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第65話 トラップに巻き込まれました。

 訓練を終えアトレイアは俺の隣にフォルク達は俺の前に並んだ。


「彼等と戦ってどうでしたか?」

「まだまだこれからだね」


 俺の言葉にアトレイアはそう答える。


 そこでトロネが手を上げる。


「トロネさんどうしました?」

「はい!テンリ様とレイア様ってどっちが強いんですか?」

「え、彼女の方が強いです、俺では足下にも及ばないですよ」

「そんなにですか!えっとそれじゃリリナ様とレイア様ならどうですか?」


 俺はリリナを見る。


「・・・私でも無理」

「そうなんですか!?」


 トロネが驚いた声をあげフォルク達も驚いた顔をする。


「・・・そもそも比較する相手が悪い、めがふぐっ」

「ちょっとリリナ、ストップ!」


 俺は余計な事を言いそうなリリナの口を塞ぐ。


 フォルク達はどうしたのかと不思議そうな顔をする。


「とりあえず上には上がいると言う事です、皆さん訓練をサボるのは駄目ですが休める時にはちゃんと休んでくださいね、それでは俺達は行きますから」


 俺はアトレイアやリリナが余計な事を言い出す前にさっさとこの場を離れていった。


「俺、今からギルドに行って依頼を受ける」

「休める時に休めって言われたでしょ」

「あんな不甲斐ないとこ見られてジッとなんかしてられない」

「まったく、私も一緒に行くわ」


 フォルクのに呆れながらもリュリュネがそう答える。


「俺達も行くぜ!」

「今のままじゃテンリ様の護衛として恥ずかしいからね」


 コークルダとフォンがそう言い全員が頷く。


「今から20分以内に準備をして門に集合、受ける依頼は近くの村や町までの護衛を受けましょう」


 ソーシャルの言葉に皆が頷き皆が素早く行動を開始した。


「2度と負け犬なんて言わせないんだから」


 そう言ってソーシャルは力強く手を握った。


 その頃訓練場を離れた俺、アトレイア、リリナは屋敷を歩きながら何をしようかと話していた。


「そうだ、今からハクロウを取りに行こうよ」

「いきなり何を言い出すんですか、それにハクロウってなんですか?」

「テンリの持ってるコクロウの片割れだよ」

「え!そんなものがあったんですか!?」

「そうだよ、確か深海のどっかのダンジョンにあった気がしたけど、どこだったかな?」


 アトレイアはそう言って目を瞑る。


「うーん、あ、あった」


 アトレイアにいきなり腕を捕まれる。


「へ!」

「んじゃ行こっか」


 俺の視界は一瞬で切り替わる。


「え!今のゲートじゃないですよね」

「うん、今のは転移だよ」


 流石は女神、一瞬で移動するとなんて。


「それでここはいったいどの辺なんですか?」

「さぁ?とりあえず海の中としかわかんない」

「どういう事ですか?」

「ここは魔物のお腹の中だから常に移動してて解らないんだよ」

「魔物のお腹の中なんですか!?」

「そうだよ、陸大亀って言って巨大な亀の魔物だよ、更に言えばその辺異種だね」

「なんでそんな所にダンジョンがあるんですか!?」

「え、面白そうだから作ってみた」

「作ったんですか!しかも理由がしょうもない!」

「因みにこの陸大亀はSSSランクの魔物だよ」

「俺では何かあっても対処出来ないですけど」

「大丈夫だよ、私達がするのはあくまでこのダンジョンの攻略だから陸大亀を倒すわけじゃないし」

「そうですか、参考までにここの魔物の強さを教えてください」

「いいよ、普通に出てくる魔物はSランクで各階にいるボスはSSランク一番最後のボスの部屋に出てくるのはSSSランクだよ」

「各階にボスがいるんですか!しかもSSランク!?」

「そうだよ」

「最後のボスに至ってはSSSランクだなんて、このダンジョンクリア出来る気がしないんですけど」

「大丈夫だよ、なんたって私がいるんだから、それにリリナもいるしね」


 そう言ってアトレイアはリリナを指差す。


「・・・頑張る!」


 リリナはとても気合いが入っていた。


 確かにこの2人がいればどうとでもなるか、何せこの世界を造り上げた女神のアトレイアにその女神が一部であり竜人族最強のリリナだ、寧ろこの2人にどうすることも出来ない状況があれば俺は確実に死んでしまう。


