第三十三話 林中機器
馬で駆けていくうちに荒野を抜けて林の中に入る。
林の中を暫く進むと……、
「あら? これ以上は厳しそうね」
何かあったのか、数本の倒木が道を塞いでいた。
これでは馬で進む事は難しそうだ。
林はうっそうと茂り、道もほとんど草で覆われている。
それだけこの街道を使うものがいないのであろう。
私は馬を降りて後ろのマリーを降ろしてあげる。
カンナの方に行くと、二人も馬から降ろしてあげた。
「ここからは歩きになるね~」
カンナも無理そうと踏んだのか、残念そうに馬を撫でている。
「仕方ない。 ここで馬を放そう」
私は馬具を外すと、馬を解放する。
馬達は少し迷いながらも林の中へ消えて行った。
木をまたぎ、草をかき分け、道らしくない道を進んで行く。
「うひゃぁ!!」
急にカンナが大声を上げる!!
「どうしたの!?」
私が駆け寄ると、
「くびにぃ! 首になんかいる!!!」
私に抱き着いてくる!
首を見ると……カンナの首に枯れ葉がくっついている。
それを払って枯れ葉と教えてやると、
「あ、あぅ……ありがと」
余程恥ずかしかったのか真っ赤になってお礼を言ってくれた。
(うん……最高だ)
「……ライラ、あの? 大丈夫?」
カンナが心配そうに見上げている。
「ん? 何か?」
「……鼻血が……」
「おうふ」
鼻の下に手を当てると血が付いている。
「はい、どうぞ」
カンナがハンカチを出してくるが……、
「いえ、血は落ちなくなるから良いですよ」
やんわり断り自分のハンカチで拭き取る。
……が、なかなか止まらない。
まぁさっきのカンナ王子は最高だったからね!!
「リア、ライラに『回復』してくれる?」
血が止まらない私に見かねて、カンナがリアに頼み込む。
「ええ、良いですわよ」
ニッコリとカンナに微笑み、私の方に向き直ると……すっっごい嫌そうな顔で『回復』を唱えた。
うぅ……回復魔法なのに精神力が減った気がするわ……。
「ありがとう、リア」
「いえいえ、カンナのお願いですもの」
カンナに最上級の笑顔を見せるリア……あの子の顔どうなってるの?
私達がそんなやり取りをする中……マリーだけはじっと林の奥の方を見ている。
何か気になる事があるのかな?
……と思ったら、杖を掲げて魔法を詠唱し始めた。
(いつもは魔法名か指パッチンで出せるのに、詠唱なんて珍しいわね)
「星の導き、空を切り裂く天罰。 非情なるその鉄槌を持って……」
長々と詠唱をしている……一体何の魔法だろう?
リアとカンナも何だろう?と言う風に見ている。
「全てのものを灰塵とせよ! 一切滅ぼし欠片も残さぬよう押しつぶせ!」
……なんか物騒な言葉が聞こえているんですが……。
「あの、マ……」
名前を言う前に詠唱が完了した。
「降り注げ!! 『隕石』」
マリーが魔法名を告げた瞬間……発動先の上空に光の粒が集まり大きな岩になる……。
そしてそれが……降って来た!!!
「うわぁぁ!」
悲鳴を上げる私達の前で……上空から大きな岩が降ってくる!!
その大きさは……これどれくらいあるのぉ!?
ざっと建物数件分? とにかく非常に大きい。
そしてそれが……マリーが見ていた林の奥の方に徐々にゆっくり落下していく……。
いや、ゆっくりに見えるのは隕石がでかすぎるからだろう……。
バキバキ、ミシミシと林の木を全て押しつぶしながらゆっくりと落ちていき……。
ズズン!!!
もの凄い振動と共に風圧が私達を襲う!!
風で草や木の枝などが飛んで来る!
手で顔を隠しながら、隕石が落ちた先を見ると……。
「な、なにあれ?」
つい声が出てしまった。
隕石が落ちた辺りは変な機械の残骸が散らばっている。
中にはガーディアン等の残骸も混じっている。
「……おかしいとおもったんだ」
マリーがポツリと呟き始めた。
「林の奥の方だけ、風が吹いても葉っぱは散らないし、草も陽の当らない場所まで生えてるし、地面に生えている草の色も全て同じ様な緑色で……陽の当たり方で変わるはずなのに」
(違和感を感じてじっと見ていたのね……)
「多分、あそこの機械で幻影みたいな何かを映し出していたんだと思う」
そう言えば司令室でもガラスに文字や図を写していたし……何らかの技術があるのかもしれない。
「でも何のために?」
「それは分からないけど……」
マリーが眉をひそめる。
でも何でこんな場所に、そんな大掛かりな機械が?
その時、私の耳がいつぞや聞いた音を拾う。
「こ、この音は!」
弾かれたように上空を見ると……、
「黒箱!! 何でこんなところに!」
以前私達を大量のガーディアンで襲ってきた黒箱、あれが再び私達の上空に現れたのだった!!




