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第四十四話 村対魔族


うん……運命の神様って言うのは本当に意地が悪いよね!


「あ……」

「君は……」


宿の受付で昨日の男性とばったり会ってしまった……。

いくら何でも早くない? 昨日の今日でしかも朝からなんだけど?


うぅ……気まずいけど……謝らないと。

「あ、あの?」


「うん」

男性も真面目な顔でこちらを見てくる……っていうかそんなに見ないでほしい。

昨日の事もあってなんか恥ずかしいし……。


「昨日はごめんなさい……私がカギをかけ忘れたみたいで」


「いや、こちらこそ申し訳なかった。 いきなりあんなこと言われれば困るだろうに」


あう、逆に謝らせちゃった……。


「いえ、そんなことは……」


「……えと、じゃあお詫び代わりに名前を教えてもらえると嬉しいかな?」


「う、な、名前……」

う~ん……まぁそんな会う事もないだろうし……。


「ら、ライラです」

私が言うと、


「ライラ……良い名前だね。 誠実な感じがする」


うぅ……名前で褒められても困るよぉ。


私の困惑を余所に、


「僕の名前はレムルス。 仲間達と冒険者をしているんだけど……」

「レムー!」


不意に声がして、レムルスはそちらの方に顔を向ける。


宿の外に出ていたのか、派手な女の子と真面目そうな女の子が宿に入ってきた。

二人の女性はレムルスの側に行くと、私の事をジロジロ見てくる。

この二人が言っていた仲間だろうか?


(な、なんだろう? 凄い見られるけど……)


「ふ~ん、この人が昨日レムの言っていた『運命の人?』」

派手な女の子がレムに寄りかかりつつ言い放つ。

レムは少し眉をひそめている……敬遠しているようだ。



(と言うか……仲間の人達にそんな風に言ってるの!?)


「貴方ですね! 昨日私達の仲間のレムに拳を叩きこんだ乱暴な女性って!!」


真面目そうな女の子が怒り顔で詰め寄って来た。

服装から見るに僧侶の様だ。

もしかしたら昨日レムルスを回復したのかもしれない。


「ご、ごめんなさい!」

私は再度頭を下げて謝る。


まぁ確かにいきなり殴っちゃったし……。



「いいんだフローラ。 もう謝ってもらったし……それにライラが困ってる」

レムルスが僧侶の女性にそう言うとしぶしぶ後ろに下がる。


しかしすぐに女性二人が、

「レムー、早く出発しようよ!」

「そうですね、ぐずぐずしている訳にも行きません。 これ以上怪我人が出てしまうのは心苦しいです」


レムルスの両腕を引っ張り始めた。


「怪我人?」

私が呟くように言うと、それが聞こえたのか、



「ああ、この街の外れに魔族がいるらしくてね……少し数が増えてきているから僕達が退治するために来たんだ」


「もう! レムったらなんでこの人にそんなこと教えちゃうの? 関係ない人でしょ」

派手な女性が拗ねながらレムの腕を引っ張る。


「分かった、分かったから……じゃあねライラ、また会える日を楽しみしているよ」


レムルスは手を引っ張られて宿の外へと消えて行ったのであった。






「へ~そんなことがあったのですね」


私とレムルスのやり取りを見ていたカンナ達。

流石にやむを得ず私も昨日の顛末を話すことにした。


下着姿見られたのは改修したけどね!

カンナには絶っっっ対バレたくないし!!


「いいじゃないですのライラ? そのレムルスって方と一緒になってみては?」


「なっ!」

不意のリアの言葉に、


「そ、そんなことしないわよ! 大体私はカン……」

カンナが傍で聞いているんだった……危うく告白みたいになるところだったわ!


「……ふふっ」

リアが含む様に笑いを漏らす……何という嫌らしい笑み。



私達は話ながら村の外れ……旅を続けるため村の出口に向かっていた。





その時、


カンカンカン……


いきなり鐘が鳴り始めて、


「魔族が出た! こっちに来るぞ!!」

村のどこかで誰かが大きな声で叫んだ!



