↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/89

第52話 放置しました。

 お待たせしました。

 フェシュタとポリャナの2人と別れその後はなんの問題もなく塔のダンジョンの入り口に着いた。


「塔のダンジョンに着いたな」

「そうね、上を見上げても先が見えないわ」


 フォルクとリュリュネは雲を突き抜けてその先が見えない塔を眺め驚いた顔をしている。


「ここって塔のダンジョンって呼ばれてるけど正式名称ってなんなんだろうね?」

「そう言えば皆塔のダンジョンって呼んでるだけでちゃんとした名前知らないね」


 トロネとフォンが腕を組み首をかしげた。


「この塔のダンジョンに正式な名前はないのよ」

「そうなの?」

「なんでないの?」


 ソーシャルの言葉にトロネとフォンが不思議そうな顔で訪ねた。


「この塔のダンジョンを見つけた人が最初に最上階まで行った人に名前をつけて貰うって事にしたんだって、だけど結局誰も塔のダンジョンをクリアできてないから未だに名前がなくて塔のダンジョンって呼ばれるの」


 皆は成る程と頷く。


「それとこの塔のダンジョンにはいろいろな逸話があるの、うーん、例えば有名な物語に出てくる天空城に行けるとかこの塔の最上階は天界と繋がってるってのがあったかな、他にもいろいろな噂があるんだよ、ただ誰もこの塔のダンジョンをクリアした人がいないから真相はわからないけどね」


 俺もいろいろな本を読んだりしているがそんな事まったく知らなかった、ソーシャルの知識は凄いなと感心した。


 ソーシャルの話を聞いた後に塔のダンジョンに入る準備をし大きな扉を開け中に入っていく。


 扉を開くと中は石造りの大きな空間になっておりその中央には階段があるのがわかる、そしてその場には多くの冒険者達がいた。


「塔のダンジョンの外はほとんど人がいなかったけど中に入ると人が凄いな」

「この一階は魔物が出てくる訳じゃないから各パーティーで休憩したり商人達がいるから買い物したりしているんだよ」


 フォルクの驚きにソーシャルは説明をする。


「さて、さっそく行きましょうか」


 俺の言葉に頷き階段を登って行く。


 階段を上った先には草木が広がっていた。


「なぁ、ここってホントに塔のダンジョンの中なのか?」

「そうですよ、塔のダンジョンの扉を開けて中に入って来たでしょう」

「いや、そうなんだけどさ、青空が広がってて壁がないってどうなってるんだ」

「それはダンジョンの中ですからね、異空間が広がっているんですよ」

「そう言いうものなのか」

「そう言うものです」

「そうか」


 フォルクは納得いかない顔をしている。


「考えたらきりがないですよ」


 俺はそう言いフォルクは苦笑いをしながらも無理矢理納得することにした。


「では上を目指しながら魔物を討伐していきましょうか、どの程度の強さなのかここの階で何度か戦っておきたいですね」


 そうして歩くこと数十分、冒険者のパーティー達によく出くわす事はあっても魔物と会う事はまったくなく気づけば上に行く為の階段を先に見付けてしまっていた。


「なぁ、この階層で何度か戦った方がいいんだよな?」


 魔物と一切出会うことなく階段を見つけて皆で顔を見合わせた。


「ん~、魔物よりも冒険者に出くわしてばかりですからここで魔物を探すのは大変そうですね、5階層くらいまでは魔物の強さは同じぐらいなはずですし、先に進みましょうか」


 俺は先程自分で言った言葉を取り消しさっさと上に行く事にした。


 それに皆は頷き階段を進み3階に上がった。


 3階にあがり歩くこと数十分、ここでも冒険者パーティー達によく出くわすが魔物と会う事はなかった、そして目の前には上に続く階段がある。


「・・・行く?」


 リリナは俺達を見て訪ねそれに頷き階段を上がっていった。


 そして何もないまま4階まで上がって来た、そこから歩くこと数十分、ここでも冒険者パーティー達によく出くわし魔物とは会う事はない、そして目の前には上に行く為の階段がある。


