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第三十二話 典型展開


(うぅ……酷い砂埃だわ)


私は門番の人に教えられた通り口に布を巻いている。

カンナ達もそれぞれ口を布などで押さえていた。


強い風に服がはためき、その度に砂埃が巻き上がる。

この荒野には風を遮るものが無い……そのため風がガンガン吹き抜けていく。


(目もまともに開けられないわ……)

目に砂が入ってしまう……薄目の状態で歩いて行くが……顔など剥き出しな部分に砂が当たり皮膚が砂だらけなのを感じる。


(う~……早く水浴びするかお風呂に入りたい)

チラリと後ろを見ると、三人もモクモク歩いている……この状況では喋りたくもないだろう。



そして、こういう嫌な状況で出てくるのも必然なのか……。



「!?」


私の耳が強風の中、辛うじて捉えた!


私がバックステップで下がると、先ほどまで私がいた場所……その場所の真下から何かが突き出された!

それは大きな二本の鎌の様な形をしており……突き出されるとともに交差される。


まるで巨大なハサミであった。



「魔物の様だね」


マリーが杖を構えつつ警戒する。



獲物を捕らえられなかったと気付いたのか、ハサミが地面にもぐりこんだ!


「また潜った!」

「気を付けて! 下から来るよ!」


私は地面の音に耳を傾ける。


地中を動く音がする……音が向かう先は……リア!


「リア!」


私がリアを突き飛ばすと同時に下からハサミが現れた!!


(避けられない!!)


閉じられるハサミ!!


ガキン!!


剣と鞘を使ってそれぞれを受け止める!!


(くっ……つ、強い……)


挟む力が強く徐々にハサミが閉じられる……。



「ライラ姉! 『転移テレポート』」


マリーが唱えると同時に私の視界が一瞬歪み……気付くとマリーの横にいた。


離れた所では先程のハサミが交差した状態でゆらゆらしている……獲物が消えたことが不思議で混乱しているようだ。



(今だ!)


私が駆け寄るとその音に気付いて地面に潜ろうとする……だけど私の方が早い!!


「華月流 三斬華」


重撃を片方のハサミに叩きこむ!! 


バキン! と言う思ったより軽快な音を立ててハサミが折れた!!



そしてそのまま地面に潜っていく……音を聞いていたがどこかに行ったようだ。

どちらにしろあのハサミでは獲物を挟むことは出来ないだろう。


「ありがとうございますわ」


リアが素直にお礼を言ってくる……これは……珍しすぎて雪やら槍が降らなければ良いけど。




ヒュ~………。



強い風が吹き……砂埃が舞う中、何かが飛来する音がする。



私が目を凝らしてそちらを見ると……なんと槍が数本飛んできている!!



うそぉ!!


「リアが素直にお礼を言ったら槍が降ってきたぁ!!」


「何をバカなことをおっしゃってるの!」


そんな風に言っている中、強風をものともせず槍が飛んで来る!!



「みんな! 私の後ろに!!」


私の後ろに三人が集まる。


「神速! 華月流 明月!!」


剣を円の動きで払い、槍をはねのけていく!


飛んできた槍は十数本ほどあった。


私が跳ねのけた以外の槍が地面にぶすぶす突き刺さっていく!



全て防ぎきると……、


「一体何なんですの!?」


全くだ! なんで槍なんかが……。


「……これ投擲用のジャベリンだね。 柄を短く、先端を重くしてある……風の影響を少なくしているのかな? 確かにこんな風の中で矢を飛ばすよりは良いかもね」


槍を調べていたマリーがそんなことを言う中、


「どうして槍が飛んで来るの~?」

カンナが涙目になって私の腰にしがみついて来た。


「うっは!」

思わず喜びの声が出た私に、


「……『うっは』って……ライラ姉様」

リアが冷めた目で見てくる。


うぅ、不意打ちだったし出たのは仕方ないのに~。



そんなやり取りをしていると、私の耳が再度別な音を捉える。


「……馬が来る」


舞い上がる砂埃で見えないが数頭いる様だ。



「う~、見えないし。 風も酷い……何が来るかも見えないよ」


私が愚痴ると、


「ライラ姉。 ずっとは無理だけど、短時間なら僕が……」


マリーが杖を構えると、


「『石壁ストーンウォール』」


地面から石の壁が出てくる。

マリーは何度か魔法を唱えて、数枚の石壁を並べて出した。


壁が出来たことで風が少し弱まる。



そこに馬に乗った男達が数名現れた。

手には先ほど飛んできた槍を持っている者や、剣を持っている者がいる。


雰囲気的にもどう見ても穏やかではない。




男達の一人が少し前に出る。


「なんだ……一人も死んでないのか。 まぁいいや、お前達、有り金と荷物を全て置いて行け」


なんという絵にかいたようなテンプレ盗賊。

門番が言っていたことが実現してしまった……ある意味フラグだったのかな?



「何をしている! さっさと……ぎゃぁ!」


男が言い終わる前に私の後ろから雷が放たれ男に直撃する!!

直撃した男は馬から落ちて動かなくなった……気絶したのであろう。



(マリーの魔法って発動早いからなぁ……)


「貴様ら!!」


他の男達がいきり立つと、私達目掛けて武器を振りかざして襲い掛かって来た!!




「くらえ!!」

「しねぇ!」


カンナ達を庇う為、前に出た私に槍と剣が同時に迫る!!


「二人掛かりは危ないよ?  華月流  双刃葵」


先に届いた槍を受け流し、剣を振りかざす男の馬に刺さらせる!!


ヒヒーン!


槍が刺さった馬はパニックになって嘶き、剣を持った男が落馬する!

また、槍を持つ男の馬も、別な馬の急な嘶きに驚いて暴れだした!


「お、おい! 落ち着け!」


慌てて落ち着かせようとする男と、落馬した男が落とした剣を探している。



(敵を前に注意力のない事……)


「華月流 四龍」


男二人を切り裂き、更に向かって来た男二人を一斬りずつで地に沈めた。


別な方ではマリーが魔法で二人を火だるまにしている。



「くっ! こいつらつえぇ! 撤退だ!」


残っていた二人は私達の戦いを見て、泡を食って逃げて行った。


後には倒れた男達と馬数頭。



私は閃いた!

「この馬、借りちゃおう!」


「え、でも僕馬乗れないよ?」

マリーが言うとリアも、


「私も……乗ったことございませんわ」


「大丈夫、僕は乗れるし、ライラも乗れるよね?」

カンナ王子が私を見上げる。


カンナ王子は教育の一環で乗馬を習っていた。

そして優しいカンナ王子は動物が大好きな為か乗馬などは非常に上手だった。



かくして私とマリーがセットで、カンナとリアがセットと言う……言い出しっぺの自分が後悔する形で騎乗する事になった。


(うぅ、カンナ王子と一緒がよかったよぉーー!!)



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