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第五十一話 鍛練方法


「えぇ? それ本気?」

マリーが私を驚いたように見つめる。


朝食を食べていた手が止まっている。


「うん。 いい加減、昨日みたいのは困るしね」

私はスクランブルエッグを口に運びつつ答えた。


「まぁいいんじゃないですの? 私としても貴重な私の時間を余計なものに費やされたくないですし」

リアはお淑やかにサラダを食べている。


ほんっと! 見た目だけは聖女だ……褒めてないからね!



「ん~、ライラ危険じゃない?」

カンナが心配そうに私を見上げる。

その口元にケチャップ付いてる! 可愛い! 私が舐……。


「ほらカンナ。 ケチャップついてるよ」

マリーがカンナの口元を拭う。



あぁ……私の……。


人知れずがっくりしている私に、



「まぁ、であれば早めに済ませないと。 私達はまだ旅の途中なのですから」

リアが言葉を続ける。





私が考えた鍛練法とは、ズバリ『強い人と戦う』これであった。


一人で練習してもいいのだが、それだとどうしても限界がある。

勿論それもするが、同時に人と競い合う事を考えた。


その最初に考えたのが、


『レムルスと一緒にいた派手な女性を倒す』


という事であり、それをみんなに話したのだった。


まぁ、昨日の事もあるし、さっさと決着をつけた方が面倒じゃないしね。





そうして朝食を終えた私達は冒険者ギルドに来ていた。


冒険者ギルドも大きな建物の為か木造で出来ている。

といっても、かなりしっかりした作りだ。


ガタイのいい冒険者達が集まるのだから頑丈じゃないと暴れたりされて壊れるのだろう。



扉を開けてはいると、中には数人のパーティらしき人達。

それと誘いを待っているのか数名の独り者。

そしてカウンターに受付嬢が一人。


混みあっている様子はなさそうだ。



私は受付嬢のところまで歩いて行くと、


「すみません~」


「はい、なんでしょう?」

受付嬢が笑顔で対応する。


女性の私から見てもチャーミングな感じだ。


「冒険者パーティのレムルスさん達に用事があるのですが……」


「そうなのですね? 名指しの依頼ってことで宜しいでしょうか?」


(依頼? 依頼になるのかな?)

「依頼というか、会いたいとかなんですけど……」


「すみません……ただ会うだけとなると、冒険者ギルドが動くわけにはいきませんので」


それはそうだ……冒険者ギルドは出会いや紹介の場ではなかった。

依頼があれば別だろうが……。


「では、依頼をしたいのですけど」


「はい、どのようなご依頼になりますでしょうか?」


(あ、どうしようかな?)

私が返しに窮していると、


「まず、依頼をする前に実力を見たいのですけど、お願い出来ますか?」

いつの間にか私の横に来ていたカンナが答える。


身長がカウンターに届いていない為、向こうから見えなかったようで受付嬢がキョロキョロしている。

やっとカンナに気付くと、


「失礼しました。 えと、実力を見たいという事ですね」


「はい、可能ですか?」


「それは構いません。 依頼を達成出来るか、その実力を見るのも道理ですから」

受付嬢はにっこり笑うと、


「では少々お待ち下さい」


そう告げるとパラパラと紙を捲り始めた。

何か調べているらしい。



暫く何かを探していたが、


「お待たせいたしました。 レムルスさんのパーティは本日お休みの様です。 本人達のご予定もありますので、一旦仮依頼としておいて夕方に再度いらして頂いて構いませんか?」


「はい、お願いいたします」


「では、夕方再度当ギルドにお越し下さい。 可能であればその時点で実力を見て頂くことになります」


「はい、わかりました」

そうしてお礼を告げてリアとマリーの元に向かう。



二人はギルドに入った所で……あれ? ナンパされてない?


リアとマリーを挟む様に男性二人が立っている。

どちらも筋肉はあるがお頭が足りなさそうな感じだ。



「悪いけど私、貴方達みたいに教養のない人に興味ありませんの」

「うん、僕も君達には惹かれるものが無いよ」


リアもマリーもなかなか手厳しい。


しかし男二人もニヤニヤしつつ、


「まぁ、そう言うなって。 ならその何とかってやつを俺達に教えてくれよ」

「そうそう、良いだろう? 俺達もベッドで色々教えてやるからよ」


うわぁ……なんか鳥肌立った。

にやけ顔がキモイ。



リアとマリーが何を言っても効果なさそうだ……逆に距離を狭めてくる。



いい加減、見ていて不愉快だ!



「おい! お前達! 二人から離れろ!」

私は乱暴に言い放つ。


あんまりこう言う言い方はしないけど……それほどまでに二人に腹が立っていた。


「なんだ? 嬢ちゃん、お前も混ざりたいのか?」


「その二人は私の連れだ! 怪我したくないなら下がれ!」


「怪我ねぇ……冒険者でもない嬢ちゃんが、俺達に怪我を負わせられるのか?」


二人の冒険者は私をバカにしたように告げると、再びリア達に向き直る。

私を無視する気の様だ。


「……分かった。 私と勝負しろ!」


私は腸が煮えくり返っていた……このまま抑えるのは無理そうだ。


「は? 嫌だね」


だが……男はそれすら拒絶した!!



「っ! この!!」

飛び出そうとした私の前に一人の男性が立ちはだかった。



「れ、レムルス!?」


私を止めたのは以前会ったレムルス。



レムルスは私に笑顔を見せると、

「ライラ、落ち着いて。 ギルド内での争いはご法度なんだ」

私にそう言うと振り返り、ナンパしていた男二人に、 


「君達も……冒険者でもない人に勝負を挑まれて逃げるなんて、冒険者として今後やっていけるのかな?」

それは脅しだ。

冒険者が素人に尻尾撒いて逃げたなど広まれば、冒険者としてやっていくのは厳しいだろう。



実際、男二人の態度が変わった。


「分かった。 勝負を受けてやるよ」


そう言うと二人して武器を持つ。

そうして、


「……レムルス。 何のつもりでその女に協力するか分からんが。 後悔するなよ?」

「お前もだぜ嬢ちゃん。 二度と表を歩けない様に、その顔ぐちゃぐちゃにしてやるよ」


男二人がギルドの外に出ていく……ギルド内は争い禁止。 だから外でやるつもりなのだ。




「あ、ありがとう、レムルス」


「ライラは冒険者ギルドの事を知らないからね。 気にしないで」

そう告げるとレムルスは私に近付き……いきなり抱き寄せられた!


あまりの事にびっくりして固まっていると……私に囁く。


「あの二人もそれなりの冒険者。 気を付けて」

そう告げるとパッと身を離す。



(び、びっくりした~。 急に寄ってきたから何かと思ったわ)

はやる心臓……胸を押さえて落ち着かせると、


リアとマリーに、

「待ってて。 あの二人に天罰落としてくるわ」


そう告げるとギルドの外に出るのだった。



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