第66話 布団から寝息が聞こえました。
1日ずれてしまいました、本当は昨日のうちに投稿する予定でしたが携帯の速度制限の影響で投稿が遅れました。
扉の先には神々しく祭壇に突き刺さる剣が、と言う事はなく、本やなんだかわからない道具がそこいらに散らばり食べ物がやたらと置いてありゴミ箱が溢れ返りその中心に布団が敷いてある。
多分その場から動かずに全て手に取ることが可能な黄金の配置なのだろう、しかしこれはなんとも。
「これは酷いね」
「・・・足の踏み場がない」
「こんな所にハクロウなんてあるんですか?」
アトレイアは俺の言葉に布団を指差す、布団からは寝息が聞こえる。
「・・・起こす?」
なんだかあんまり気は進まないがここまで来たので俺は勇気をだして声をかけることにした。
「そうですね、あの、おはようございまーす」
起きない。
「すいませーん!」
やはり起きない。
「ちょっと起きてもらって良いですか?」
まったく起きる気配がない。
俺はアイテムボックスから鍋とお玉を取り出しガンガンとぶつける。
「おーきーてーくーだーさーい!」
「うへへ、もうお腹一杯」
なんて幸せそうな寝言だろう、それよりこれだけやっても起きないとわ。
「・・・なんで鍋とお玉を持ってるの?」
「料理するとき必要じゃないですか」
「・・・そうだね」
リリナは納得いかない顔をしていたがあっさりと引き下がった。
「引きニート」
現状を見て俺は小さくそう呟いた、すると掛け布団がバッと宙をまいついでに埃も舞い上がる、布団の上には仁王立ちして起き上がった髪の毛ボサボサの幼女がこちらを睨み付け人差し指をズビシッとこちらに向ける。
「誰が引きニートか!あたしは最高峰の女神であるアトレイア様と人の身にして神を越えるあのテンリ様に作られし光輝く伝説にして最強の剣ハクロウ様だぞ!そんなふざけた事を言うとは一体何様ですかー!」
すごい剣幕だ、それにしてもハクロウは自分を剣と言ったな、人の形をとれるのか、しかしその片割れであるコクロウは今まで人の形になった事がないんだけど何か条件があるのか?
それにいろいろ気になる事を言ったな。
「大体人の部屋に勝手に足を踏み入れるとは何事ですか、普通ドアをノックするなり声をかけるなりして相手の許可を得るでしょ!ハッ!ひょっとしてあたしのナイスボディに欲情して侵入を、この変態!」
酷い言われようである、ツルペタ幼女の癖にナイスボディって、まったく、声をかけるんじゃなかった。
「・・・ハクロウ、うるさい」
「なんですってこのチンチクリン」
「あ゛?」
「ヒィ!ごめんなさい!」
リリナの威圧にあっさりと屈指し素早く土下座をする。
「ハクロウ、元気そうだね」
「ん?あたしの名前を気安く呼ぶとは一体何様・・・ママ様!?」
「おはようハクロウ、おや、気軽に名前を呼んではダメだったっけ?」
「い、いえいえママ様、是非とも気軽にあたしの名前をもっと呼んでくださいませ、それにしても相変わらず神々しいお姿?、あれ、背が縮みました?何はともあれ拝見できて嬉しく思います、生意気な態度をとって申し訳ありませんです!」
ハクロウは先程までの態度とは違いアトレイアに近より甘えながらご機嫌取りをしだす。
「ところでママ様、こちらの方は一体、ママ様と同じ力を感じますが?」
ハクロウはリリナを見ながら首を傾げる。
「この子はリリナ、私の力の一部を切り取った存在だよ」
「なんと!ではあたしのママ様でもあるんですね、リリナママ様先程は失礼しました」
そう言ってリリナに深く頭を下げる。
「・・・ん、許す、でも次はない」
「肝に命じます!」
リリナはハクロウの頭を撫でる、ハクロウはとても嬉しそうだ。
「ママ様、あれはなんですか?レディの部屋に押し入る変態小僧ですか?」
ハクロウは俺を指差し嫌そうな顔をする。
「わからないの?よく見てみなよ」
「よく見るですか?ん~、なんだかパパ様ににてるような」
「パパ様?」
俺の疑問にハクロウは難しい顔をする。
「パパ様はパパ様です、ママ様と共にあたしを産んだ超絶カッコイイパパ様です」
前前世よりも前の俺がアトレイアと作ったってことかな。
「うーんパパ様に似てはいるけどパパ様と比べると力が弱すぎるのです、それにパパ様なら私がわからないわけないですし、それにパパ様はこんなお子様じゃないです、ママ様とパパ様の子供?いやそしたら神気を纏っているでしょう、現にお姉様はそうでしたし、まさかパパ様の隠し子!?いやそれはあり得ないですね、ママ様の呪いでママ様以外と結ばれる事は絶対ないですし」
今さりげに呪いって言ったよ!俺呪われてるの!?
