第71話 嫁会議が終わりました。
「なぁ坊主、ここまで来て今さらなんだがなんで大聖堂なんだ?」
「連れがここに要るから迎えに来たんですよ」
そう言って大聖堂の裏口に入って行く。
「ガルフさん、ちょっとここで待っててください」
「んぁ、あぁ、わかった」
ガルフが頷き俺とハクロウは部屋の一室に入る、そこは何の変哲もないただの部屋だ、ただこの部屋は教皇であるステーラと聖女であるアルナが俺がゲートを使う際に用意してくれた部屋でめったに人が来ない場所だ。
俺はゲートを開きハクロウと大聖堂の地下にある隔離部屋に移動した、そこには嫁会議とやらが済んでいなかったのか真剣な目で話し合っている俺の婚約者達がいる。
アトレイアが俺に気付き立ち上がって駆け寄ってくる。
「テンリ遅いよ!」
そう言ってアトレイアは俺の側に寄る。
「そうですか?」
「そうだよ、お陰で私はあの子達に色々と文句を言われたんだから」
アトレイアはリアナ達を指差す。
「文句なんて言ってません!」
「もっと平等にするべきだと言っただけです!」
「そもそも抜け駆けしたのはアトレイア様だ!」
リアナ、アルナ、クロナはそう言ってアトレイアを睨む。
「抜け駆けなんてしてないよ、そもそもリリナもずっと一緒だったし、それに抜け駆けなら私じゃなくてリリナ方でしょ、私なんかよりずっと長い時間テンリと一緒いるわけだし順番無視した訳なんだから」
アトレイアの言葉に3人は一斉にリリナを見る、ビクッと身体を震わせなんで私に振るんだとリリナはアトレイアに視線を向けるが露骨に目を反らした。
「独占は禁止です!」
「反省しなさい!」
「近いうちに我等もテンリと2人っきりでデートさせてもらうからな!」
今度は俺に視線が向けられる。
「いいですよね!」
「当然よね!」
「よいな!」
俺は3人の勢いに少し後ずさった。
「「「返事!」」」
「はい喜んで!」
その言葉に満足したのか3人は同時にお茶を飲む。
俺とハクロウはアトレイアに手を引かれソファーに座る。
俺の隣に座ろうとしたアトレイアをリアナとアルナが素早く止め2人が俺の右隣に、左はクロナが素早く陣取る。
「別に構いませんよね」
「何せアトレイア様とリリナと違って私達はテンリと余り会えませんし」
「寧ろ当然の配置だな」
3人のなんとも言えない圧力にアトレイアは素直に従った。
リリナは飛び火しないように予め譲っていた、ハクロウは言わずもがなだ。
「あ、そうだ、クロナこれを」
俺はアイテムボックスから先程作った指輪を取り出す。
俺はクロナの手を取り指輪をはめた。
「え?あ?」
「婚約指輪、まだ渡してなかったから」
「あ、ありがとう」
いきなりのことでクロナは驚き少し顔を紅くさせる。
俺はリリナの横に移動して同じく手を取り指輪をはめる。
「・・・ありがと」
「どういたしまして」
リリナは指輪を見ながら笑顔で微笑んだ。
「よし、それじゃいい時間だし帰ろうか」
「ちょっと待って!私、私のは!?」
「冗談だよ、ちゃんとあるから」
俺はアトレイアの隣に移動して指輪をはめる、アトレイアはそれを眺めながら顔を綻ばせた。
「ありが」
「指輪を作ったのはいいけどよアトレイアって婚約者ではないよね」
「酷い!」
「冗談だよ」
「冗談に聞こえないからね」
ムスッとしたアトレイアだったが指輪を眺めまた顔を綻ばせる。
「テンリ、ありがと」
「どういたしまして、さてそれじゃ帰ろ」
俺は立ち上がり移動しようとしたがリアナとアルナの視線を感じ2人に振り返る。
「「私の分わ?」」
「え?前に婚約指輪渡しましたよ、ひょっとして無くしたんですか?」
リアナとアルナは手を上げて指輪を見せる。
「ちゃんとあるじゃないですか」
「テンリ様乙女心の勉強をするべきです!」
「私達は1人1人が特別扱いを望んでいるんです」
俺は腕を組み少し考える。
「そうですね、それならデートをする時に何かプレゼントを買います」
「仕方ないですね、それで手を打ちましょう」
「順番はリアナ、私、クロナですね」
3人はその場で頷く
「私は?」
透かさずアトレイアはビシッと手を上げて主張する。
「アトレイア様は忙しいですよね」
「デートする時間なんて取れないですよね」
「諦めも肝心だ」
そう言ってアトレイアをバッサリ切り捨てた。
「私に対して酷くないかな」
「「「気のせいです」よ」だ」
「リリナ!」
アトレイアはリリナを見るが顔を背けている。
「くっ、裏切り者め」
俺は手をパンパンッと叩く。
「ホントにいい時間ですからそろそろ帰りましょう、デートの話しはまた後日と言う事で」
アトレイア以外は頷き立ち上がる。
「まずはリアナを送るか」
クロナがゲートを開く。
「テンリ、ゲートを潜っておけ、そうすれば獣王国にすぐに行けるからな」
「わかりました」
俺はリアナとゲートを潜る。
「ここは部屋の中?」
「はい、私の部屋です」
そう言ってリアナは明かりをつける。
部屋の中は広々としているが装飾品が少なくかなりシンプルだ、ただベッドには可愛らしいぬいぐるみが置いてある。
「あまり見ないでください、恥ずかしいので」
「ごめん」
俺はハッとなりすぐにリアナに謝った。
「それじゃ行くね」
「テンリ様」
俺は呼び止められ振り向くとリアナに抱き締められる。
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
そう言ってゲートを潜って元の部屋に戻る。
「これでいつでもリアナと会えるかな」
「それじゃ我も帰るかな」
クロナはもう1度ゲートを開く。
「テンリ今度は我の部屋だ」
クロナに手を引かれゲートを潜る。
部屋はかなり広く装飾品が数多く置かれている、とはいえ派手でなものはなく落ち着いた感じの部屋だ。
「ここが我の部屋だ」
「広いですね」
「そうか?」
「はい」
「これでいつでも来れるな」
「そうですね、でもくる前には1度連絡しますね」
「気にする必要はない」
「国際問題になると困りますから」
「仕方ない」
「それじゃおやすみなさい」
「おやすみ」
ゲートを潜り部屋に戻る。
「それじゃ次はアルナだね」
今度は俺がゲートを開きアルナの部屋と繋ぐ。
「それじゃ部屋に戻るわ」
そう言ってアルナは俺に抱きつきキスをしてゲートを潜った。
俺はいきなりのことに驚き固まる。
「ふふっ、おやすみ」
「え、うん、おやすみ」
俺は楽しそうに手を振ったアルナに俺は手を振りゲートを閉じた。
「アルナの奴め不意のキスとは」
「・・・恐ろしい」
「なかなかやり手ですね」
アトレイア、リリナ、ハクロウはそう呟く。
「さて、嫁会議も終わりましたしそれじゃ俺達も帰りましょうか」
そう言ってゲートを開き屋敷に戻る。
「パパ様、ガルフさん忘れてませんか?」
「忘れて、ないよ」
ヤバいすっかり忘れてた!
俺はハクロウに言われすぐさま聖都にゲートを開きガルフを迎えに行った。
ゲートを使った事にガルフは驚いていたが十二聖天が親にいればこう言う事もあるかと1人で納得していた。
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風邪をひきました辛いです。