「それでここは何階層まであるんですか?」

「うーん、30階層だね」

「思ったよりも少ないんですね」

「そうだよ、言わばボーナスステージだね、ではサクサク進んで行こう!」

「・・・おー!」


 2人は楽しそうに進んでいく、俺はいろいろ不安になりながらもその後ろをついていった。


「この2人がいれば死ぬことはないかな、とはいえ出てくる魔物はSランク以上、油断せずに行かないとな」


 この時俺は決して気を抜いているわけではなかった、ただこの2人がいればなんとでもなると思っていた、そう、思っていたのだ。


 最初はサクサク進んでいた、危なげなくアトレイアとリリナがどんどんと現れるSランクの魔物を蹂躙していく、俺はその光景を遠い目をしながら見ていた、そして魔物を倒すたびに褒めて欲しそうな顔をするアトレイアとリリナをひたすら褒める、正直この場に俺要らないよねと思いながら2人について進んでいった。


 さらにこの2人はトラップ等も全て作動させアトラクションのように楽しんでいた、実に楽しそうだ、俺なら一つトラップが作動する度に死んでいることだろう。


 そしてその時は急にやってきた、アトレイアとリリナが発動させたトラップの中に強制転移させるものがあったのだ、俺はそのトラップに巻き込まれ気付いたときには2人と離ればなれになっていた。


 油断をしていたわけではない、なんせSランクの魔物は一対一で俺がなんとか倒せる相手だ、しかもトラップ類はほぼ俺が死んでしまうようなものばかり、そんな所で気を抜いている余裕などない、しかしそれだけ用心していても一瞬で転移させられた、ここのトラップが高性能過ぎるのだ。


 しかもその転移トラップの先にいたのはデカイ魔物、しかもその目の前だった、その魔物は俺を見たままボタボタと滝のようによだれを垂らしている、見るからに強そうだ。


 俺はその魔物を見ながらステータスをすぐに確認した。


名前:ヒュドラ(変異種)

ランク:SSSランク

HP:50000/50000

MP:50000/50000

攻撃:1600

防御:1300

魔力:1400

敏速:1000

幸運:1800

技能:再生 毒 状態異常無効 

PS:あれ、テンリがいないんだけど!


「あ、これ死んじゃうかも」


 ヒュドラは大きく口を開け勢いよく食らいついてきた。


「うわっ!」


 俺はそれを急いでよけ距離をとる、どうやら転移で飛ばされた先は広くとりあえず逃げ回る事は出来そうだ。


 それにしてもSSSランクは最後に出てくるボスだってアトレイアが言ってたけどさっきの転移で俺だけ最後のボスの部屋に跳ばされてしまったようだ、これはかなりヤバイ、正直勝てる気がしない。


 しかしふと思う、勝てないのならば逃げてしまおうと。


「ゲート、あれ?」


 俺はさっさとこの場を離れようとしたがどうやらそうはいかないようだ、ゲートが開かない。


 これは非常にまずい、とりあえずアトレイアとリリナがここにたどり着くまでなんとか逃げて時間を稼がないと。


 その考えに至ってはからはひたすら逃げ回る。


 とにかくヒュドラの攻撃が当たらないように逃げに逃げた、カッコ悪かろうと知ったことじゃない、死んだらそこで即終了だ。


 とは言え逃げるのも大変だ、なんせ相手は遥か格上、俺は全力で逃げ回るがヒュドラ余裕そうだ、こっちの体力が無くなるのを狙っているのかじわじわと追い詰めてくる。


 俺は魔法を放ちヒュドラに直撃させるが全くダメージが通ってない。


 そして攻撃されたのが気にくわなかったのかヒュドラはブレスを放つ、俺はそれを余裕を持って回避したがブレスが当たった箇所を見て肝を冷やす、何せそこは泥々に溶けていたのだ、毒、しかも猛毒のブレスだ。


