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第59話 声のかけ方を悩みました。

 カリナ、クロードは明日から塔のダンジョンの調査に協力してくれるとの事だ。


 そしてヴォルデリア、トリアネーゼは挨拶を終えたので本日の目的は達成した。


 せっかくなのでお茶会でもとタリアが提案しカリナを筆頭にカレン、タリア、トリアネーゼ、そしてリリナがこの部屋から出てタリアの植物園に移動していった、女性陣達は楽しそうにとても賑やかに移動していく。


 この場に残ったのは俺とカロン、クロード、ヴォルデリア、セバスだ。


 沈黙が続き何ともしがたい雰囲気が漂っている。


「こちらはこちらで親睦でも深めようじゃないか」

「そ、そうですね」


 クロードにカロンが同意する。


「フンッ、我の娘を拐って行った小僧の親族達と仲良くだと、我は嫌だからな!」


 ヴォルデリアはプイッと横を向く。


「まったくヴォルデリアは我が儘だな、それにお前の娘は自分からテンリのもとに行ったのだから拐っていったわけじゃないだろう」

「クッ」

「わしもテンリの親族なのだぞ」

「それは、そうかもしれんが」

「それにお前はテンリをわしらの家に連れてくる時に訳も話さずテンリを連れていったのだろう、拐っていったと言われるのはお前の方だぞ、彼等に謝罪をするべきだ、カレンに聞いたがいろいろな国に迷惑をかけたと聞いている」

「それはカリナに言われてだな」

「やり方はあっただろうに」

「しかし我は竜王、簡単に頭を下げるなど」

「わしも一緒に謝ってやるから」

「えぇい、わかったわ!カロンとセバスと言ったな!」


 カロンとセバスは身体をビクッと震わせる。


「我が迷惑をかけてしまい申し訳なかった!」

「この件の発端はカリナだ、わしも謝罪する、申し訳ない」


 2人は深々と頭を下げた。


「頭を上げてください、こちらに騒ぎは在りましたが各国との結び付きが強くなった事もありますので、それにテンリも無事に帰って来ましたし、過ぎたことですので」


 この流れで自分も謝ることがあったと思い出す。


「父様、今日お爺様達を迎えに行く前にフォルク君達の訓練で訓練場が壊れてしまいました、ごめんなさい」


 ここで謝って置けばきっとあやふやなまま過ぎ去る、はず。


「そうか、テンリは後で少し話をしような」

「あれ雰囲気的に許されないですか?もしくは流れで許してもらえるのかと」

「それとこれとは話が別だろう」


 むしろなぜこの流れで言ったのだとカロンは額を押さえた。


「取り敢えず修復をしてきなさい」

「わかりました」

「ほほっ、でしたらフォルク達にもやらせましょう、今はテストをさせています、もう少しで時間になるので終わり次第連れていってください、部屋はいつもの場所です」

「ついでにお昼も一緒に食べて来ます」


 俺はそう言いこの場を後にした。


 そしてテストを終えたフォルク達を捕まえ訓練場の修復をおこなった、魔法を使いながらなのでわりと早く進む、そして前より頑丈に作り直しておいた。


 修復を終え食事を取った後にフォルク達と別れてカロン達がいる大部屋に移動する。


「ヴォルデリア様のお気持ちはわかりますぞ」

「わかっていることとはいえ娘を嫁に出すのはとても辛く寂しい」

「おぉ、そうか我の気持ちがわかるか!」 


 なぜかその場にはヴォルデリアにロレンスそれにアガレスが手を取り合い強く頷きあっている。


「私は姉上が嫁にいけるとは思っていませんでしたのでとても嬉しく思います、いろいろ迷惑をかける事になるでしょうがよろしくお願いします」

「いやいや、うちのテンリの方が迷惑をかけるかもしれません、こちらこそよろしくお願いします」


 クルウィルはカロンと頭を下げあっている。


 そしてその状況をニコニコ見ているクロード。


「なに、この状況?」


 数時間程離れている間に各国の王族がなんで集まってるんだ?


