第62話 食べ歩きました。
冒険者ギルドでご飯を食べ、さて今から何をしようかと考えているとアトレイアは俺の袖を引っ張る。
「さてご飯も食べたし次はデザートだね」
俺はその言葉に少し驚く。
「え!まだ食べるの!?」
「当然、食事の後はデザートでしょ」
一体この身体のどこにそれだけの量が入るのか、まぁ本人が望んでいるなら別に良いんだけど。
俺とアトレイアは冒険者ギルドを出た足でそのまま別のお店に入った。
「御注文はお決まりですか?」
「それじゃあここからここまでのケーキを全種類ください」
「全種類ですね」
俺の言葉に定員は頷く、全種類と言っても5種類だけなのだ。
「結局テンリも食べるんじゃないか」
「まぁ甘いものは別バラですから」
俺とアトレイアはそう言って笑う。
「あ、全部2人前で」
「はい2人前ですね」
「それとホールでおねがい」
「ホールです、え、ホールですか?」
さすがにホールサイズだと定員は驚いた顔をした。
「うん、それと紅茶を2つ」
「はい」
定員は注文を受けると頭を下げ厨房に入って行った。
そして数分後ケーキを次々に運んで来て最後に紅茶を持って来た。
「それではいただこうかな」
「「いただきます」」
そしてあっという間に目の前に並べられたケーキは俺とアトレイアのお腹に収まった。
俺は八等分に切り分け半分をアイテムボックスにしまい残りの半分を食べた。
定員さんや他のお客さんは驚いた顔で俺とアトレイアを見ていた。
食べ終わると店を出る。
「さてと、今からどうしようかな、レイアはどこか行ってみたいところある?」
「うーん、そうだ、屋台の食べ歩き」
「そんなに食べて大丈夫?」
「まだまだ余裕だよ」
一体どれだけ食べれば満足できるのだろう、いっそどこまで食べれるか見てみたい。
「それじゃあとことん食べ歩こうか」
「うん」
その後はひたすら屋台を食べ歩く、串肉10本、パンを15個、クレープを5個、焼きそばを5個、ソーセージを10本、アイスを5個、そして串肉に戻って15本。
「次はなに食べようかな」
まだお腹に入るのかと苦笑いする。
「あ、ここ見てみよう」
「食べ物屋じゃないけどいいの?」
「ちょっと、まるで私が食い意地が張ってるみたいな言い方止めてよ」
これまでに散々食べて今さらなに言ってるのだろうか。
「なにその顔は、そんなに言うほど食べてないよ、食べてないよね?」
「・・・とりあえず中に入ろうか」
「えっ、なに今の間は、ねぇてば」
俺は笑顔を浮かべて店の中に入りアトレイアは急いで俺の後をついてきた。
お店の中はいろいろな家具が置いてある、机や椅子、タンスにベッド、本棚なんかもある。
「なかなか良い作りの家具が置いてあるね」
「家具に詳しいの?」
「いやまったくわからない、ただなんとなく良い物か悪い物かが判るって感じかな」
「直感的な?」
「まぁそんな感じかな」
俺はアトレイアと話しながらお店の奥に入って行く、するとアトレイアが立ち止まり木で作られた小物が置いてある棚の方に近付いていく。
「どうしたの、何か欲しいものでも見つけた?」
アトレイアが何かを手に取る、俺はそれをアトレイアの隣に立って見る。
「箸だね」
「そうだね」
「それが欲しいの?」
「欲しいって訳じゃないけど、珍しいから気になってね」
「珍しいってその箸が?」
「そうだよ、これ何で出来てるかわかる?」
「え、木じゃないの」
「木ではあるんだけど、珍しい木で出来てるんだよ」
「珍しい木?それってどんな木なの?」
「世界樹だよ」
「へー、世界樹なんだ、え、世界樹!」
世界樹、この世界でもっとも古くから存在しこの世界の中心にあると言われる大樹だ、世界を支えているとまで言われている、アシュフォード大陸にありその世界樹の側にはエルフが王として治めるエルリンド王国がある。
