外出計画と交渉契約 3
帰りの馬車にのりこむと、ウォルガが謝りだした。
「ごめん、アルバート。息抜きに連れ出したのに。爺様の話、まじでむちゃくちゃ重い。」
アルバートは首を横に振った。
「ウォルガは悪くない。むしろ、感謝しているよ。」
本当に息詰まっていた。王国の現状とか、事実とか、自分の立ち位置とかが知識や情報として入ってきた。
全く現実感がない書物や人からの情報が一気に増えた。
それでいて、何が正しいのか自分で考えろ、自分で力を得る方法を手に入れろと突き放される。
手を伸ばして、良かったのかぐるぐる考えながらの日々でしんどかった。
城から少し離れるだけでも、すごい解放感だった。実際に城下を歩いて、馬車で移動して、実物を見た。実母の墓も。
最後に会ったグエルという軍服の男性。
一方的ではなく、身内とこの国を守るためならば、力を貸してくれるという。
自分だって、まわりの人や国がなくならないようにしたい。
みんなのためとかではなく、目の前にあるどうにかしたいという気持ちで動いていいんだと自分が納得した。
今まで流れに任せていたことが急速に纏まり、自分の中で固まった。
だから、目の前にある力を貸して欲しいと自分から手を伸ばした。
「次は、誰にもわからないように頑張るから、行きたいとこ言ってくれ。でも、半日くらいの所で。護衛とかは近場だったらあてはあるからさ。観光ガイド持ってこようかな?」
「楽しみにしているよ。」
アルバートは久しぶりの笑みを浮かべた。
第一王妃オルフェアは、報告書を眺めた。
自分の息子が生まれてから、少しずつこの国について興味を持ちはじめた。主にこの国の王位継承権について。
ルーベンス国王は、いつまでたっても当たり障りのない言葉や態度で自分に接する。他の妃にも同じようだった。
愛情とかはなくてもいいんだけれど、あまりにも義務的だった。
待望の男児に対しても、それ程接する事なく、他の王子に関してもそうだから、寵愛とかの問題はなかった。
それ故に、母親が動かねば子どもの立場が公平すぎた。我が子に王位をと期待する外戚が多すぎた。
自分には大国の後楯があり、盤石のように見えるが、いざという時、物理的に距離がある事が気掛かりだった。
なにより、まだ幼い我が子は、次代の王になる地位についてはいなかった。
今の国王の子で、我が子より歳が上の者はいたが、身分が低い故に継承権も条件付だった。
継承権が低いが、年齢的に見合う者がいる。王弟たちだった。
第二王弟は、亡くなっている。
第三王弟は、臣下に下った。
第四王弟は、病弱で外へ出れない。何度も毒も受けているので、部屋に閉じ籠っている。
あとは王妹なので、継承権はない。
今のオルフェアにとって目障りなのは、新興貴族の王子たちだ。
まずは、その外戚連中に国王から命じさせた。
「それ程に国王に忠誠を誓っているのならば、妻や子を差し出すのは動作もないことでしょうね。」
側近たちの素早い対応に、オルフェアは満足げに微笑んだ。




