第58話 突然の訪問になりました。
朝晩は少し肌寒くなってきました、季節の変わり目は体調を崩しやすいので気をつけてください。
それでは本日の投稿です。
ゲートをくぐった先はカリナとクロードが住んでいる家の前だ。
俺が扉をノックすると中から返事が返ってきた。
「鍵は開いてるよ」
声の主はどうやらカリナのようだ。
「お邪魔します」
「・・・お邪魔します」
俺とリリナは扉を開け家の中にはいる。
「ん、テンリにリリナ?てっきりクロードとヴォルデリアが帰って来たのかと思った」
「クロードお爺様とヴォルデリア様はお出かけ中ですか?」
「そうだよ、まぁもうすぐ帰って来ると思うけどね、とりあえず2人共こっちに来て座りなよ」
カリナに勧められ俺とリリナはソファーに座る。
「今お茶を淹れてくるから少し待ってて」
カリナはそう言ってお茶を淹れに行く。
少ししてポットとカップを持って戻ってくる。
「今日はどうしたんだい?イチャついてあんまりにも甘ったる雰囲気を醸し出し過ぎて回りに迷惑だからと家を追い出されてしまった挙げ句行く宛がないからと当分ここに泊めてくれないかと頼みに来たのかい?」
「・・・そんなところ」
「そうかそうか、この家なら部屋はいくらでも余っているからいつまでもいて良いよ」
「・・・感謝する」
「おい、リリナ、嘘を言わない」
リリナは驚いた顔をする。
「・・・愛の逃避行じゃないの?」
「塔のダンジョンの事で協力してもらうために来たんでしょ」
「・・・昔はそんな目的もあった気がする、でも所詮は些細な事、私は常に今を生きている、そこにテンリとイチャつける空間があるならばそっちを優先するのは世界の理」
「どんな理だよ!」
「・・・テンリ、この世界がなぜ生まれたかわかる?」
「何を唐突に、それにこの世界が生まれた理由?」
「・・・そう、それはテンリとイチャラブするため」
「いやいや、流石にそれはないでしょ」
リリナはやれやれと首を横に振るった。
「・・・これは事実、この世界は誰にも邪魔されずひたすらテンリとイチャつくために私の本体である女神アトレイア様が作った、一部の神はアトレイア様と連絡できるけどその他の一切の干渉は出来ない、干渉出来ても唯一絶対の存在であるアルトリア様だけ」
「え!嘘?本気で言ってる?」
「・・・事実、第一わざわざ嘘をつく必要がない」
「それは、そうかもしれないけど、えっと、前にリアナに少し教えて貰ったけどアトレイアの母親であるアルトリア様に自分の世界を創れっていわれたからじゃ」
「・・・そう、他の世界を巻き込んでイチャつくなら自分で世界構築をしてそこでイチャつけと」
「この世界ができた理由がしょうもないよ!」
俺はカリナをチラッと見る。
「私も前に本人からそう聞いたな」
俺はその言葉を聞き肩を落とした。
俺が肩を落としていると玄関の扉が開く。
「ただいま、ん?テンリとリリナが来てるじゃないか」
クロードが入って来ると俺とリリナを見て笑顔になった。
「なに!リリナだと!」
すかさずヴォルデリアはクロードを押し退け顔を綻ばせる。
「こんにちは、お邪魔してます」
「・・・こんにちは」
ヴォルデリアはとても嬉しそうにウンウンと頷いている。
そしてもう1人、最後に女性が入って来た。
「リリナがいるのですか?」
とても凛々しい声だ。
女性はクロードとヴォルデリアを押し退けてなかに入ってくる。
「・・・母様?」
「リリナ、久し振りですね、お隣にいらっしゃるのが貴女の意中の方ですか?」
「・・・そう、テンリ、私の夫」
まだ夫ではないですよ。
それにしてもなぜドラグニアの女王様がここにいるんだ?
「そうですか、初めまして、リリナの母でトリアネーゼ=ドラグニアです、娘がいつもお世話になっています」
俺はハッとなり急いで挨拶をする。
「挨拶が遅れ申し訳ありません、テンリ=エレノールです、一度ドラグニア王国に出向き挨拶をしようと思っておりましたが都合がつかずこのような形になってしまい申し訳ありません」
「いえいえ、大丈夫ですよ、それにリリナが嫁いだお陰で3ヵ国と友好同盟を結ぶ事になったので私はとても良かったと思っています」
嫁ぐって、まだ年齢的に結婚していませんけどね。
余計なことを言わずにとりあえず笑っておくことにした。
「それで今日は突然どうした?」
クロードの言葉にここに来た目的を思いだし説明をした。
「なんだ、イチャつきすぎて追い出されたわけじゃなかったのか」
カリナは少し不満そうだ。
「流石にその理由で追い出されはしないと思いますが、それより協力してくださいませんか?」
「せっかく孫が頼って来たんだ、手伝ってやろうじゃないか」
クロードは快く了承してくれた。
「そうだね、それじゃ手伝うよ」
カリナもあっさり了承してくれた。
これで戦力的に何の問題もないだろう。
「それともう1つお願いが」
「どんなお願い?」
「もう1度修行をつけて欲しいんですが」
「なんだそんな事、いいよ」
これもあっさりカリナが許可してくれた。
それに対してヴォルデリアとトリアネーゼは驚いた顔をする。
「おい、テンリ、正気か!?」
「お二人の修行を受けて完遂した者は今だかつていないのですが」
あれ、なんでこんなに驚かれてるんだろ、それにセバスは修行してちゃんと耐えきったと聞いているけど、そうか、2人の修行だからカリナの修行だけではダメなのか。
「そこそこ強くなった自覚はありますが今のままでは対処出来ない事が多いですから」
