若手官僚と講師契約 2
週に1日程、ギルバードは講師としてくることになった。
ゆっくり学んでいきましょうと優しく接してくれたのは、最初の講義中だけだった。
講義の最後に基礎的な考え方を教え、レポート内容を伝える。後は数日間、宿題レポートに追われる。それがパターンだった。
アルバートの体が回復していくと同時に、宿題の量が増加、内容は多岐に渡った。他国の書物を読まなければならなかったり、天候を予測する方法を考えまとめて提出したり、会議議事録から国内外の農作物の取引状況の把握など、必死で自習しなければ 合格をもらえなかった。
講義中の2人を少し離れたところから監視している者の目から見ても、親しい感じは見受けられない。規定の時間が来たら終わり、その後、親しげに会話することもなかった。
とくにアルバートの表情は冴えない。
「人に心を悟らせないように暗い表情をキープしてください。これも授業の一環ですよ」と指示されたからだ。
レポートの合格基準が半端なく底上げされており、表情を装わなくても、心配と慢性的な寝不足で憂鬱だった。
「私からお教えする内容は、できる限り客観的にお伝えいたしますが、絶対的に正しいものではありません。この情報の正しさや必要か不必要かはご自身で判断してください。」
ギルバードから講義中に語られる内容は、王宮内のパワーバランス、国内外の有力者や権力者の情報、王族や三大公爵家の置かれた現状。諸外国の権力争い など、正しくまとめられた情報が語られていた。
その中には、三大公爵家の役割も含まれていた。
「現状、尤も王家の血が濃いのがゼネフィスト家で、代々王国護衛長官を務め、国王の身辺警護を担当しています。そして我がユーリフェミア家が宰相を輩出する血筋であり、王家の血統を守り、王家を存続させるための砦であると、この前教えさせていただきました。
今日は、クロムウェスト家について、お伝えいたします。かの家は代々王家の番人として、とくに情報の収集、分析、国王への助言、報告を行っておりました。現在も、他国にまたがって情報を得ている集団の一つでありますが、現国王ルーベンス様には、王国護衛官以上の情報を得ることができません」
「クロムウェストの方が、力があるから?王家より力のある公爵家なんて、兄王が認識したら、潰されると思うのだが」
「 そうですね。正確には、王太子だったルーベンス様が引き継ぐ前に前王がおなくなりになられたから、彼は誰からも何も知らされていないと思います。」
「王国護衛官の諜報部隊を把握する事により、王国内全ての情報を得ていると思い込んでいるんです。我々クロムウェスト家は、その上にいます。我々の助けを求めますか。アルバート様?」
「力を貸して欲しい」
クロムウェスト公爵子息ジェスタはうやうやしく臣下の礼をとった。




