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第二十三話 街中観光


「助けよう!」


カンナ王子があっさり判断する。


私はそれを聞きながら、


(ですよねー……)


予想通りだった事に一人頷いた。



「はぁ~……やっぱり面倒事じゃないか」

マリーが言うと、


「こうなるとは思っておりました……」

リアは最初からこうなると踏んでいたようだ。




私が戻ると三人とも寝ていたようで、各部屋からは一人ずつの寝息が聞こえていた。

少し安心して私も就寝し、そして翌日の朝、昨夜の出来事を説明していた。


「ちなみに作戦とかございますの?」


「ええと、今夜もう一度冒険者ギルドに行って話をする事になっているから」


「分かりましたわ。 どちらにしろそんな状況ならカンナも普通に挨拶など出来そうにないでしょうしね」


カンナの持つ書状に領府長の署名をもらわなくてはならない。

でも監禁されているなら会わせてもらえない可能性が高いだろう。



「まぁ、ライラね……ポチが頑張ってくれれば」


「何で『ポチ』に言い直したのよ!」


「ライラ姉、馬鹿な事言ってないで朝食……餌の時間だよ?」


「マリー!?」


何か二人して朝から辛辣じゃない? 私の所為? 私が厄介事持ってきたから??


「あ、ええと! 安心してライラ!」


カンナが少し考えると、私を慰めるように、


「僕、犬も好きだから!」


「あ、うん。 ありがとう……」


カンナが嬉しいなら良いかな……と思いつつ何か釈然としない。


(う~ん、まぁご飯食べれば大丈夫)

私もみんなの後を追って朝ご飯に向かうのだった。




「ライラ姉様の胃袋ってどうなっていますの?」

「本当だよ。 朝からあれだけ食べるとか……見てるこっちが胸やけしちゃうよ」


リアとマリーが言うけど、朝ご飯は活力の源。 しっかり食べないとね!


「ねーねー、この後何するの?」


カンナが尋ねる。



朝食を食べた私達は街中に出ていた。


「折角ですし、街を見て回りましょう」

私の提案に三名とも同意する。


やはりストケシアとは全く違う街並みに興味津々らしい。


公園は近付くと勝手に水が出る噴水や水飲み場があり、街には道を勝手に掃除するロボット。

乗り物は動物が居なくても動くし、ガラス窓に表示される文字や絵……など見たこともないものばかりだ。



「すご~い! すご~~い!!」

カンナ王子は感動しっぱなし、


「これは何かしら? これは何なのかしら?」

リアも色々触ったり覗いたり、


「これどういう仕組みだろう? これ何で出来ているのかな?」

マリーは仕組みに好奇心を覚えているようだ。


かくいう私も見たことのないもの、知らないものばかりで目を見張ってばかりいた。



そんな中、古めかしい佇まいの建物が目に入った。

「ここは何か普通なのね……」


看板には「雑貨屋」とだけ書かれている。

……何となく気になった。



「ちょっとあそこの雑貨屋覗いてみてもいい?」

私が言うと、三人ともどうぞご自由にとの返答だった。



店に入ると古めかしい木の匂いが鼻につく。

狭い店内には色々な物が山積みされている。


色々覗いていると、

(あ、これ……剣の手入れ用の……)


剣を使う私に必要そうなものが色々あり、買っていく。


そうして店を出ると……三人の姿が見えない。


(む~、置いて行かなくてもいいのにぃ……)

私は急いで三人が向かったであろう方向に向かっていると……。


(!?)

通りに面した店の展示物に釘付けになっている姿……マリーだ。


「マリー?」


「? ……ああ、ライラ姉」


振り返ったマリーは私の姿を見ると、


「もう店は良かったの?」


「ええ、それよりリアとカンナは?」


「ん? 二人ならそこに……」


と、マリーが示す方には誰もいない。


「えと……いないけど?」


「……」


マリーと顔を見合わせると……。


「「しまったぁーーーー!!」」


リアにカンナを連れていかれた!



「ま、待って。 今探すから!!」


慌ててマリーが指を鳴らし……「あっち!」


マリーが走り出し、私も後を追う!


マリーは魔法名詠唱か指パッチンで魔法を発動できる……基本的には魔法名を唱えるが急いでいる時は指を鳴らすことが多い。


走りながらパチンパチン指を鳴らしている……都度魔法を掛け直しているのだろう。


「いた!!」


遠くにリアとカンナが歩いているのが見える……っていうか入ろうとしている建物って……。


「あああ! あの建物って別な宿屋?」

マリーが叫ぶ。


私達が止まった宿とは別な宿に入ろうとしている……リアのやつぅ!!


「入っちゃったらわかんなくなる!」

マリーが叫ぶ、確かに部屋に入られれば手遅れになる。



(させないからね! 神速!!)


人の動き、時間の流れがゆっくりしたものに感じる。

神速を使い私が全速力で駆け寄るとリアに追いついた!!


(ったくこの聖女あくじょは!)


そうしてリアが手を引くカンナを引き寄せると……神速が切れる。



リアはそのまま歩き出そうとして……握った手の感触が消えたのか振り返る。


「……あ」


私と目が合う。


「リ~ア~?」

私が腕を組んで睨むと……。


「あ、あら? ライラ姉様。 偶然ですわ」

この場に及んですっとぼける。


「偶然ねぇ……?」


そこにマリーが追い付く、


「はぁ、はぁ、も、もう! リア姉は、はぁ、はぁ、油断ならない、はぁ」


息を切らせている。


リアはバツが悪そうにしていたが、


「カンナが気分が悪くなったとのことで休みに来たのですわ」


「そうなの、カンナ?」


「う、うん。 本当……だよ?」


少し目を逸らすカンナ。


これは嘘だな……優しさゆえにリアに合わせてあげたかな?


「こら、リア! カンナを嘘に巻き込むんじゃないの!」


「う、そうですわね……申し訳ございません、カンナ」


嘘をついたカンナもバツが悪そうだ。



「でも、リアは平気なの? 気分悪いんでしょ?」

カンナがリアに声を掛ける……そう言って連れ込もうとしたのね……。


「ええ、もう平気ですわ。 ありがとうカンナ、私の為に」


ギュっと抱きしめようとしたのでカンナを引っ張って引き離す。


(全く! 今怒られたのに何してるのかしら?)


懲りないリアに呆れてしまう。




ひとまず走ったりなにやらで疲れたとなった一行は、宿に戻ることにしたのだった。


そしてその夜、約束の時間になる少し前。


テッセンの街に大きな爆発音が轟いたのだった……。



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