「それにしてもなんで世界樹で箸なんて作ったんだろう?」
「さぁ、あ、ここに説明が書いてあるよ」
アトレイアに言われ箸が置いてあった所をみる、どうやら二膳で1つのセットになっているようでもう一膳箸が置いてある、説明にはこれは夫婦が末永く幸せな家庭を作っていけるようにとのことだ、ただ世界樹で作ってあるとは書いていなかった。
「よし、これを買おう」
アトレイアは説明を読んで即決した。
「はい、お願い」
「わかりました」
俺は素直に渡された箸を持ってカウンターに行き支払いをする、とても人の良さそうなおじいさんとおばあさんだった、世界樹で出来た箸のセットを出した時は一瞬驚いた顔をして俺とアトレイアを交互に見た後ニコニコとしながら一膳ずつ袋に丁寧に包んでくれた、支払いを終えた後におじいさんとおばあさんに「お幸せに」と言われアトレイアは「うん」と即答し俺は苦笑いを浮かべた。
店を出てアトレイアに箸を渡す。
「一膳は私が使うけどもう一膳はテンリが使ってね」
そう言って一膳は渡された。
その後はまた街をぶらぶら歩きながら食べ歩きをし暗くなって来たのでアトレイアと帰ろうと話しをしたところ俺の家に来ると言い出した。
「神界に帰らなくて良いの?」
「なんてったって今はお休みだからね、3日間は自由に過ごせるんだよ」
「でも俺の家はちょっと」
「何か問題でも?」
「見ず知らずの女の子を行きなり連れていくのは」
「酷い、見ず知らずだなんて」
「いやいや、母様はまだしも父様達になんて言えば」
「素直に言えば良いじゃないテンリの妻だって」
「素直にって、それに妻って」
「何も間違っていないよ」
「いやいや、それでハイそうですとはいかないでしょ」
「ならクロードとカリナに紹介させれば良いよ、あの2人の言葉なら信じるでしょ」
「そうかもしれないけど」
「そこにカレンとリリナも呼んで認めれば嫌でも納得できるでしょ」
「え~」
「ほら行くよ」
結局強引にアトレイアに押しきられ屋敷に向かって歩き出した。
「ホントに大丈夫かな」
「大丈夫、大丈夫」
「軽いなー」
「そんな事より明日はどうする?」
「そんな事って、まぁいいや、明日か」
「そうだよ、明日は何をしようかね?」
「うーん、どうしようかな」
そんな話をしていると屋敷の門が見えてきた、門番が俺を見て挨拶をする。
「テンリ様お帰りなさいませ、えっとそちらの方は?」
「ただいま、えっと、この娘は」
「私はこの世界の」
アトレイアが話し終わる前に急いで口を塞ぐ。
「友達、そう友達だよ!」
「ちょっ、違」
「ちょっといろいろ事情があってね」
俺とアトレイアを見て門番は頷く。
「そうですか」
「うん、じゃ行くね」
門番は頭を下げ俺は手を振りながらアトレイアの手を引いて歩いていく。
「酷いじゃないか」
「ハイハイ、いいから行くよ」
「ちょっと扱いが雑だよ!」
俺は文句を言うアトレイアの手を引きながら屋敷の中に入る、入ってすぐのロビーでクロードとカリナが立っていてこちらに気づくと近付いて頭を下げる。
「アトレイア様、お久しぶりでございます」
「まったく、来るならあらかじめ知らせて欲しかったです」
「ごめん、ごめん」
「とりあえず部屋に案内します、着いてきてください」
そう言ってクロードとカリナの2人は歩き出した。
「あの、何で俺達の事がわかったんですか?」
「そりゃアトレイア様が降臨なさったのがわかった時から気配を探っていたからね、屋敷に近付いて来る事がわかってすぐ対象したんだよ」
俺の言葉にカリナがそう答えた。
俺は苦笑いをしてアトレイアと2人の後をついていった。
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