第67話 振り回されました。
ハクロウが女性陣に一通り愛でられた後きゅーと可愛らしくお腹が鳴る音が聞こえた。
「・・・お腹すいた」
「私もお腹がペコペコだよ」
「え、もうお腹がすいたんですか!」
アトレイアもリリナもハクロウを待つ間お菓子を大量に食べていた筈だがもうお腹が空いたのか。
「それじゃ少し遅いですがお昼ご飯にしましょう」
「私達もハクロウちゃんの着せ替えに夢中でご飯まだ食べてなかったね」
「そうね」
俺、アトレイアにリリナ、カレンにタリアそしてハクロウを加えた6人で食堂に向かって歩き出す、ハクロウは物珍しそうにキョロキョロ回りを見ていた。
食堂につき遅めの昼食を食べ始める。
「そう言えば父様はいないんですか?お婆様とお爺様も」
「カロンなら仕事で出ているわよ、お母様とお父様は街にデートって言っていたわ」
成る程、ならハクロウの事は後でまた紹介しないとな。
それにしてもここのメイド達はハクロウが増えたことにたいして何事もなく対応しているな。
「きっと彼女達からすれば人が急に増えてもまたかって感じなんじゃない、慣れだよ慣れ」
「なるほど、ん!?」
俺は驚いてアトレイアを見た。
「俺声に出していませんでしたよ、人の心が読めるんですか!?」
「人の心が読めるか読めないかで言えば勿論読めるよ、ただテンリ以外に興味がないからそんな事はしないけどね」
「俺の心も読まないでください!」
「安心してよ、テンリの心を読んだ訳じゃないから」
「でも今俺の心の声に答えたじゃないですか」
「そんなものは心の声を聞かなくても解ることだよ、何せ私は正妻なのだからね」
なんて理不尽な。
「私はテンリよりテンリの事に詳しいから、テンリ博士だね」
「はぁ、そうですか」
俺は諦めた顔をしていたらハクロウと目が合う。
「クックッ、パパ様、ドンマイ」
とても良い笑顔でそう言われた。
「ハクロウ向こうに行ったらお仕事頑張ってね」
俺は笑顔でそう返しておいた、そして神界での仕事を忘れていたのだろうハクロウはハッとなり顔をひきつらせながら項垂れた。
「パパ様、意地悪です」
ハクロウはそう言いながらおもいっきりパンにかじりついた。
食事を終え食堂でカレンとタリアの2人と別れた。
「今からどうしようか?」
「あたしは街を見て回りたいです!」
俺の質問にハクロウが勢いよく答える。
「いいよ、それじゃいろいろ見て回ろうか、2人もいいかな?」
アトレイアとリリナはそれに頷いた。
馬車に乗りお店が多く並んでいる大通りに向かう。
「目が覚めてから初めての外出です、この世界は何があるんでしょう」
ハクロウは興味津々だ、嬉しそうに外を眺めている、話を聞くにどうやら目覚めた後部屋にずっと閉じ籠っていたためこの世界の事をなにも知らないのだそうだ、なので物凄く楽しいとのこと。
「それにしても魔力が豊富でとても澄んでいます、この世界はかなり上位の神が創った世界なのですね、いったい誰が作った世界なのですか?」
「私が創ったんだよ」
「ママ様が?あははっ、そんな嘘であたしは騙せませんよ、ママ様がこんな純粋な世界創れるはずないじゃないですか、ママ様が世界構築なんてしたら欲望にまみれた世界になってしまいますよ、私が知ってるママ様はヒッ!」
「ハクロウ、喧嘩売ってるのかな?」
「い、いえいえ滅相もございません、すいません、ごめんなさい、申し訳ありません!」
「ハクロウ、後でお仕置きね」
「ヒッ!」
ハクロウは顔を真っ青にさせて涙目で俺に助けを求めてくる、アトレイアはとても笑顔だが目がまったく笑っておらず声が底冷えするほどに冷たい。
「アトレ」
「ねぇテンリ、子供の躾は親の役目だよね」
「そ、そうだね」
「なら調子に乗った子供にちゃんと身の程を教えてあげないとね」
「う、うん」
俺はハクロウをチラッと見てすぐに視線を外に向けた。
「な、なんで目をそらすんです、パパ様、パパ様!」
ハクロウの声に耳を塞ぐ。