村の出口付近まで歩いてきていた私達の目もその魔族を捉えることが出来た。



その魔族はオーク。


豚人間みたいな容姿で小太りで醜悪な顔をしている。

だが力もそれなりに強く動きも早い、そして怖いのはゴブリン達と違い頭がいい。


村に来ようとしているのは十数体ほどだろうか?




私が剣を抜いた瞬間、


「『火炎ファイヤ』」

「『電撃サンダー』」

「『突風ガスト』」


村中から魔法がオーク達に飛んでいく!


見ると村人たちがオーク達に魔法を放っていた!


「……この国って兵士要らないんじゃ……」

私がボソッと呟く。


しかし……、


「ぐわぁ!」

「ぎゃ!」


村人が二人叫び声を上げて倒れる!


その胸には矢が刺さっていた。

オーク達も村人が魔法を使えるのを知って、それなりに対抗する手段を備えているらしい。


更に数本矢が飛んで来る!!


私は村人たちの前に飛び出すと、


「華月流 明月」


矢を剣で叩き落す!!




「おぉ!!」

「助かった!!」


村人達から感謝の言葉が掛けられる。


「いえ、矢は私が防ぎますから、皆さんはオークを!」


「ああ、頼む! 『火炎ファイヤ』」


火の玉が弓を構えたオークを直撃し黒焦げにする。


矢が刺さった村人はリアが治しているようだ。


「『雷撃サンダー』」

マリーも村人と一緒にオークを撃退していた。


そうして順調にオークを撃退できるかに見えたのだったが……。






「ま、待て!!  ストップ!  攻撃をやめろ!!」

村人達が何かに気付いたのか魔法を止める……その見ている先には……。



「子供!?」


オークが幼い女の子を盾にして掲げている。


「コリー!!」

女の子の父親だろうか? 慌てたような声を出し女の子の名前を呼ぶ!!


「パパ!! 助けてぇ! こわいよぉ!!」


オークの腕に掴まれながら泣き叫ぶ女の子。



「人質だと? 何て卑怯な!」

「何て事だ……」


村人達がざわめき始める……。


そこを狙ってオークの矢が降り注いだ!!


(矢が多すぎる! 全部は落とせない!!)

矢が多すぎて……明月では無理だ。



「『聖光障壁セイントウォール』」


光の壁が村中を包み込む!

飛んできた矢は全て光の壁に当たって地面に落ちて行った。


初めて見る魔法ではあったが、唱えたのはリアの声だ。


私が驚いてリアを見ると……少し苦し気にしながらも私に向かって、


「早くあの少女をなんとかしなさい。 私のこの魔法はあんまり持たなくてよ」


第二射がオークから放たれて再度光の壁に阻まれる……しかし少女をどうやって?



神速で走るにしても距離があり過ぎる。

魔法も放って届くまでに時間が掛かる。

下手すると子供を盾にされかねない!


しかし……打開案が……。





「『獅子双刃ししそうじん』!!」


急に声がしたかと思うと、少女を捕まえていたオークが叫び声を上げて倒れた!!



その背後には……レムルス!


背後からオークを斬りつけたらしい。


彼は両手に一本ずつ剣を持っている……どうやら双剣使いの様だ。

レムルスの仲間の僧侶が少女を助け出し庇う様に背後に回す。



仲間のオークがやられたことに気付いた周りのオークが、レムルス達に襲い掛かった!


しかしそのオーク達の頭上に鉄で出来たナイフのような……苦無が降り注ぐ!!


それにより周りのオーク達が堪らず悲鳴を上げる。


苦無は確か東邦の国サクラの者達が使う武器だったはず……私は父ハーデンからそう言った武器を聞かされたことがあった。




「ふふん! 頭上ががら空きなのよ!」


木の上にあの派手な女性が立っている。

そこから下にいるオーク達に苦無を投げている。



「『獅子連牙ししれんが』」

下ではレムルスがオーク達に双剣を突き立てている。




「今だ、私達も!」

私が我に返って皆に叫ぶと、村人達も思い出したように魔法を放ち始めた!!


そうしてオーク達は村側とレムルス達からの挟み撃ちによって全滅したのだった。


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