「な、なぁ、そろそろ1回は戦った方がよくないか?」


 階段の前で立ち止まった俺にフォルクは声をかける。


「そうなんですけど、魔物の気配が無いんですよね、多分魔物が出てくる端から冒険者の人達が狩ってるんでしょう、こんなに出会わないとは予想してませんでした」


 俺はどうしようか悩みながらリリナを見る。


「どうしましょう?」

「・・・この上に行ってから魔物が出てくるまで探す?」

「そうですね、皆はそれでいいですか」


 フォルク達はそれに頷き、階段を上がって行く事にした。


 5階に上がり少し歩く。


「・・・魔物の気配」


 リリナがそう呟くと前にある木々が倒れだしそこから猪の魔物が突っ込んで来た。


 魔物の気配を感じていたリリナは素早く動き安全な位地に移動する。


 フォルク達も急に現れた魔物に驚きはしたが何とか回避することに成功した。


 そして俺は魔物をコクロウで真っ二つに切った。


「あ!」


 気付いた時には既に遅く魔物は縦に真っ二つに別れて血を流しながら左右に倒れる。


 フォルク達の訓練の為にこの塔のダンジョンにやって来てやっと魔物が現れたのについ切ってしまった。


 道中あまりにも魔物が出て来なかった為俺はかなり気が抜けてしまっていたのだ、そのせいで出てきた魔物を反射的に狩ってしまった。


 この反射的に魔物を狩ってしまう行動はクロードとカリナの修行を受けていた時に身に付いたものだ。


 どうやって身に付けたのか、それはダンジョンや迷宮に放り込まれ常に生死と隣り合わせの時の事だ、最初の頃はいつ襲われるかわからない不安で常に気を張っていた、しかし集中力が何時間も続くわけがなくふと突然集中力が切れる、頭の良い魔物はその時を狙って襲ってくるのだ、そんな状況が続き集中力が切れる度に何度も襲われていたら何時しか近付いてくる魔物の気配がわかるようになってきた、そして次に魔物が自分に気付いているかいないのかが解るようになり更には襲ってくる来ないかが解るようになっていた、最後には気を抜いていても魔物が出てきたら瞬時に殺す事が出来るようになっていた。


