第53話 魔方陣に干渉されました。
年齢はフォルク達と同年代か少し上くらいだろう、少年が2人に少女1人だ。
「なにかごようですか?」
若干不機嫌にソーシャルが聞き返す。
「お前達なかなかやるようだから俺達のパーティーに入れてやるよ」
真ん中にいる3人組のリーダーなのだろう少年が腕を組みそう話しだす。
「今からボスと戦うんでしょ、私達何度かここのボスと戦った事があるからお願いされたら助けて上げるよ」
少女は笑顔でそう話す。
「初心者の中でも君達はなかなか筋がいい、この僕が保証して上げるよ、でもその今の実力じゃボスは倒せない、僕達の仲間になるんだったいろいろフォローしてあげよう」
最後の1人は眼鏡をクイッと上げそう言った。
「なぁテンリ、こいつら叩きのめしていいか?」
「なんで上から目線なの」
「初対面であんな言い方するのはどうかと思うよ」
「きっと常識がないんだよ」
フォルク、リュリュネ、トロネ、フォンの4人は額に青筋をたて怒っている。
「気持ちはわかるけど4人共落ち着きなさい」
ソーシャルはフォルク達の短気さに呆れながら彼等を止める。
「・・・テンリどうする?」
「そうですね、お昼を食べてゆっくりしてからボスを倒しに行きましょう」
俺はとりあえず彼等を放置することにした、ホントはこんな面白そうな事を放っておきたくはないがまずはフォルク達をきっちり休ませることのが優先だ。
それに既に塔のダンジョンに入る前に揉め事に首を突っ込んだし今日はフォルク達の実地訓練で来ている、ただこのままこの3人組みを放置して俺達を狙っている相手に何かされても可哀想だ、それを踏まえてどうにかするつもりではあるがあまり余計な手間をフォルク達にかけさせたくはない、まぁ今は休憩と食事の時間なので後で対応しよう。
俺が3人組を放置したことで皆も関わらない事にしたようだ。
「・・・どれくらい休憩するの?」
リリナが服をクイクイっと引っ張って聞いてくる。
「30分程かな」
「・・・ん、わかった」
俺の言葉にリリナが返事をしフォルク達も頷いた。
ソーシャルはマジックバックからテーブルと椅子を取り出し食べ物を並べていく、準備ができたので椅子に座った、その光景に3人組は呆気にとられている。
「それでは、いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
俺達が食事を初めた所で3人組のリーダーがハッして大きな声をあげる。
「おい!無視するな!」
しかしその声に誰も反応を示さない。
「まさかダンジョン内でテーブルと椅子を使ってごはんが食べらるなんてビックリだね」
「ホントだよ、しかも干し肉や固いパンじゃなくて出来立ての料理なんてスッゴい贅沢だよね」
「そうだよね、しかもすっごい美味しいし」
リュリュネ、トロネ、フォンは3人組に聞こえるようにわざと大きな声で話す、さっきの態度が気にくわなかったのだろう。
ソーシャルは苦笑いをして、フォルクは顔をそむけて口を手で覆って笑うのを我慢している。
「くそ!バカにしやがって!」
「何よあいつら、せっかく声をかけてあげたのに!」
「お、落ち着いてくれ二人とも、とりあえず話しをしないと、僕が話をしてくるから」
3人組のリーダーと少女は顔を赤くして怒り眼鏡の少年はあたふたしながらも少し離れた位置に移動して二人を落ち着かせる。
眼鏡の少年はなんとか2人を落ち着かせた後俺達に近づいてくる。
「ちょっと君達、無視をするのはどうかと思うよ」
眼鏡の少年はそう話しかけてきたが誰も返事をしない。
「・・・デザートないの?」
「ありますよ、シフォンケーキです」
「・・・生クリーム」
「ちゃんとありますよ、お茶も淹れますね」
リリナにデザートを聞かれソーシャルはすぐに答え素早くデザートの準備を始める。
「君達、人の話を聞きたまえ、いい加減にしないと流石の僕も怒るよ」
眼鏡の少年は頬をピクピクさせながらももう一度話しかける。
「シフォンケーキ切るね」
「じゃ私はクリームのせる」
「じゃあ私は配っていくね」
リュリュネはシフォンケーキを切りながら皿にのせていきトロネはその上に生クリームをのせていく、そしてフォンは皆にケーキを配っていった。
「リリナちゃんは一番大きいのどうぞ」
「・・・ん」
フォンがそう言いながらリリナの前にシフォンケーキを置いた、リリナはとても嬉しそうにしている。
「あの、ちょっと話をだね」
