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第十七話 妙案効果


(……ん)


目を覚ます……薄暗い中、テントの天井が目に飛び込んで来る。


上体を起こそうとして……額に乗っている氷嚢に気付いて横に退ける。

すっかり温くなっているようだ。


しかし私の悪寒も治まっている……熱は引いたらしい。



上体を起こし横を見ると、リア、マリー、カンナの順で川の字となって寝ている。

正確には私も居たので線が一本多くなるが……。


テントの外は薄暗いが東の空が明るくなり始めている。

もうすぐ夜明けだろう。



(昨日は迷惑かけちゃったな……)

私が一番年上なんだから、私が一番しっかりしないといけないのに……。


私は汗をかいた服を手早く着替えると、みんなを起こさない様にそっとテントから外に出る。



焚き火はすっかり消えており、辺りには少しだけ霧が立ち込めている。

しかし空に雲はなく晴天になりそうな気がした。



(迷惑かけたし、せめて朝食の準備をしておこう)


音を立てないように荷物から食材を取り出す。


同時に焚き火に木の枝を足して火をつけると、鍋に水を入れて火にかける。



手早く野菜と鶏肉を切り分け、鍋の水が沸騰したのを見計らい食材と調味料を入れて野菜スープを作っていく。


朝の温かい料理は身体も温まるし元気が出る。

それに野菜スープなら朝から胃にも優しいと思うし……。



その頃にはテントの中でゴソゴソ音がして、皆も起き出してきていた。


テントの入口から最初に顔を出したのはマリー。


「おはよう、マリー」

私が明るく声を掛けると、数回目を瞬かせ、


「ライラ姉、おはよう。 ……体調はもう大丈夫なの?」

まだ少し心配そうな様子だ。


「ありがとう、もうすっかり元気になったよ」

私が体を動かしてみせると、


「なら良かった。 こんな場所でライラ姉の看病を何日もしたくはないからね」

いつもの様な感じに戻る。


「ふふっ」

なんやかんやあっても心配してくれていたマリーについ笑みがこぼれる。


「なに?」

私の笑みにぶっきらぼうに答えるマリー。

でも、これもある意味ツンデレってやつなのかと思うと、不思議と腹はたたない。


「なんでもないよ! ありがとうね!」

嬉しそうに返す私に、


「フン! どういたしまして!」

赤くなりつつそっぽを向くマリーだった。



その後、リアとカンナも起き出してきて、マリー同様感謝を告げる。


カンナは心底嬉しそうに良かったと言ってくれたけど、リアは「まだ熱があるのですか?」なんて失礼なことを言ってきた。


でもマリーと同じツンデレと思うとやっぱり腹はたたず、笑顔で返した私に面食らっていた。


みんな可愛いじゃん!

一番はカンナだけどね!




私達はキャンプを片付けると、再びテッセンに向けて歩き出す。


「でも、昨日のあれは一体何なんだろうね……あそこまでしてカンナを狙うなんて……」

昨日の襲撃についての話を振る。


「昨日の空に浮かんでいたの……黒箱だったね」

マリーが思案しながら答える。


黒箱はテッセンの軍が所有する空飛ぶ輸送機?と言うもので、その黒くて四角い立方体の形から『黒箱』と呼ばれている。

色々な物資を運ぶ物として、先のストケシアとの戦いで導入されていた。



「やっぱり、軍が僕を狙っているのかなぁ?」

不安そうなカンナ。


個人どころか軍が出るとなると……その規模は計り知れない。



「……そうですわ!」

無言で歩いていたリアが突然声を上げる。


なんだろう?と私達が見ていると、

「私達とバレなければよろしいのでは?」


「と言うと?」


「変装ですわ! 幸い服は色々ありますし」


確かにコートとかはあるけど……。


「王子とバレ無いようにしてしまえば宜しいのです」


そう言ってリアがカンナを見る。

カンナは意味が分からず首を傾げていた。




「うぅ……本当にこれ意味あるの?」


泣きそうなカンナ……と言うか少し涙目になっている。


「大丈夫! どこから見ても女の子ですわ!」


リアが自信満々に胸を張る……胸を張られてもカンナは嬉しくないだろうが……。


カンナはマリーの服を着て少女のようになっている。

マリーは魔術師らしくローブを多く持ち歩き、ローブは大きめなのでカンナも着ることが出来た。

そしてリアが軽く化粧をカンナに施している。


確かにぱっと見は女の子だ。


うん……どうしよう? 可愛すぎてヤバい。

私がヤバい。


今すぐカンナを連れてどっかに行っちゃいたい気持ちになる。



「うぅ……僕は僕! 僕は僕だもん」

カンナ本人は悲しそうにしながらも、この前の私の話を思い出しているようだ。


(頑張れカンナ! 私はどっちのカンナも大好きだー!)

そう応援する私だった。



そして変装が功を奏したのか特に襲撃も無く、二日後にはテッセンの首都に着くことができたのであった。


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