 魔物がいる所ではとても助かるのだが今回はそれが裏目に出てしまった。


「あはは、ごめんなさい」


 俺はやってしまったと直ぐに頭を下げて謝る。


「あ、頭を上げてください、テンリ様が謝るような事ではないんですから」


 ソーシャルは慌てて俺にそう言った。


「俺達も気にしてないって、それに上の階に上がって直ぐに魔物が出て来たんだ、ここなら期待できるんじゃないか」


 フォルクの言葉にリュリュネ、トロネ、フォンが頷く。


 リリナは俺の手を取り上目遣いで見る。


「・・・テンリは悪くない」


 そう言ってソーシャルに顔を向け皆がそれに続いてソーシャルに顔を向けた。


「えっと、何ですか!?」


 急に注目が集まったのでソーシャルはちょっと戸惑っている。


「・・・あの程度瞬殺できないソーシャルが悪い」

「私ですか!リリナ様、それは酷くないですか!」

「・・・ソーシャルが悪い」

「ちょっと、なんで2回も同じこと言うんですか!」

「・・・大事なことだから」

「うぅ、泣きたいです」


 ソーシャルは肩を落として頭を下げた、そこにリリナは近付き肩をポンポンと叩く、ソーシャルは顔を上げリリナを見るがフッと嘲るように口角を上げニヤリと笑った。


「・・・頑張れ」

「く、悔しい」


 ソーシャルは言葉の通り悔しそうな顔をした。


「と、とりあえず魔物を解体して先に進もうぜ」


 フォルクの言葉に俺達は頷き気を引き締め直して行動を再開した。


 5階層でも多くの冒険者に出くわしたがそれでも何度か魔物と戦うことができた。


「よし、5階層での戦闘は何とかなるな」

「そうね、最初は緊張したけど普通に倒せたし」

「体力的にもまだまだ余裕があるよね」

「普段のテンリ君達の訓練の方が遥かにきついもんね」


 フォルク、リュリュネ、トロネ、フォンは自信が着いたのか肩の力が抜けていてとてもリラックスしている。


「・・・あなたはあの4人のリーダー、なのに指示を出すまでが遅い」

「はい」

「・・・その遅れで人は死ぬ、気を引き締めて」

「はい」

「・・・魔法の詠唱も遅い、時間掛けたわりに威力も弱い、あり得ない」

「はい」

「・・・ソーシャルはまだまだ」

「はい」

「・・・ただ視野が広く全体を把握して指示を出せるのは良い、まだまだ甘いところは多いけど」

「あ、ありがとうございます」

「・・・でもそれだけでは全然ダメ」

「うっ、はい」


 ソーシャルはリリナの隣で何かとダメ出しを聞いている、とても厳しい評価だ。


「リリナはソーシャルさんに厳しくない?」


 リリナとソーシャルは俺のその言葉に目を見開いて驚いた顔をした。


「なんでそんなに驚いた顔をするの?」

「・・・テンリ自覚がないの!」

「普段のテンリ様の訓練の方が、その、厳しいと思います」


 俺は二人にそう指摘され今まで自分がやってきた修業の日々とフォルク達に今までやってきた訓練を比べる。


 自分の時はそれこそ酷い目にあった、生きているのが不思議なほどだ、しかしフォルク達の訓練を振り返ってもそこまで酷い目に合わせてる記憶がない、何よりも死に面した場面が全くない。


「改めて思い返してみても優しいと思いますよ」

「・・・そう、うん、テンリが言うならその通り、テンリの訓練は優しい」


 リリナはそれに納得することにした。


 ソーシャルは苦笑いをしたがふと自分の事を心配して声をかけてくれた事に笑顔になりリリナを見た、その瞬間意味を理解したリリナはテンリが側を離れた瞬間にソーシャルに足をかけソーシャルは勢いよく顔を地面にぶつけた。


「ちょっと、なにするんですか!」

「・・・何の事かわからない」


 ソーシャルの抗議にリリナは不思議そうな顔をして惚ける。


 そんなやり取りをしながらも6階に上がる階段を見つけそこを上がっていった。


 6階層でも苦戦することなく7階に上がる階段を見つけ上って行く。


 そして7階層に上がり少し歩いたところで俺の服の袖をクイクイと引っ張られその相手に振り替える。


「リリナ、どうかしましたか?」

「・・・この塔のダンジョンの最高到達階数は何処まで?」

「最高到達階数は49階だったと思います」

「・・・そう、この塔のダンジョンは何処まで行く予定?」

「とりあえず20階のボスを倒せたら良いかなって」

「・・・わかった」


 そこで魔物が現れてフォルク達は戦いを始める。


「・・・テンリ、気付いてる?」

「つけられてる事ですか?」

「・・・そう、気付いてるならいい」

「何となくですけどね、どれだけいるかは分かりませんが」

「・・・ついてくるのは4組のパーティー、そのうちの2組は屋敷からついて来ている護衛が4にづつに別れたパーティー」

「護衛は10人いましたよね?」

「・・・ここに来る途中に会った冒険者達を二人が追っていった」

「よくわかりますね」

「・・・私は竜人族最強、こんなのわかって当たり前」

「さすがです、では残りの2組は?」

「・・・1組は3人のパーティー、敵意はなく私達に寄生してついてきてるだけだと思う、多分冒険者に成り立ての素人」

「ではもう1組はどうですか?」

「そっちは敵意がある、私達と素人パーティーを狙っている、こっちは素人じゃない、5人でパーティーを組んでる、どうする?」

「これもフォルク君達の訓練です、放置で」

「・・・わかった」


 8階に上がると冒険者達に会うことはなかったが距離をとりながら4組のパーティーは後を追ってくる。 


 その後フォルク達は後をつけられているのは気付かないものの魔物との戦いは危なげなく勝利していき8階、9階と順調に進んでいく。


 そしてついに10階に上がり大きな扉の前に到着する、この先はボスが待ち構えているのでその前に休憩する事にした。


 塔のダンジョンに入ってから休憩なしでここまで来たため俺とリリナ以外はさすがに少し疲れた顔をしている。


「さて、お昼を食べてゆっくりしたらボス戦を」

「お前達ちょっといいか」


 そこで俺の話を遮り隠れてついてきていた3人組のパーティーが声をかけてきた。

 雨が降って少し暑さが和らいだ気がします。

 いつもお付き合いいただきありがとうございます。

 誤字や脱字のご指摘大変助かっております、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。