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第二百五十六話 希望之光


躱せない!


僕だけなら『転移テレポート』で逃げれる

だけど僕の隣にはリアとカンナが……



だけど僕の体は勝手に動いた。


「『転移テレポート』」

パチン!


魔法名詠唱と指を鳴らす事で二人までなら同時に飛ばせる。

リアとカンナの姿が隣から消えた。


続けて魔法を使う余裕はない

もう既に黒い塊が僕の眼前に迫っていたのだから……


でもこれで良いんだ

カンナとリア姉を逃がす事は出来たんだから



諦めて目を閉じようとした僕は、横から来た何かに飛ばされ一緒に激しく地面を転がった!


「ぅ……」


その痛みに顔をしかめ何があったか確認する。

そして……僕は理解した。


「ライラ……姉……」


僕と一緒に転がっているライラ姉が、必死に立ち上がろうと藻掻いていた。

僕を助ける為に体当たりをしてくれたんだ……


「マリー……外へ……行きなさい」


掠れた様な声。

必死に何かを抑えたような……。


「外……に、は、カエデ……達や、ヘラク……レス達……が」


掠れた言葉を何度も途切れさせ僕に伝える。

手がぶら下がり動かない、それを足だけで何とか立ち上がるとライラ姉は僕を庇う様に……


「ライラ姉、そんな状態なのに!」

「だい、じょ、……まだ手は……」


僕に背中を見せ続ける。

今まで何度も見てきた、僕達を守ってくれた背中。


「早、く、行き……はぁ」


言葉を途切れさせ大きく息を吐く。



「マリー、カンナを連れてみんなを呼んで来るのですわ!」

「リア姉?」

「ここは私とライラ姉様で……」


そんな私達にライラ姉が再び、


「リアも、行き、なさい」

「っ! 嫌ですわ! ライラ姉様を一人残して……」

「たまには、お姉ちゃん、の言う事を、聞いて」

「ライラ姉様……」


息を深くつくライラ。

そんな私達の様子を見ていたヘラだが、


「なるほどですよ。 ヘラクレスがいるのですよ? だからヘラの事も分かったのですよ……」


理解した様に深く頷いた。


僕も頷く。


「分かった。 みんなを呼んでくるから……」

「マリー、リアを『転移テレポート』で……」

「待って! 私は……」

「ライラ姉……分かった」


僕はリアに魔法を掛けようと……その前にリアが魔法を唱える!


「でしたら最後に……私の全ての魔力を!! 『聖全方縛セイントキューブ』」


ヘラが光の箱に閉じ込められる!

しかし魔法を放った瞬間リアが崩れ落ちた……


「リア姉!」


僕が慌てて近寄ると……息はしているが顔は真っ青になり気を失っている。

魔力を極限まで使った為だ。


「マリー、みんなを、おねがい」


少しだけ後ろを……僕たちの方を振り返った横顔。

ライラ姉の顔は優しく……


僕はそれを見ながらカンナ、リアを飛ばし……


「ライラ姉! どうか死なないで!」


転移テレポート』した。





場に残されたのは私とヘラ。

ヘラは特に焦るでもなく相変わらずふわふわした様子で箱に閉じ込められている。


「面白い魔法ですよ。 物理、魔法を完全に遮断する魔法ですよ」


箱の内側をツンツンしながら見ていたが、


「まぁ、ヘラには意味ないですよ」


軽く手を押し当てると箱がアッサリと消えた。


「ヘラは全てに終焉をもたらす事が出来るのですよ」


そうして私のすぐ前まで歩いてくると、感心した様に、


「それにしても……あなたよく生きているのですよ? 普通なら死んでいてもおかしくないのですよ?」



そんな事は……自分が一番わかってるわ……


マリーに体当たりをして助けた時、私は黒い塊をいくつか食らっていた。



「え〜と、下腹部はほぼ活動停止で、肺も少しだけ……右脚から下、両肩、そして……」


ヘラは私の顔を見る。

私は……見えている右目だけをそちらに向けた。


「顔の左側の一部……左目は見えないですよ? そんなに苦しまなくても心臓に当たっていれば即死ねたのですよ?」


肺が苦しい、息がし辛い……。

神速の呼吸法のお陰で何とか落ち着いて呼吸出来るが、それでも話す事は苦しく、私はヘラに返事を返せない。


「あ。でも、ヘラクレスが来るのでしたら厄介ですよ。 さっさと後を追うのですよ」

「あ、あなたに……」

「?」


私は苦しさを押さえつけ、


「最後に、お願いが、ある、の」

「なんですよ? もう何も出来ないようですし、聞いてあげても良いのですよ」

「私の、剣を……持たせて、欲しい……の」


見える右目で床に落ちている剣に視線を向けた。

私の数歩前……デュランダルが静かに横たわる。


「あなた腕動かないですよ。 だから嫌ですよ」


アッサリとそう告げ肩を竦めると、


「それではヘラは行ってくるのですよ。 あなたへの止めは……」


悔しげな私に……今まで少女らしい笑みを浮かべていたヘラが、最後に見せた顔。

それはおぞましく、恐怖や畏怖を与える程禍々しかった。


「……やっぱり……」

「?」

「心が……汚いと、顔も……最悪ね」

「このっ!?」


ヘラが私に何かしようとしたが、私はそれを確認せず……動ける左足だけでデュランダルの場所に跳躍した!

剣のもとにもんどり打って倒れ込む!


「そんなに剣と死にたいなら死ねばいいですよ!」


例の黒い塊がいくつも空中に現れる!!


「死ねですよ!!」


憎々しげに言葉を吐き出す。



私はそれに構わず剣に寄り添うと、


「みんな……お父さん……力を貸して……」


視線をヘラに向ける。

私の視線にヘラが一瞬たじろいだ。


「何を……」


ヘラが言い切る前に私はその言葉を紡ぐ。




「『ホーリー』」




たった一言……跳躍のお陰で息が乱れ苦しかったが、何とかその言葉を吐き出した。


「ホーリー?……神の祝福? どこかで聞いたような……」


と、ヘラが口にしたその時!


私の下にある剣が……光り輝き出した!!


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