す!!

そして周囲にいた兵三人も同様に血を吹き上げた。



「ぐっ! ……や、やりますねぇ」


シバは倒れそうになるのを耐えると、


「『回復ヒール』」


自分に回復魔法を掛けて傷を治した。



しかし周囲の三人はそのまま地面に倒れて動かなくなる。



「次はこうは行かないですよ?」


シバの手に長い杖が現れる……黒いねじ曲がった木の様な杖だ。


シバの視線を受けて、私は剣を構え直した。







一方、マリーはライラの視線を受けると、


「『転移テレポート』『転移テレポート』」


兵士達に包囲されている中から、リアとカンナを離れた場所へ飛ばす。



「逃げる気か!?」

周囲の兵がいきり立つ……それを見ながら、


「どうして僕が君達から逃げなくてはならないんだい?」

手に持っている杖で肩をトントン叩く。



その時シバの号令が下り……いきなり血を噴き出すシバに何事かと浮足立つ兵士達。


そんな兵士達に、


「ほらほら、あいつみたいになる前に逃げた方がいいんじゃないかな?」

バカにした様なマリーの口調に兵士達が色めき立った!


「小娘が! 魔法兵団を舐めるなよ!!」

マリーを囲んだ兵士達が一斉に魔法を放つ!!


火球や雷撃、氷の矢や突風、大岩や水球……さすが魔法兵団と言うべきか、あらゆる種類の攻撃魔法が一斉にマリーに襲い掛かる!!




しかし、マリーは慌てることなく、


「『転移テレポート』」


……包囲の外に移動した。



かくしてマリーを狙った数々の魔法は……包囲の中心でぶつかり合ったり、お互いの向かい側にいる兵士に直撃する!


「ぐあぁ!」

「ぎゃ!」


味方への同士討ちにより数名の兵士達が地面に倒れていく。



「よくも!」

残った兵士達は怒りの目をマリーに向ける。



しかしマリーは涼しげな眼を向けると、


「さっき僕が『転移テレポート』使えるの見せてあげたのに……。 しかもちょっと挑発しただけで乗って来るなんてね」


そう言って肩をすくめる。

その仕草に紫色の髪がふわりと揺れる。



「じゃあ、今度は僕から行くよ! 『雷撃サンダー』」

マリーが杖をかざすと先端から雷撃が放たれた。



しかしそれは兵士達ではなく、兵士達の足元目掛けて飛んでいく!


「ばかめ! 偉そうなこと言っても腕は並以下だな!」

「狙いがへたくそだな」


兵士達からヤジが飛ぶ。


雷撃はまっすぐ進む為、進行方向が分かっていれば躱しやすい。

まして地面に向かっているものなど、躱す必要すらないだろう。



マリーはチロっと悪戯っぽく舌を出し、

「ばいばい!」

可愛く手を振った。



地面に命中した雷撃は……濡れた地面を伝わり兵士達に流れる!!


「ぎゃぁぁぁ!」

「あばばば」



逃れた兵士達が慌てて飛び退さる。


「な、何で水が!」

「いつの間に地面を濡らしていた!?」



マリーは再び杖で肩をポンポンしながら、


「自分達で『水球ウォーターバレット』してたじゃないか。 それに『氷矢アイスアロー』も『火炎ファイヤ』とぶつかり合って溶けたみたいだしね」


「そんな馬鹿な! そこまで計算されているなんて……」

驚愕する兵士達に、



「さて……じゃあ、後は君達だけだね? 『転移テレポート』」

兵士の一人が消えて……上空に現れた!



空中で慌てふためき手足をバタバタさせるが……その行為もむなしく落下してきて、


ドスン!!


地面に叩きつけられ伸びてしまう。



「フフ、『転移テレポート』がただの移動魔法と思っていたのなら、大間違いだよ?」

マリーはにっこりと兵士達に微笑んだ。


残り五人になった兵士達。


彼らも彼女の掌で踊らされていくのだった。



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