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公爵令嬢と講義契約

毒の贈り物が定期的にアルバートの元に届く。こんなやりとりがここ1年日常的になった。

それを渡すといつも通りジェスタが対応してくれた。毒を分析したり、中和剤を定期的に提供してくれたり、生命の危険からは護ってくれている。それはわかるのだが、苦しさとか体調とかはあまり考慮されない。

「今回の贈り物は、イベラですね。数滴ならば命に問題ありません。ただし、子どもができにくくなる類のものです。摂取されたら贈り主が安心するでしょう。」

ジェスタはにこやかに毒を勧めた。

アルバートは、その内容を聞いてさすがに積極的に口にしようとは思えない。

「もし摂取したら1時間後に嘔吐です。吐き気を催す薬を用意いたしましたので、これを飲んでいつもの通りに。」

「…飲めという事だよね。」

「よくおわかりですね。」

ジェスタはにこやかに薬を渡した。

まわりの人や贈り主には、「病弱の上に毒にやられて外に出る事ができない少年」と思い込ませるため、定期的に毒を受けている噂を流す必要があった。今より強いものを送り込まれないためにも。

結局、自分の生命やまわりの侍従たちを守るためにも、アルバート自身に毒に対する詳しい知識が必要だった。いつも側に詳しい者がいる訳ではない。

しかし、王宮図書館に篭ろうとも、独学だけではどうしようもない。

「薬草や薬の知識がほしいのだが、誰か教えてくれる者はいないか?」

アルバートはジェスタに尋ねてみた。

「そうですね。ヴィラにお願いしてみましょうか?我が義妹は薬学にとても明るいのですよ。あなたの薬をお願いした事もあります。」

「ヴィラ嬢が、薬を?」

「ヴィラならば、王妃様のお気に入りの公爵令嬢で、王宮に比較的自由に出入りできますし。王宮図書館ならば、怪しまれずに会う事も可能です。今でも時々栄養食と薬を運んでますしね。」

「ヴィラはクロムウェスト公爵令嬢だ。現王によく思われていない自分に近づけていいのか?」

「良くは無いですが、クロムウェストの才女です。上手く立ち回るでしょう。今のあなたに毒薬で名の知れた者をつけることはできませんし。」

ジェスタはあっさりそう言った。






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