眼鏡の少年は余りの空気扱いに怒るを通り超して少し涙目になり肩を振るわせ始めた。
「テンリ、ちょっと可哀想になってきたんだけど」
「そうですね」
俺とフォルクは眼鏡の少年に顔を向ける。
「それで話しとは何ですか?」
俺の言葉に眼鏡の少年はパッと笑顔になった。
「最初にも言ったけど君達と僕達でパーティーをく」
「・・・間に合ってる、以上」
「え!」
眼鏡の少年の言葉を遮りリリナが答えた。
「ちょっと待ってくれ、まだ話しは終わってな」
「・・・今話した、終了」
「なっ」
リリナの言葉に眼鏡の少年は黙ってしまう。
「リリナ、話だけでも聞いてあげましょう」
「・・・ん、わかった」
俺の言葉にリリナは頷きシフォンケーキを食べるのを再開した。
こちらが話し出したのがわかったのかリーダーの少年と少女が近寄ってきた。
「それでパーティーを組むかと言う話ですがなぜ俺達なんですか?」
「それは、えっと、僕達はこの塔のダンジョンによく来てるんだけど、君達の事を塔のダンジョンで見たことがなかったから初めて挑むボス戦は大変だろうと思って」
「なるほど、確かに塔のダンジョンに初めて来ましたからここのボスと戦うのももちろん初めてです」
「なら一緒に戦わないか、ボスは凄く強いんだ」
「あなた達と組んでこちらになにかメリットはありますか?」
眼鏡の少年はクイッと眼鏡を上げニヤッと笑う。
「先程も言ったけど僕達は何度かここのボスと戦った事があるからその情報を提供できる」
「他には?」
「えっ、他?」
「はい、ボスの情報以外に何か無いんですか?」
「ない、けど」
俺は溜め息を吐く。
「ボスの情報はこちらも持っていますよ」
10階層のボスはホワイトウルフと言われる魔物だ体長は3メートル程の大きさでこの魔物の毛皮はとても綺麗でなかなか高額な金額で取引されている。
「なっ!ど、どうやって調べたんですか?」
「冒険者ギルドでも情報は取り扱ってますし冒険者同士で情報交換もします、それに情報屋だってあります、それにダンジョンや迷宮に行くならそれなりの情報を予め仕入れるものでしょう」
「うっ」
眼鏡の少年は少し後ずさる。
「で、ですが聞いただけの君達の情報より実際に戦った事がある僕達の方が詳しいはずです」
「確かにそうですね」
俺の言葉に眼鏡の少年は少しホッとする。
「では仮に俺達がパーティーを組んだとします、ボスを倒したときどのような分配にするつもりですか?」
「そうですね」
眼鏡の少年は少し考える、しかし眼鏡の少年が答える前にリーダーの少年が声を発した。
「7:3だ!もちろん俺達が7貰う」
「ちょっと待ってください」
リーダーの少年の答えを慌てて眼鏡の少年が止める。
「こっちはボスの情報を教えるしメインで戦ってやるからお前達はサポートしろ、それとお前ら見たところ俺達より年下だろ、なら先輩である俺達の指示に従うべきだ」
リーダーの少年の言葉に少女はうんうんと頷き眼鏡の少年は頭を抱えた。
フォルクは立ち上がり何かを言おうとしたが俺はそれを手で制止し再び溜め息を吐く。
「正直話しになりませんね」
「なんだと!」
「こちらが3割って、あなた達のような足手まといを増やして分配も少ないなんてデメリットにしかならないでしょう」
「お、お前生意気だぞ!俺達はここに来るまでのお前達を見ていたけどお前とそこの女はまったく戦ってないじゃないか!」
リーダーの少年は俺とリリナを指差して叫ぶ。
「戦う必要がありませんから」
俺が言い終わると同時に服をクイクイっとリリナが引っ張った。
「・・・30分たった」
それを聞き俺は立ち上がる。
「時間になったので話しは終わりです、それでは片付けをしてからボスと戦いますよ」
俺の言葉にフォルク達は素早く片付けを始めた。
「おい、まだ話が」
「はぁ、とりあえずボス部屋に入ります、ついてきたいのならついて来て構いません、ただ手出しするのは許しませんし貴方達に差上げるものはありません、勿論貴方達からボスの情報も聞きませんので」
俺はさっさと話を切り上げて皆でボス部屋に向かった。
「おい、勝手に仕切るな!」
「待ってください、ここで揉めても上手くいきません、とりあえずついていきましょう、それにここからボス戦です、彼等が危なくなってから助ければ恩も売れますし分配も多く手に入れれるはずです」
「わかったよ」
眼鏡の少年はリーダーの少年にそう言って落ち着かせ少女を含めた3人組みは俺たちの後ろについて来た。