「ママ様、わかりません」
「答えはハクロウのパパだよ」
「本当にパパ様なのですか?でもあたしの事を覚えていませんですよ」
「私が嘘をついたことある?」
「ママ様、けっこうな頻度でママ様に嘘をつかれ騙されていたです」
「そんな覚えは全くありません」
「ですがママ様」
「ありません」
「マ」
「ありません」
「はい、ママ様は嘘をついたことがありません」
あっさりと屈指た。
ハクロウは俺に近づく。
「パパ様、改めてよろしくです」
「よろしくね、あとお願いがあるんだけど」
「お願いですか?」
「パパ様って言うのはやめて欲しいかな」
「え、嫌、なんですか」
「嫌って言うか、パパって年齢じゃないから、俺子供だしさ」
ハクロウは目を潤ませる。
「パパ様はあたしを捨てるのですか」
「え!そういう訳じゃ」
「パパ様、酷い」
ハクロウは顔を手で覆い泣き出す。
「わ、わかったから、パパ様でいいから、泣かないで!」
「本当ですか?」
「うん」
「そうですか、ではよろしくです」
ハクロウは顔を上げニヤリと笑った、こいつ嘘泣きしやがった。
「うーん、それにしてもなぜパパ様はこんなに弱っちくなったんです?記憶もないなんて」
「あー、うん、私がアルトリア母様と揉めた結果だね」
「あ!あー、はい、成る程、理解出来ました、お婆様の警告無視して自分の役割放置したんですね」
「過ぎた事はもういいんだよ!それよりコクロウを起こしてあげて」
「コクロウですか?」
「そう、テンリ、コクロウをだしてくれないかな」
俺はアトレイアに言われコクロウを出す。
「あー、これはあたしじゃ無理です、パパ様の力がせめて当時の3割程あれば叩き起こせますが」
「そうなの?」
「はい、あたしとコクロウは生まれる段階で片方ずつに依存してしまっているのであたしはママ様から力の供給があれば人形を保てますですがコクロウはパパ様の力がないと人形が保てないんです、今のパパ様では人形を維持するのは無理ですね」
「どうすれば良いかわかる?」
「修行あるのみです、魔物を倒し悪魔を倒し国を潰して世界を破壊し神を殺すのです!」
「俺はそんな物騒な事してた事ないよ!」
「してました、むやみやたらにではないですが、パパ様と敵対関係になった相手はもう消滅あるのみです、正直引くレベルです」
「本当にそんな事してたの!?」
「はい」
一体俺は何をしていたんだろう。
「それよりもハクロウ、この部屋はなに?随分散らかっているけど」
「えっと、やることがなくてですね、気付いたらこんな感じになってました」
「暇なら私の仕事手伝ってくれれば良かったのに」
「いやいやママ様、ママ様の仕事を手伝うなんてただの剣であるあたしでは無理です、それにあたしが起きたのここ数年の間です、それまで剣としてあっちの台の上に刺さってましたし」
「そうなんだ、まぁでも大丈夫、ハクロウができる仕事は山のようにあるから」
「いえいえママ様、私では」
「やれるよね」
「あの」
「やるよね」
「はい」
「それじゃ私が神界に戻るとき一緒に行こうね」
「はい、ママ様と一緒に要られるなんて感激です、あのところで、お休みはありますか?」
「勿論あるよ、仕事が片付いたらお休み」
「それで一体どれ程の量があるんですか?」
「さぁ?」
ハクロウは俺をチラチラ見て助けを求めて来る。
しかし俺は決して目を合わせないようにした。
「う~、酷いですぅ」
ハクロウよ、さっき俺を散々貶したお前もなかなかに酷かったぞ、そんな涙目になってもダメだ、俺はなにも見ていない、なにも見ていない。