 これはヤバイ、遠距離攻撃をしてこなかったので距離が離れていれば攻撃が当たらないと思っていたがそんな事はなかったようだ、ただ獲物が疲弊するのを待っていただけで攻撃手段は持っていた。


 さすがに無理、こんな化物相手にどうしようもないよ、頼むからアトレイアとリリナ速く助けに来てください。


 そこから30分程がたち流石に逃げるのがきつくなってきた、何せ遥か格上の相手だ、常に全力で逃げ回っているだけでもきついのにそのプレッシャーは俺の精神をゴリゴリ削っていく。


「はぁはぁ、ちょっとこれは限界かも」


 ヒュドラとの距離が縮まる、しかし足が動かない。


「ギシャー!」

「くっ」


 俺は急いでコクロウを取り出し構える。


 その時「えい」っと軽い声が聞こえヒュドラの首が床にドゴッと音を立てて落ちた。


 そして俺の目の前にアトレイアが立つ。


「危ないところだったね」

「助かりました」

「どう惚れ直した?」

「女の人が言うセリフじゃないですよね」

「それもそうだね、さて」


 アトレイアはヒュドラに身体を向ける。


 ヒュドラの切られた首元がグネグネ動きだしゴパッと2本の首が生えた、なんとも気持ち悪い。


「ヒュドラは首を切り落としても新しく生えてくるからね、本来なら切った首元を焼いて頭が生えて来ないようにするのがセオリーなんだよ」

「そうなんですか?」

「うん、ただこのヒュドラは変異種で異常な程再生能力があるから焼いた所も回復しちゃうんだよね」

「ならどうやって倒すんですか?」

「簡単だよ、あとかたも残らなくすればいいんだよ」


 そう言ってアトレイアは軽く手を降る、するとヒュドラは燃えだした。


「グギィギャー!」

「ふっふっ、私のテンリに手をだしたんだから跡かたもなく消さなくちゃね、汚物は消毒だよ」


 ヒュドラは物凄い叫び声をあげながら数秒で燃え尽きそこにはチリも残らなかった。


「ね、簡単でしょ」


 そう言ってにっこり笑うアトレイアを見て俺は肝が冷えた、怖すぎるわ!


「女神様質問よろしいですか?」

「なんでいきなりそんな話し方なの!」

「怖いので距離を置こうかと」

「酷い、ちょっと今まで通り普通にしてよ!」

「女神様に対してそんな失礼な事は出来ません」

「いやいや今更だよね」

「今まで生意気なこと言って申し訳ありませんでした」

「ホントにやめて、今まで通りにして、私泣くよ!」


 アトレイアは目を潤ませながら俺の肩を揺らす。


「そんなことよりリリナはどうしたの?」

「助けに来た私にその仕打ち酷くない!」


 アトレイアはガックリ肩を落とす。


「もうすぐ来ると思うよ」

「そう、アトレイア」

「なに?」

「ありがとう」

「う、うん、えへへ」


 俺の御礼にアトレイアは可愛らしく笑った。


 そこから数分後にリリナが扉を蹴破って現れた。


 リリナは俺の側に来ると手をキュッと握る。


「・・・無事で良かった」


 リリナにも心配させてしまって悪い事をしたな。


「今後はトラップにあっさりとかからないように気を付けないとね」

「・・・気を引き締めて」


 うん、トラップにかからないように対策はしよう、ただ君達がトラップを面白いという理由で全て発動させなきゃ俺は危ない目に合わなくてすんだんだけどね。


 さていよいよコクロウの片割れであるハクロウとご対面だ、俺達は扉を開き最後の部屋に踏み込んだ。

 いつも読んでくださりありがとうございます。

 誤字脱字の報告大変助かっています、ありがとうー。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字報告 『「今から20分以内に準備をして門に集合、受ける以来は近くの村や町までの護衛を受けましょう」』 にて、『受ける依頼』が『受ける以来』になっていますので、ご報告。
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