俺はその様子を確認してボス部屋の扉を開けて入っていく、部屋の奥には閉まった扉そして部屋の中央には魔方陣が書かれている。
「俺とリリナは見ているので皆さん頑張ってくださいね」
フォルク達は頷き魔方陣に近づいていく。
「・・・あれ連れてきてもよかったの?」
リリナは3人組みを指差して聞いてくる。
「放って置いたらこっちを狙ってる人達にやられてしまうでしょうからね」
「・・・テンリ、優しい」
俺は苦笑いをしてリリナと壁際に移動し椅子を出し座る、それを見ていた少年は急いでこちらに来て大声で話しかける。
「な!おいここはボス部屋なんだぞ、なんで椅子に座ってるんだ!」
「え?そのまま床に座ったら汚れるじゃないですか」
「そう言う事を言ってるんじゃない!」
「あなた達も椅子が欲しかったんですか?」
「違う!」
「ならなんですか?」
「お前本気で言ってるのか!さっきも言ったけどここはボス部屋なんだぞ、今まで出てきた魔物なんかよりも遥かに強い奴が出てくるんだぞ!」
「だからなんですか?」
「戦いに巻き込まれて死にたいのか!戦えないならせめて邪魔にならないようにすぐに動けるようにしておけよ!」
このリーダーの少年は口は悪く偉そうだがいろいろと気遣っているのだろうか?思い出してみれば彼等は自分達の持っているボスの情報を教えメインで戦いこちらにはサポートをさせそして分配も7:3、ボスは今まで出てきた魔物よりもはるかに強く素人冒険者達は調子に乗ってボス戦に挑み命を落とすものもいる、死んでしまっては意味がない、彼等の申し出は新人冒険者からすればとてもいい提案で分配額も妥当かもしれない。
だがこちらにもフォルク達を鍛える目的がある、恩の押し売りは困る、そして彼等に悪意がないから余計に困る、そんなことを思っているうちにフォルク達は魔方陣を起動させた。
「とりあえずここのボス程度はどうとでもな」
俺は途中で言葉を止めて目を見開いた。
「情報と違う」
出てきたのはシルバーウルフではなくデカイ骸骨が鎧をきて腕が6本あり剣、槍、盾を二つづつ持っていた。
冒険者3人はあまりの迫力に腰を抜かす。
「ちっ、全員戻れ!」
その言葉にフォルク達は急いで俺の元に来る。
幸い図体がデカイだけあり魔方陣から出きるのに時間がかかった為無事に俺とリリナの元に集まった。
俺は心眼を発動させステータスを確認する。
名前:魔に仕えるもの
ランク:S
HP:15000/15000
MP:15000/15000
攻撃:1000
防御:1000
魔力:1000
敏捷:1000
技能:闇魔法 無属性魔法 詠唱破棄 剣術 槍術 盾術 気功術 魔功術 魔気混合術 縮地 状態異常無効
PS:ー
カリナとクロードの元で様々な魔物と戦ってきたが初めて見る魔物だ、それにこんな所で出てくるような魔物じゃない、本来ならシルバーウルフが出てくるはずだ、ただランクはD、素人には厳しい相手だがそこま強い魔物でもない、ただ今目の前にいるのはSランク、天の称号を持つ程の実力がないと勝てないような相手だ。
「これアトレイアの仕業?」
俺の言葉にリリナは首を横に振る。
「・・・違う、魔方陣が起動したときに誰かが干渉した、私のリンクも絶たれてるから干渉してきた相手はアトレイア様に近い強さ」
「それってヤバイんじゃ」
「・・・大丈夫、アトレイア様のが上、その証拠にこれ以上の干渉はできてない」
「そうですか、でも一体誰が」
「・・・わからない、とりあえずアイツを倒さないとソーシャル達が危険」
ステータスを見る限りリリナは余裕で倒せそうだ、俺でも何とかなりそうだがフォルク達がいる以上は危険は避けたい。
「リリナ、お願いできますか?」
「・・・ん」
「貴方達は俺の後ろに移動してください」
俺の言葉にフォルク達は悔しそうに移動する。
「お、おい、あんなのどうしようもないだろ」
「私まだ死にたくないよぅ」
「もうダメだ」
3人組は腰を抜かし動けなくなっている。
「フォルク彼等を」
「了解!」
俺の言葉に従いフォルクは3人組みを急いで後ろに下げた。
それを確認し魔法で透明な壁を作る。
「こっちは大丈夫なのでリリナお願いします」
「・・・ん、わかった」
その返事と同時にリリナが目の前から消えた。
今回は少し長めになってます。
いつも読んでくださる皆様ありがとうございます、ゆっくりな投稿ではありますが今後もよろしくお願いします。