「う~、パパ様~」
なにも聞こえない、そう、聞こえないのだ。
「さて、目的も果たしたし屋敷に戻ろうか」
アトレイアの言葉に俺とリリナは頷きハクロウは死んだ魚のような目をしていた。
そしてアトレイアの転移で屋敷に戻った。
「まずはハクロウの服や髪を整えないとね」
そう言いながらアトレイアはハクロウの頭を撫でた。
確かに髪はボサボサで服はよれよれだ、カレンとタリアにお願いしよう、喜んで対応してくれるだろう、今は何処かでお茶を嗜んでいるはずだ。
俺は索的魔法のサーチを発動させる。
「ママ様、ママ様、ここはどこですか?」
「テンリの家だよ」
「パパ様のお家なんですか!ひょっとして今のパパ様お金持ち!」
「そうだよ、なんせ貴族だからね」
「パパ様、あたしパパ様の娘で幸せです」
まったく、調子の良いことだ。
「見つけた、おいでハクロウ、こっちだよ」
俺達はカレンとタリアがお茶を嗜んでいるであろう方に向かう、どうやら外にいるようだ。
外の庭園にあるテラス席でカレンとタリアを見つけた。
「あら、テンリどうかしたの?」
俺を見つけたカレンはそう言って微笑む。
「はい、カレン母様とタリア母様にお願いしたいことがありまして」
「私達にどんなお願い?」
タリアはそう言って首をかしげる。
「この子の髪や服をどうにかしてもらえますか?」
俺はそう言って横に連れハクロウを紹介する。
「この子はハクロウと言います」
「カレンちゃん、テンリちゃんがまた女の子を連れてきたよ!」
「そうね、テンリ、女の子が好きなのはわかるけど見境なく連れてくるのはよくないわ」
「冗談はやめてください」
カレンとタリアは真剣な目で俺を見ている。
「えっ!?冗談ですよね?」
「それで、その娘はどこで拾ってきたの?」
「スルーされた!まぁいいですけど、えっとですね」
俺は先程までいたダンジョンやハクロウの事を説明した、俺が説明をしてる間アトレイアとリリナは勝手にお茶を淹れて飲んでいた、ハクロウはカレンとタリアにじっと見られ借りてきた猫のような状態になっていた。
「ふーん、そんな所に行っていたんだ」
「成る程ね」
「驚かないんですね」
「いまさら驚かないかな」
「そうね」
2人は席を立つとハクロウの側による。
「初めまして私はテンリの母のカレンよ、よろしくハクロウ」
「私はタリア、テンリちゃんの義母だよ、よろしくね」
「あたしの名前はハクロウです、パパ様とママ様の娘で剣です、よろしくお願いします」
ハクロウの言葉にカレンとタリアはにっこり笑う。
「テンリがパパ様ね、子供の成長は早いのね、もう孫を連れて来るなんて」
「ホントにね、さてと、それじゃまずはお風呂だね」
「その後髪を整えて服を決めましょ」
カレンとタリアに両脇を捕まれた。
「2時間程でテンリの部屋に連れていくわ」
「それじゃまた後でね」
2人に捕まれハクロウはそのまま連れていかれた。
2時間後部屋で俺、アトレイア、リリナの3人はハクロウが来るのを待っていた。
扉をノックする音が聞こえたので扉を開ける、そこにはカレンとタリア、そして綺麗に整えられた髪にフリフリのドレスを着たとても可愛らしいハクロウの姿があった。
「あの、どうでしょう?」
少し恥じらいながらハクロウは俺に聞いてくる。
「とても可愛いですよ」
俺の言葉にハクロウは顔を綻ばせた。
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