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第四十九話 典型展開


私達は引き続き旅を続けていた。


あれから丸一日休み全員体調は良好になっている。


その間地図などを確認して、スノーランドに向かう途中にある、ユーフォルビアと言う名前の街を目指していた。



……不思議な事に、あれ程出会っていた魔族に1回も出会わず街に到着することが出来た。



「ふぅ……やっと着いた」


陽もだいぶ傾き、綺麗な夕焼けが辺りを照らす。


そんな夕焼けに照らされてユーファルビアの街が赤く染まっている。

草原のど真ん中にありかなり目立つ、その為魔族達に襲われない様に周りを高い塀で覆っているらしい。

鉄格子の大きな門が見えており、その隙間からは街の明かりがチラホラ見えつつある。



「運よく魔族にも会わなかったし、良かったわ」

私いま剣ないし。


「そうですわね。 おかげで一日で街にも着けましたし」

リアも街に……というより宿にかな? 泊まれるので嬉しそうだ。

ウキウキした表情が見える。


「うんうん、早く行こう!」

カンナも弾んだ声で私達を促した。




街に近寄ると塀の大きさが改めてわかる。

高さは10メートル程だろうか? かなり高い。


門の前には門番が二人立っている。

服装から見るに国の兵士ではなく冒険者か街で雇った者だろうか?

兵士だったら困るところだ。


私達が近寄ると門番の一人が、


「そこで止まる様に。 街に入る前に色々審査させてもらう」


「審査?」


「ああ、すみませんね。 こいつ真面目なんですが説明が足りなくて……」


もう一人の門番が相方を指しながら話しかけて来た。

指さされた方はムッとした表情を浮かべている。


「近頃盗賊だの魔族だのが活発でね。 まぁ街の平和の為に色々審査しているのですよ」


そう言いつつ門番は手元のファイルと私達を見比べていく。

指名手配の犯罪者リストだろうか?



「ふむ……特に犯罪者ではないようですね」


「では、通っても?」


「はい、どうぞ。 宜しいですよ」


笑顔で開門してくれる。

私達は門番にお礼を言いながら街に入った。



街は主に石造りで出来ているようだ。

レンガ程の石を組み上げて家や道を作っている。

その為か二階以上の建物はあまりない様だ。


ついでなので門番に宿を教えてもらい、そちらに向かう。



夕方という事もあり、早足に家に戻る者や、今から飯に繰り出す者。

店に呼び込む店員等が目に入る。


そんな人達を見ながら通りを歩き、私達は教えられた宿に到着した。


「ここだね」

宿は三階建てで大きめだった。

一階部分は石造りだが、二階から上は木造らしい。


外見も綺麗にしてありなかなか良さそうだ。



「いらっしゃいませー」


私達が宿に入ると、明るい声と共にエプロンを付けた女性従業員が出迎える。

私達の方へ寄ってくると、


「ようこそ! 宿屋『ハツユキ』へ」

「どうも。 宿をお願いしたいのですが?」

「はい! 今なら何部屋か空きがございます」


従業員に説明され私達はカンナ用に一人部屋を一つと、私達の三人部屋を一つ借りた。

お風呂も一階に大衆浴場があるようだ。


良かった! やっぱりお風呂でさっぱりしたいしね!




その後私達は部屋に荷物を置いたりお風呂を済ませたりして宿の一階にある広間に集まっていた。


「お腹すいたねー。 この街の名物ってなんだろう?」

首を傾げるカンナの質問に、


「スノーフレークだけに住んでいる野鳥がいて、その料理が名物らしいよ?」

マリーが宿屋でもらったパンフレットを見ながら答える。


マリーは宿にきたら真っ先にパンフレットや案内板を見る癖がある。

おかげで新しい街や宿でも色々教えてくれる。

本もよく読むのでその知識もあるのかもしれない。




宿を出て晩御飯を食べに行こうと歩き出した私達。


そんな私達の周りを数名の男達が囲んだ。

周りにいる通行人が、雰囲気を察して逃げていく。



「……何?」


なんか行く先々で似たような展開だなぁ……。


「ちょっとお嬢ちゃん達に用事があってなぁ」

……どう見ても人の好さそうな感じには見えない、強面の兄ちゃん達だ。


「こちらにはないわよ?」


「そんなこと言うなよ。 この中にライラってやつがいるだろ?」


(え? 私?)

てっきりカンナ狙いかと思っていた私は、思わず目をぱちくりさせる。


「ライラがお望みなんですのね?」

後ろからリアが尋ねる。


「そうだ。 ライラってやつに用があるんだよ」


「ですって、ライラ」

リアが私の肩にポンッと手を置いた。


男達が一斉に私を見る。


(えぇ~……リア~それはあんまりじゃないかな?)

リアに非難の目を向けるが、それを一切気にせず。


「じゃあ、私達は食事にいきますから」

リアが私を置いて歩き出す。


(え? 本当に置いてくの?)



しかし……、


「リア、ほんとにライラを置いて行くの?」

カンナの一言にリアの足が止まる。


振り返ったリアの表情は……微笑みだ。


「嫌ですわ、カンナ。 私が大事なライラを置いて行くわけがありませんわ」


「で、でも……」


「そうやって助けを呼びに行くつもりでしたのよ?」

カンナを安心させるように優しく返答する。



でも、私は思った。

(嘘だ! ぜっっったい嘘だ! どう見ても私を置いて行く気満々だったもん)



「そ、そっか。 ごめんね」

カンナがシュンとなって項垂れる。


「いえいえ、大丈夫ですわ。 カンナはお優しいですから」


と言いつつも、リアは目で『さっさとそいつらを片付けなさい』と訴えている。


……そんなにお腹すいているの?



私はため息交じりに、


「悪いけどお断りします。 今から晩御飯なので」


「いや、付き合ってもらうぜ。 俺達だって既に前金を……」


「馬鹿! 黙れ!」

調子に乗って喋る男を別な男が慌てて黙らせる。




前金……ねぇ?


「……ってことは、誰かに頼まれたのかな~?」

私がにんまり笑って尋ねると、男達は慌てて目を逸らす。



「じゃあ、色々お話しよっか! 誰に頼まれたか教えてもらえるかな?」


私はにっこり笑うと……男達に飛び掛かった!!



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