「ふふん、残念だったね、テンリは私の味方なんだよ」
「リ、リリナママ様!」
ハクロウは俺を味方に出来ないと判断すると素早く見切りをつけ今度はリリナに鞍替えした、しかしリリナは既に外を見ながら耳を塞いでいる。
「そ、そんな!」
「どうやら味方になってくれる人はいないようだね」
この後馬車が到着するまでハクロウはひたすらアトレイアに媚びを売っていた。
大通りにつき馬車が止まる。
俺が先に降り次にリリナ、ハクロウと降りる。
「ねぇテンリ、エスコートは?」
「はいはい」
俺はアトレイアの手を取り馬車からおろす。
ついさっきまで不機嫌だったが散々ハクロウに持ち上げられ今は上機嫌だ、子供にご機嫌取りさせる親ってどうなんだろうか、考えるのはやめよう。
「ハクロウ、どこか行きたいところってある?」
「行きたいところですか?パパ様、あたしはこの世界のことはなにも知らないんですよ、つまりこの街のことも知らないわけです、何処に何があるかわからないのに行きたいところを聞かれても困ります」
俺に対しては少し生意気な気がする、釈然としない。
「そ、それもそうだね」
「こんな時は男性が女性をエスコートするのは当たり前です!」
「あー、うん、そうだね、それじゃまず」
「パパ様、あたしは武器屋が見たいです」
「おい、言ってる事がさっきっと違う」
「そんな遠い過去のことは忘れました、武器屋に行きましょう、武器屋はどこですか?」
「はー、あっちだよ」
「では行きましょう!」
ハクロウは俺の手を取り歩き出す。
武器屋に入りいろいろな武器や防具を見て回る。
「ふむふむ、いろいろ揃っていますね、実用性に優れたもの飾り用の装飾が派手なもの、子供用の木剣に新人にちょうど良い物、おっ、あっちは魔法が付与されてるものですね」
「何か欲しい物のある?」
「欲しい物ですか、ありませんね」
「何か欲しくて来たんじゃないの?」
「この世界の武器がどれ程か知りたかっただけですよ、置いてある物を見る限りなかなか腕の良い鍛治師さんが多い見たいですね、まぁあたしと比べるとチリにも等しいですしあたしが作った物の方が性能も遥かに上で天と地の差が出来てしまいますが」
さりげに自分の有用性をアピールしてる。
「ハクロウは武器も作れるの?」
「はいです、武器も防具も裁縫から魔道具までいろいろな事ができます」
「そうなんだ、それは凄いね」
「そうなのです、あたしは凄いのです、さぁ見るべき物は見ました、もうここに用はないです、次に行きましょう」
ハクロウはそう言って今度はアトレイアとリリナの手を握って外に出る。
「パパ様早く行きましょう」
まったく、忙しい子だ。
武器屋を出た後いろいろな服や雑貨等のお店を中心に見て回った、昨日はアトレイアとひたすら食べ物屋を回っていたので今日もそうなるのかと思っていたがハクロウが見たいところを回って良いとアトレイアが言ったので本日は服や雑貨の買い物がメインとなったになった、まぁしっかりと買い食いはしているけどね。
日が暮れるまでお店を見て回り馬車で屋敷に戻った。
屋敷に戻り帰っていたクロードとカリナにハクロウを紹介する。
2人はハクロウをなで回した後満足したので自分達の部屋に戻って言った、ハクロウが物凄く疲れた顔をしていたのでアトレイアとリリナの3人も部屋に向かった。
まだカロンにハクロウを紹介していないが帰りが遅くなりそうなので明日の朝にでも紹介しようと俺も自分の部屋に戻る。
今日はかなり疲れた、肉体的にも精神的にもだ、死にかけるし娘ができるし生意気だしといろいろ振り回された。
「今日はもう寝よう」
そう言ってベッドに入りすぐに意識を手放した。
寒いです、凍えそうです、回りに風邪ひきさんが増えてきました、皆さん体調には気をつけてください。
いつもお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字の報告大変助かっております、ありがとうー。




