第十四話 第一村人
村近くまで来ると、村の中で働いている人や駆けまわる子供達が見える。
のどかで平和そうな景色だ。
私達が近づくと、村人の一人が気が付きこちらに寄って来た。
「こんにちは。 もしかしてストケシアの方から?」
何処にでもいる様な農夫の方だ。
日に焼けた浅黒い顔をニコニコさせながら尋ねてくる。
「こんにちは。 そうです。 首都の『テッセン』に向かう所で……」
『テッセン国』の首都は国と同じ名前であり、そこに国を治める領府がある。
そこの代表者に署名をもらう必要があった。
「ははぁ……なるほど、貴方達も領府に呼ばれた冒険者達かな?」
「え? 呼ばれた冒険者?」
「ありゃ? 違いましたか……」
してやったりの顔だった農夫の顔が残念そうになる。
それよりも……、
「呼ばれた冒険者って何なのでしょう?」
「まぁ、テッセンに行けば分かる事だが……」
農夫によると、テッセンを運営する機械の一部が暴走して、それを収拾するのに冒険者を募っているようだ。
「でもどうして冒険者ですの? 国の兵士達がいるのでしょう?」
隣から口を挟むリア、聖女の様な(外見はね!!)姿に農夫が慌てて恭しく頭を下げる。
なんか私負けた気がするのはどうしてだろう?
「この国は兵も機械が中心で……その兵士も一部が暴走しているそうです。 あの様な街の衛兵も兵士ですね」
そう言って村の端の方を指差す。
そちらには……。
「あれが?」
何て言うべきだろうか? 鉄の棒や板を組み合わせて歯車で繋いで人型にした様なものが立っている。
顔の部分には大きな丸い水晶玉の様なもの(あとでレンズ?とかいうものだと教えてもらった)がついている。
「この村の衛兵です。 ガーディアンと言う名前で魔獣や魔族から守ってくれるように配置されました」
気が付くと農夫はリアばかり見て話をしている……っていうか話し方まで変わってるし!
ガーディアンと呼ばれた衛兵は首を左右にゆっくり動かしている……村の中を見回しているようだ。
そして、私達の方に顔を向けると……。
ウィィィィン!!
いきなりもの凄い音を立ててこっちに向かって来た!!
走るわけではなく足の下に車輪がある様で滑る様にこちらに来る。
「うぇぇぇぇ!!」
いきなりの事に驚いていると、
そうして私達の前に来てピタッと止まる……何なの一体!?
「データ照合中……ストケシア王国、ライラ、リア王女、マリー王女、カンナ王子」
いきなり喋った! ……っていうか何で私だけ呼び捨てなの!?
「く、口もないのに喋った!!」
カンナがお化けを見る様な言い方で叫ぶ……怖いのかマリーの後ろに隠れている。
しかし一番の問題は次の言葉だった。
「カンナ王子の引き渡しを要求します。 速やかに前に出る様に」
「いやいや、ふざけないで! それはお断りだわ」
私が即答する。
「お、おい! あんた! 逆らっちゃだめだ! 反逆罪で捕まるぞ!」
農夫が慌ててそう言うものの、
「私達の大事な人を差し出せって言うのはおかしいでしょ!? それで反逆罪とかふざけ過ぎだわ!」
「も、もう俺は知らねーぞ!」
農夫は頭を抱える様にして逃げていく。
そうしている間にもガーディアンから、
「再度要求します。 カンナ王子を速やかに引き渡すように」
「お断りよ!」
「最終警告です。 カンナ王子を引き渡して下さい」
「断るわ」
「……警告無視。 強制的にカンナ王子を保護します」
ガーディアンがそう告げると……手と思われる部分から棒が伸びる!
「捕獲モード。 鎮圧します」
棒の部分を振りかぶって襲ってきた!!
「さっきから言ってることがめちゃめちゃなのよ!」
私も腰のデュランダルを抜くと相手の棒を受け止める!
その瞬間!!!
バチバチッ!!
受け止めたデュランダルを伝って私に電気が流れ込んだ!!
「きゃぁ!」
その勢いで後ろに跳ねる様に飛び退る。
「ライラ姉!」
「ライラ!」
心配そうなマリーとカンナから声が飛ぶ。
私は大丈夫と手を挙げるが……。
(うぅ……手が痺れたわ)
剣を握る手に力が入らない……。
「『治癒』」
急に私に暖かいものが流れ込んできた……見るとリアが杖をこちらに掲げている。
気が付くと痺れは完全になくなっていた。
「ありがと! リア」
「フン! お礼は今度パフェ奢ってくれれば良いですわ」
「何でそんなに具体的!?」
おっと!
再び振り下ろされた棒を体を傾けて回避する!
受け止める訳にはいかない。
そのまま剣を横薙ぎに叩きつける!
がら空きの胴体に綺麗に入った!!
ガン!!
「えぇぇ!」
斬れない!?
まともに胴体を捉えたものの、刃は金属の胴を切断できず止められてしまう!
「ライラ姉!」
マリーの声で反射的に頭を下げる!
ブン!!
しゃがんだ頭の上を棒が通過していった!!
「このぉ! 硬いならこれで!」
私は体勢を立て直すと、
「華月流 三斬華!!」
胴体に三重の斬撃を叩きこむ!!
ギギンッ!
金属の擦り合う音がして……それでも何とか胴体を真っ二つに断ち切る!!
「ガガッガッ……機体破損。 破損率85%、稼働に深刻なダメージ」
二つに分かれてもなんか喋ってるし!
様子を見る私達の前で、ガーディアンは徐々に喋らなくなり……動きを止めた。
「な、なんなの一体……」
私がそう呟く……マリーが叫んだ!
「また来たよ!」
先程ガーディアンがいた後ろに建物があり、そこから更に二体のガーディアンが走って来ていた!!




