第69話 完食しました。
嫁会議なるものから逃げ出した俺とハクロウは聖都の街を散策していた。
「パパ様、パパ様、あの空間は恐ろしかったです」
「そうだね」
「それにしてもあのママ様たちはママ様の記憶と存在を切り離したと言っていましたが完全に自我があり別個体と考えてもいいですね」
「そうなの?」
「はいです、死んだ後転生することなくママ様に戻りますがこの世界で生きている限りは別人と考えておいた方がいいと思います」
「そうなんだ」
「そうです」
「ハクロウって昔の俺やアトレイアの事を知ってるんだよね?」
「はい、とは言えあたしが産まれた後の事しか知りませんし眠っていた時期の事も知りませんけどね、聞きたいですか?」
「うーん、いいや」
「そうですか、聞きたくなったら何時でも聞いてください」
「うん、ありがとう」
「お礼はいいです、対価はちゃんと貰いますから」
「え!タダじゃないの?」
「当たり前です、情報はお金になるんですよ、それにタダより高いものはありません」
「いったい誰にそんなこと教わったの?」
「パパ様です」
「あー、うん」
俺は空を見上げる、良い天気だ。
「ほらパパ様あっちのお店が気になります、行きましょう」
「はい」
俺はハクロウに手を引かれ店を回った。
「ちょっと休憩しない」
「もう疲れたんですか?仕方がないですね、ではあそこのカフェに行きましょう、さっきお店で聞いたんですがあそこのデラックスキングパフェが美味しいそうです」
「ハイハイ、休めるならどこでも良いよ」
「むー、そんな扱いしてるとママ様達に娘にハァハァ欲情する変態パパ様だって言っちゃいますよ!」
「やめて、なにその脅しかた、事実無根だ!」
「ほら行きましょう」
苦笑いしながお店に入る。
奥の席に案内され注文をする。
「このチーズケーキと紅茶下さい」
「あたしはデラックスキングスペシャルパフェクリームマシマシフルーツモリモリで」
さっきより名前が長くなってるよ!
ウエイトレスさんの目が一瞬で鋭くなる。
「お客様、うちのパフェに挑戦するには金貨1枚掛かりますが、本当に宜しいんですか?」
え!パフェに金貨1枚も掛かるの!
ハクロウはニヤッと笑い金貨を1枚見せる。
「食べきれなければ更に金貨1枚必要になりますが」
なにそれ!食べきれないと追加で金貨を取るの!
ハクロウはフッと笑い指をずらす、すると2枚目の金貨が現れた。
「食べきれば1日1回パフェもしくはケーキセットが無料で食べれる1年間有効の特別パスが貰えるんですよね」
「ふふっ、本気で完食を狙っているわけですか、いいでしょうその勝負受けてたちます、30分程お待ちください」
ウエイトレスさんはそう言って厨房に向かった、回りの人達は話を聞いていたらしくこちらを見ている。
「おい、今の聞いたか!」
「ああ、あの伝説のパフェに挑戦するみたいだな」
「でもあんな子供がか、無理だろ」
「いや、あの目を見てみろ、本気だ!本気で完食するきなんだ!」
店内が騒がしくなり外にいた人達も話を聞きつけ何故かギャラリーが増えていく、この状況は一体なんなんだろうか。
そして30分後4人に抱えられ例の名前の長いパフェが出てきた、そのボリュームは山のようで机よりも大きな器に山盛りのアイスやクリーム、フルーツが飾り付けられている。
「デラックスキングスペシャルパフェクリームマシマシフルーツモリモリ女神盛りパート2よ!」
さっきより名前が長くなってるよ!しかもパート2って、1があったのかよ!
「さぁ、あなたに食べきれるかしら」
ハクロウは手にスプーンを持つ。
「勝負です、いただきます!」
ハクロウは皿に取り分け食べ始める、一口一口とても美味しそうに食べている、その幸せそうな顔に回りの人達はほっこりしている。
「ふふっ、そんなペースで食べているとアイスが溶けてしまいますよ」
「おっと、そうでした、では少しスピードを上げましょう」
そう言った一瞬の隙に山のようなボリュームのパフェの1部が消え去った。
「な、何が起きたの!」
「まだまだいきますよ!」
瞬く間にハクロウは山盛りパフェを崩していく。
回りからは「おおー」っと驚きの声が上がる。
「そ、そんな、私の作り上げたデラックスキングスペシャルパフェクリームマシマシフルーツモリモリ女神盛りパート2ワールズエンドが!」
さっきからパフェの名前が大袈裟になってきてるぞ!
「フッ、これが最後の一口です」
ハクロウはウエイトレスさんを見ながら最後の一口を口に入れた、とても幸せそうだ
「ご馳走さまでした!」
その瞬間回りで見ていた人達からワーと歓声が上がる。
「マジかよ、あの嬢ちゃんやりやがった」
「あんな子供が完食するなんて」
「凄いわ、きっと将来チャンピオンよ!」
「サイン貰わなきゃ!」
「結婚してくれ!」
凄い盛り上がりだ、ってか最後に結婚してくれって言ったやつ誰だよ、しばくぞ!
「くっ、参ったわ、私のパフェを完食するなんて」
ハクロウは椅子から降り四つん這いになっているウエイトレスさんに手を差し出す。
「あなたのこのパフェは飽きさせないようにとても工夫されていました、だからこそ最後まで美味しく食べることが出来たのです、今後の新作に期待しています」
ウエイトレスさんハクロウの手を取り立ち上がる。
「完敗よ、でもこの私の最高傑作を完食してくれて私は嬉しいわ、次は今よりも更に凄いパフェを作って見せる」
「そのいきです」
「これを受け取って」
ウエイトレスさんからハクロウに特別パスが渡される、するとまたワーと先程よりも大きな歓声が上がった。
「それでは皆さんまたどこかで、それでは行きましょう」
「あ、うん」
俺はハクロウに手を引かれお店を後にした、お店では未だに興奮冷めやらぬ歓声が上がっている。
「あんなのよく食べれたね」
「美味しかったですからね、あの程度ならママ様も余裕で完食できますよ」
俺は若干顔をひきつらせる、一体どれだけ食べれば満足できるのやら。
「しっかり休めたのでまたお店を見て回りましょう」
そう言ってハクロウはまた歩き始めた。
いつもお読みいただきありがとうございます。
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回りで風邪が流行っています、体調管理気をつけてください。




