第四十八話 翌朝状況
(……明るい?)
私は……閉じていた目をゆっくり開ける。
朝になっているようだ……目に映るテントの天井越しにも太陽の光が眩しく感じられる。
横に目をやると、座った状態でカンナが眠り込んでいる。
その目は腫れぼっていて……夜通し泣いていたのだろうか?
反対側へ目を移すと……う。
リアが私の側に座り込んで……なんか睨んでない?
「起きましたの?」
「お、おはよう……リア」
「おはようございます。 ライラ姉様。 もう大丈夫でしょうか?」
……言葉だけ聞くと優しく思えるかもしれない。
でも言葉の節々にトゲがある気がする……空気も張りつめている。
「う、うん。 ありがとう、リア」
「……はぁ」
リアが一息つく……張り詰めた空気が緩んだ様に感じられた。
「まぁ……ご無事で良かったですわ。 流石に手遅れかと思いましたし……ライラ姉様の化け物みたいな生命力には驚かされますわ」
なんやかんやいっても助けてくれたらしい。
っていうか、張り詰めていた空気や睨んでたのって心配からの緊張で?
「リア、ありがと」
「べ、別に! カンナが泣くから仕方なくですから!!」
プイっと横を向く……長い金髪がさらさらと流れる。
「それじゃ、私も少し寝ますから……。 マリーが外で食事を準備しているはずです。 お腹すいたらそっちにどうぞ」
それだけ告げると、リアはごそごぞ寝袋に入っていく。
テントから出るとマリーが焚き火の近くに座って本を読んでいる。
火には鍋が掛けてあり……どうやらスープ?
火から外したところにも鍋があり……。
足音で気付いたのか、マリーが私をチラリとみて、
「ライラ姉。 もう大丈夫なの?」
「うん。 マリーも心配かけてごめん。 ありがとう」
「別に大したことはしてない。 回復もリア姉がしたし」
本をパタンと閉じて立ち上がる。
テントに戻って行きながら、
「お腹すいているなら自分でよそって食べて。 僕は少し寝るよ」
みんな寝ないで看病してくれていたんだ……色々あるけど、みんな優しい!
と、私が感動していると、
「ライラ!!」
テントに戻るマリーと入れ違いにカンナが飛び出して来て私に抱き着いた!
そして私に服に顔をうずめてぐりぐりこすりつける。
(可愛い……可愛い!!)
これは……これは無問題だよね!
私もカンナを抱きしめた!
「ありがとう。 カンナ。 心配してくれて……」
カンナを抱きしめながら微笑んで優しく声を掛ける。
(えへ……えへへへ。 カンナの温もりだぁぁぁ! もう幸せ……すぎて……)
本心は天国に行ってしまいそうだ……。
しかし何度も言うけど、私は表情に出さないのは得意!
カンナに対して優しく微笑みつつ頭を撫でる。
(うふふふ! 久しぶりのカンナエネルギーだよぉ! 柔らかい髪、体……)
暫くカンナを堪能していると、カンナが離れる……残念。
「とにかく無事で良かった。 ライラ死んじゃったかと思ったんだからね!」
思い返したのか涙目のカンナ。
「リアの魔法や、みんなが心配してくたから助かりました。 ありがとうございます」
そこまで言って私は気付いた……ここ最近無かった事。
カンナと……二人っきりだ!
リアもマリーも寝ている……、これっていわゆる二人きりなのでは!?
「か、カンナ。 もう少しカンナを……」
抱きしめていい?……と訊こうとしたが。
「ぐぅ……」
カンナは……立ったまま寝ていた。
安心したのかその寝顔は穏やかで……これ天使じゃない? いや天使でしょ!
いくら私でも寝ているカンナに対して……いやいや抑えないと。
頑張れ私、負けるな私!
カンナをテントで寝かせようと抱き上げる……いわゆるお姫様抱っこだ。
(やばい! 顔近くない? 近いよね? 近いよぉ!!)
私のテンションがやばい!
カンナの唇に目が行っちゃう……寝てる時なんて駄目だよ私!
そーいうのはちゃんと、カンナの同意を得ないと!!
自身を必死に押さえてテントに入りカンナを寝かせた。
(……なんか、つ、疲れた)
自身を押さえつけるのにかなり精神力を使った気がする。
私はテントから出ると深呼吸で気持ちを落ち着かせ現状を把握する。
テントの中にも外にもデュランダルはなかった……やはり奪われたようだ。
襲ってくる魔族、国から狙われるカンナ、署名をもらう事、奪われた剣……問題は山積みだ。
(とにかく……何か剣がいるわね)
これでは襲ってくる魔族とも戦うのが厳しくなるだろう。
どこかの武器屋で覗かないと……。
考え事をしながら食事の準備をする。
食欲はないが、しっかり食べないと体調が戻らない気がする。
スープと……これは、おかゆ?
火にかけている鍋はスープ。よけてある鍋はおかゆが入ってた。
(私の為……胃に負担のならないように?)
腹を怪我した私に気を遣ってくれた様だ。
私はみんなに感謝しながら食事をとる。
(みんなを……仲間を守るためにも剣がいる……)
デュランダルは必ず取り返す……その為にはあいつを倒せるようにならなくては。
私は決意を胸に食事を続けるのだった。




