第十八話 機械都市
(さて……どうしよう?)
テッセンの街……その入り口を遠目に眺めつつ思案する。
と言うのも……。
「ガーディアンですわね」
入り口にいるのは例の人型機械のガーディアン。
それが通る人達をチェックしている。
「あいつら僕達のデータを把握していたよね……さすがにこのまま行くとまずいかも」
マリーに同意、だから私もここで立ち止まっているのだ。
「私達も変装しましょうか?」
リアの言葉に少し迷うが……確かに他に手は無さそうだ。
「ガガッ、認証確認。 入ってよし」
ガーディアンがテッセンの街を訪れる人達をチェックしていく。
チェックは単純で顔を見ての照合らしい。
ただ、もちろんだが全ての人を把握している訳ではなさそうで……中には照合不能で側にいる人間の兵士が対応する事もあるようだ。
私はドキドキしながら入街する人達に紛れて並んでいた。
(私達は照合されるとバレてしまうはず……変装でバレなければ良いけど……)
いつもはしない化粧を凄く濃くつけている。
服も沢山着てゴワゴワさせ、頭には深くフードをかぶっている。
ポケットに手を入れ大股で歩き冒険者風を醸し出す。
リアも大人っぽく化粧して聖女の服から僧侶服に着替えてヒーラー的な職に、マリーはアイシャドウを濃く入れてヤバそうな魔術師っぽく……。
って言うか、なんか私だけガラ悪そうな格好じゃない?
リアに言うと、
「冒険者の剣士とかはみんなガラが悪いものですわ」
それ偏見じゃ……とは思ったが今更仕方ない、諦めよう。
結果としては……何とあっさり通過した……。
私を一目見たガーディアンのやつ……「募っている冒険者、承認。 騒ぎを起こさないように!」と通してくれた……それは別にいい、狙い通りだし……。
なのにリアには「ようこそ僧侶様、どうぞお入りください」とか……なんかこの前から私の扱い酷くない!?
ちなみにカンナはガーディアンに止められて人間の兵士がチェックしていたが……何かマリーが渡していたなぁ。
たぶん袖の下……それで全員無事に街に入る事ができた。
「うっは! 何これ」
「これは一体……」
「ふぁぁぁ……」
「すごい……」
私、リア、カンナ、マリーの順に声が上がる……。
ストケシアと違って、まるで天まで届きそうないくつもの高い建物。
そのどれもが金属でできており、透明な窓がいくつもつけられている。
形も四角だったり三角だったりとストケシアとはまるで違う。
また道も綺麗に整備されており、全部同じ形の石で隙間無く埋められている。
もちろんあの灯りを出す棒状の柱も建てられている。
道を歩く人も何か機械的なのを腕にはめているし、馬がいない馬車が道を走っていく。
それらを呆けてみている私達は完全に田舎者丸出しだったであろう。
そうして、残念な事に街がいくら発展していてもそういった人達に絡むやつはどこにでも居るのだ。
「おい、そこの田舎者!」
急に後ろから声が掛かり私達が振り向くと、腕を組んだガラの悪そうな男四人組がそこに立っていた。
(どう見ても優しそうじゃないし、親切で声を掛けてきた訳じゃなさそうね)
私がジロジロ見ていると相手は少し怯んだようだ……そう言えば私もガラの悪い格好だったわ。
「何見てんだよ! テメー」
自分で私達に声を掛けておいて何見てるとか……何がしたいの?
「ほら、ライラ姉様。 お仲間ですわよ」
「誰が仲間よ!」
リアが私に任せたとばかりに指で指す。
「まーまー、良いから行ってらっしゃいな。 ポチ」
「いつの間にポチ!?」
駄犬からは格(?)が上がってるし!
私達がアホなやり取りをしていると、
「おめーら無視かよ! 良い度胸じゃねーか……ん?」
絡んできた男が何かに気付くと……カンナの顔を覗き込むように見始めた。
(しまった! 王子って気付かれた?)
ハラハラした私だが……、
「こいつ可愛いじゃねーか。 おい、俺等と遊ぼうぜ!」
「えぇ! ふええ……」
いきなりカンナの手を掴むと男達が連れて行こうとした。
力ずくで引っ張られてカンナが転びそうになる!
その瞬間、私の中で何かが目覚めた……。
「おい! お前達……今すぐその手を離したほうがいい……」
私は落ち着いた声で警告する。
カンナの泣きだしそうな顔が見えた……これ以上だと抑えきれないかもしれない。
「あ、貴方達……今すぐに逃げた方がよろしいですわ」
私の雰囲気を察したのかリアが男達に警告するが、
「何だ? お前も一緒に遊びたいのか?」
ぷっち〜ん!
うん、もう許さん。
「ねぇ、貴方達?」
私はニッコリ微笑んだ。
「何だ?」
男の一人が返事をした瞬間!
「華月流 神速 四龍」
神速で速度を早めて四人続けて剣で叩き飛ばした!
力も向上しているのであっさりと四人共吹っ飛んで見えなくなる……。
「あ〜あ、警告いたしましたのに」
「よく飛んだね〜」
リアとマリーがのんびりそんな事を話している中、私は急いでカンナに駆け寄る、そして体を確認しながら、
「大丈夫!? 怪我してない?」
カンナは涙目でコクコク頷く。
(良かった……)
ホッとした私に、
「ごめんね、ライラ。 僕を守ってくれてありがとう」
潤んだ瞳で見つめてくるカンナが私の心に焼き付く……胸がいっぱいになり、カンナの言葉がフィードバックする……。
またしてもリアに頭を叩かれるまで意識が飛んでいたのだった。