そう、強くなったと言ってもそこそこなのだ、上には上がいる、今この場にいる者達は俺と比べれば遥か格上なのだ、それにこないだの魔に仕えるものとの戦いではリリナに頼らなければならなかった、今のままでは逃げることは出来ても誰かを助けることは出来ないだろう。
「なんて素晴らしい向上心でしょう、強くなるために自ら地獄に向かうなんて」
地獄、地獄か、修行を思いだしちょっと心が折れそうだ。
「リリナはいい相手に嫁ぎましたね、ね、アナタ」
「う、うむ」
トリアネーゼの勢いにヴォルデリアはつい頷いてしまいハッとなる。
「しかしトリアネーゼよ、リリナはまだ嫁いではいないぞ」
「え!?」
「よいか、テンリはまだ結婚できる年齢ではないのだ、だからまだリリナは嫁いだわけではない」
「年齢なんて別にどうでもいいじゃありませんか、それに天使様を通さず直接アトレイア様が神託を降したのだと聖都に呼ばれたときに教皇様と聖女様にそう聞きました」
「それは、そうかもしれんが」
「それに愛し合うのに年齢も種族も関係ないではありませんか、私が竜人族でアナタは竜族、種族も年齢もまったく違いますが関係ないでしょ?」
「う、む」
「ならまったく問題ありませんね」
トリアネーゼの言葉にヴォルデリアは頷いた。
「・・・父様が遂に折れた」
リリナは俺を見て親指をグッと立てる。
それを見て笑顔を返しておく。
「・・・調査協力も得た、父様と母様の2人にも会い許可もとった、これで後は式を挙げるだけ」
俺はこれも笑顔を返しておく、変なことを言えば恨みがましく俺を見ているヴォルデリアを刺激しかねないからだ。
「それでは話が纏まったので1度戻って父様に報告しようと思います、いつ頃迎えに来ればいいですか?」
「今すぐ行けばいいだろ」
「え?」
カリナはゲートを開きそこを潜っていく、それに続きクロード、さらにはなぜかヴォルデリアとトリアネーゼも行ってしまった。
「何してる早く行くぞ」
ヴォルデリアに急かされ俺とリリナは急いでゲートを通った。
ゲートの先は屋敷のロビーだった、ゲートを開きぞろぞろと入って来た俺達の突然の訪問にメイド達は驚いていたが俺とリリナを見てなぜか納得、素早くお客様対応を始めた大部屋に通された。
メイド達にとても大切なお客様だからと伝え更にカロン、カレン、タリア、セバスを急いで呼ぶように伝える。
数分後にはセバスが到着、そしてカリナを見つけた瞬間に顔が真っ青になったがすぐさま挨拶をする。
「お師匠様、御無沙汰しております」
「セバスか、すっかり爺になったな」
「お師匠様は昔からおかわりがないようで安心しました」
「お前みたいなお子様に心配されるほど落ちぶれてはないから安心しろ」
「そのようですな」
普段のセバスならいつもほほっと笑うが今日はそんな余裕が無いようだ。
「お師匠様、この無知な私めにお連れ様方を紹介して頂いてもよろしいでしょうか?」
「良いだろう、まず私の隣に座っているのが夫のクロードだ」
「よろしくねセバス君」
「はい、こちらこそよろしくお願いします、英雄クロード様にお会いできて光栄にございます」
セバスは深く頭を下げる。
「んで向かいに座っている女性はトリアネーゼ=ドラグニア、ドラグニア王国の女王だ」
「初めまして、トリアネーゼです、娘のリリナがいつもお世話になっています」
「トリアネーゼ女王陛下この度はわざわざお越しいただきありがとうございます」
セバスはまた深く頭を下げる。
「そしてその隣は親バカ駄竜」
「おい貴様その紹介は無いだろうが!喧嘩売っておるのか!」
「事実だろう」
「こらこらカリナ、きちんと紹介しないとセバス君が困っているだろう、彼はヴォルデリア、竜の王だ」
フンッと鼻を鳴らす。
「セバスとやら確かテンリを迎えに来たときに隣にいた奴だな」
「はい、あの時はとても驚かされました」
「騒がせて悪かったな、そこのバカ者に急いで連れてくるように言われてな」
「誰がバカ者だ!」
「お前以外に誰がおる!」
「こらこら2人共喧嘩はダメだよ、こんな所で喧嘩したら街が無くなってしまうから」
そんな街が無くなるような喧嘩は止めてほしい。
そんな話をしているとカロン、カレン、タリアが部屋に入って来た。
「遅くなり申し訳ありません」
部屋に入って来たカロンの第一声がまさかの謝罪である。
「まったく、私を待たせるなんて偉くなったものだ、ねぇカロン」
「申し訳ありません」
カリナは脚を組み腕も組みなんとも理不尽な言葉を話す。
「お母様、あまり私の夫をいじめないであげてください」
「はいはい」
しかしカレンの言葉でカリナはあっさり引き下がった。
そして各自紹介を終えて今日の訪問理由を説明していく。
「私とクロードはテンリの手伝いをする為に来たんだよ、それと当分ここで厄介になるから部屋の用意をしといて」
カリナの言葉ですぐに部屋を準備することになった。
「私とヴォルデリア様はたまたまカリナさんとクロードさんの家に行き着いた時にテンリさんと会い挨拶をして娘の嫁ぎ先に向かうと言う事を聞いたので挨拶に来ました、突然の訪問になって申し訳ありません」
トリアネーゼはそう答えヴォルデリアはそれに渋々ながら頷いた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
そして誤字脱字のご指摘ありがとうございます、とても助かっております。
今後もゆっくりではありますが頑張って投稿していきますのでよろしくお願いします。