「ほほっ、カリナ様に強制的に連れて来られたそうです」


 俺の疑問に近付いてきたセバスが答える。


「皆仕事は大丈夫なのかな?」

「ほほっ、相手がカリナ様なので拒否権はありません、怒らせて国が滅びましたじゃ笑えませんし」

「確かに笑えない、それにしてもなんでまた今なの?」

「ほほっ、どうやら女性陣の方でテンリ様の婚約者の話が出たときにカリナ様が会っておきたいとテンリ様の婚約者や親族の方を連れてきたそうです」

「それはまた、皆大変だろうに」

「ほほっ、カリナ様は一種の災害です、拒否権もなければ抵抗も無意味ですよ」


 死んだ魚のような目をしてセバスは答えた。


「否定は出来ないかな、なら俺の婚約者とその家族が皆この屋敷に集まってるの?」

「ほほっ、いえいえ全員ではありません、テンリ様の婚約者とそのご両親です、姉弟で来ているのはクルウィル様だけですな、魔王様のご両親の代わりでしょう」

「それでも充分凄いよね」

「ほほっ、そうですな、女性陣はタリア様の植物園でお茶会をしております」

「あ、リアナも来てる?」


 セバスは頷く。


「会うのを楽しみにしておられましたよ、向かわれますか?」

「そうしようかな」


 リアナと会ったのは聖都が最後だ、その後は手紙のやり取りはしているが直接会うことが出来ていない。


 久しぶりに会えるので楽しみだと植物園に脚を向けようとしたときグッと肩を掴まれた。


「おいテンリ、どこに行く気だ!」

「えっと、植物園に行こうかと」

「そんなとこはいつでも行ける、よいかお前には言っておかなければならぬことがある、こっちに来い!」


 ヴォルデリアはそう言って俺をロレンスとアガレスの元に連れていく。


「あの、一体なんでしょうか?」

「よいかテンリ、我等はお前に大事な娘を、嫁に、グッ、嫁に出すのだ!」

「その事についていろいろこの期に話しておこうと思ってな」

「付き合ってもらうぞ」


 そのまま自分達の娘がいかに可愛く素晴らしいかを聞かされた、まさに親バカである。


 貴方達に言われずとも彼女達が素晴らしいのはわかっています。


 1時間程話を聞かされやっとの思いで解放された、この間に3人は更に絆が強くなったのかとても仲良くなっていた。


 俺はまた捕まる前にとすぐに部屋を出て植物園に向かった。


 リアナと初めて会った日に一緒にこの道を歩いたなと思いだしクスリと笑う。


 そこそこ長い距離を歩き植物園が見えてくる。


 さて第一声はどうしようか、今さらになってなんて声をかければいいか悩む、そんな事を考えていると植物園についてしまった。


 扉に背を向け考える。


「どうしよう、まだ思い付かないぞ」

「何が思い付かないなんですか?」

「わっ!」


 急に声をかけられ驚いて後ろを振り返る。


「リアナ?」

「はい、テンリ様お久しぶりです」

「えっと、久しぶり?」

「なんで疑問系なんですか」


 そこには数年ぶりに会うリアナがいた、少し背が伸びているが以前会った時と変わらず可愛らしく俺を見て微笑んでいる。


「どうかしましたか?」


 俺がリアナを見ていると小首を傾げて不思議そうな顔をする。


「リアナがいるな、と」

「久しぶりにお会いして私に見とれちゃいましたか?」


 クスクス笑いながらそう聞かれ俺は「うん」と答えた。


 ついパッと答えてしまい恥ずかしくなり顔を背けようとしたらリアナの顔が真っ赤になっているのに気付く。


 お互い恥ずかしくなり顔を背けしばし沈黙が続いた。


「あ、あの、テンリ様はどうしてここに」


 先に沈黙を破ったのはリアナだった。


「えっと、リアナが来てるって聞いて、会いに」

「そ、そう、ですか」

「うん」

「あの、良かったら少し歩きませんか?」

「え、あ、はい」


 俺は頷きリアナと植物園の周りを歩き出した。


「あの、先程は扉の前で何を悩んでいたんですか?」


 歩き初めて少しした時リアナから質問を受けた。


「あー、笑わない?」

「はい、笑いません」

「リアナになんて声をかければいいか悩んでたんだよ」

「なんですかそれ」


 クスクス笑いながらリアナは俺を見る。


「笑わないって言ったのに」

「ふふっ、ごめんなさい、それでなんて声をかけようとしたんですか」

「それを思い付く前にリアナに声をかけられたんだよ」

「そうだったんですか、なら声を掛けずに待っていれば良かったですね、きっと素敵な事を言ってくれたでしょうから」

「リアナは少し意地悪になったね」

「酷いです、会うのを凄く楽しみにしていたのに、うぅ」

「ご、ごめん」


 俺があたふたしだしたらクスクス笑いながら「冗談です」と笑った。


「やっぱり意地悪になったよ」

「ふふっ、そうかもしれません、でもテンリ様がなかなか会いに来てくれなかったので仕方がないですよね、甘んじて受け入れてください」

「わかったよ」


 その後はこれまでの時間を埋めるよう2人で話続けた。


「とても楽しそうね」

「我も仲間に入れて貰いたいものだな」

「・・・私はいつでも話せるから譲ってあげる」


 なかなか帰って来ないリアナを探しにアルナ、クロナ、リリナがやって来た。


「まだ話し足りないですがもうお時間のようですね」

「とりあえずカリナ様は満足したようです、ここらでお開きにしないと後が大変ですから」

「皆仕事を後回しにしてきているからな、今度はテンリを交えてゆっくり話せる時間を取ろう」

「・・・私はいつでもテンリとゆっくり話せる」


 リリナの言葉に3人はにこやかな笑みを浮かべる。


「リリナさん抜きで集まりましょう」

「そうですね、なんせいつでも話せるわけだし」

「リリナに連絡する必要がなくなったな」

「・・・調子に乗ってごめんなさい」


 リリナは余計な事を言った自覚があるので慌ててすぐに謝った。


「謝るなら最初から言わなければいいのに」


 俺は呆れながらリリナを見た。


 そして5人で植物園に向かい女性陣に軽く挨拶をして皆で屋敷に戻る。


 屋敷に戻るとヴォルデリア、ロレンス、アガレスがベロンベロンに酔っていた。


「凄く酒臭いですけど」

「あそこの3人があまりにも盛り上がっていたからちょっとお酒を飲ませたんだ、竜殺しって名前なんだけど、これを何杯か飲ませた」


 クロードがそう言って酒瓶を出す。


 俺はそうですかと苦笑いをして3人を見る、彼等は妻娘に呆れられながら彼女達に支えられ国に帰って行った。

 本日は台風です、外出はせずに家出待機しましょう。

 いつも読んでいただきありがとうございます。

 誤字脱字の報告も大変助かっております。

 今後もよろしくお願いします。

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