第48話 満足のいく護衛をつくることにしました。
「まったく、酷い目に合いましたよ」
そう言いながらムスッっとした顔をして俺はフォルク達を見ていた。
「悪かったっとは思っているんだ」
「テンリ君がいなきゃ無事に帰って来れなかっただろうし」
「ゴブリンの変異種のお陰で報酬も多かったもんね」
「ごめんねテンリ君、それとありがと」
四人は申し訳ないと頭を下げる。
「・・・黙って抜け出したのはテンリ」
「皆が無事だったからよかったけどテンリ様も反省してね」
「うっ」
確かに黙って屋敷を抜けたことはよくなかった、それを言われてしまえば黙るしかない。
「う~、まぁいいです」
今は孤児院に来て前回の反省会をしている。
「とりあえず格上相手によくやったと褒めておきます」
前回の立ち位置や戦いかたはとてもよかった、冒険者に登録したばかりとは思えない程の活躍だ。
「逃げ切れないと判断して素早く戦闘体勢をとり自分にできる最善を尽くしたと思います、残念なことは相手が強すぎた事ですね、フォルク君達からすればはるかに格上、作戦どうので倒せるような相手ではありませんでしたから、それと厳しいことを言わせてもえばフォルク君が吹き飛ばされた後相手から目を放したのはいけませんでしたね、それ以外はとてもよかったと思います」
「俺達がなんとか動けたのは全部ソーシャルのお陰だな」
フォルクのその言葉でソーシャルに視線が集まる。
「わ、私!?」
ソーシャルはあわあわしながら答える。
「そうだね、お陰でなんとか戦えたよ」
「いろいろ訓練は辛かったけどお陰で無事だったし」
「ソーシャルちゃん、ありがとう」
「え、えへへ」
リュリュネ、トロネ、フォンはソーシャルを囲み褒めまくる。
「さて反省会はこの辺にしておきましょう」
皆はそれに頷いた。
「それでここからは相談事になります」
フォルク、リュリュネ、トロネ、フォンの四人は首をかしげた。
「・・・今回はたまたまテンリがいて無事だったけど、もし次同じような状況になったらどうする?」
「反省会は終わりって」
「・・・答えて」
リリナの言葉にフォルク達は顔を暗くしうつむいてしまった。
「さてここで提案です、俺達が鍛えてあげましょうか?」
その言葉にフォルク達は顔を上げる。
「いいのか!」
「はい、ただ一つ条件があります」
「そ、それはどんな条件なんだ?」
「これでも俺は貴族です、なので護衛が必要なんですが今は専属でいるわけではありません」
「俺達がその護衛になれって事か」
「そうです、ただまだ子供なので見習いになります、さらに戦闘訓練と同時に礼儀作法も覚えてもらいます、ちゃんとお給料は払うのでそこは心配しなくて良いですよ、住み込みで働く事になるので準備はしておいてください、後は休みがほとんどないですね」
「休みがほとんどないってのはたまにはあるのか?」
「それはあなた達次第ですね」
それを聞きフォルク達は顔を見合わせて頷き合う。
「「「「お願いします!」」」」
「良い返事です、ではこの事を父様に伝えておきますね、そうですね、明後日には迎えを寄越します、それまでに各自準備をしておいてください」
リリナはソーシャルを見る。
「・・・ソーシャルはその子達に必要な物や簡単な説明をしておいて、明後日の迎えで一緒戻ってくればいい」
「かしこまりました」
そこで今日は解散となり俺とリリナは孤児院を後にした。
屋敷に戻りカロンにフォルク達の事を話す。
「と言う事がありました」
「そうか、それに関しては良いだろうテンリに護衛が付くことは良いことだしな」
「さすが父様、では明後日に迎えをやってください」
「あぁ、ただテンリ、お前は部屋で大人しくしていろと言ったはずだが?」
「それは、えっと、ごめんなさい」
「はぁ、まぁいい、とりあえず大人しくしていてくれ、くれぐれも問題を起こすなよ」
「はい」
俺は頭を下げカロンの部屋を出る、部屋の外で待っていたリリナが近づく。
「・・・どうだった?」
「大丈夫でした」
「・・・そう」
「はい、とりあえず自分の部屋に戻ります、訓練用のメニューを考えないといけませんからね、リリナも一緒にきますか?」
コクりと頷きリリナと二人で俺の部屋に向かう。
「・・・テンリ、楽しそう」
「せっかく鍛えるんですからとことんやりますよ」
「・・・程々にしないとダメになる」
「大丈夫です、お婆様やお爺様みたいに限界を越えた鍛え方はしないので、そのギリギリのラインで鍛えます、くふふっ」
俺の黒い笑いを見たリリナは溜め息を吐いた。
「・・・彼等の無事を祈る」
そして彼等が来る日、朝に迎えをやり俺はセバスと二人で外で待ち構えていた。
「ほほっ、テンリ様、楽しそうですな」
「ええ、何せ専属の護衛が付きますからね」
「ほほっ、専属の護衛なら何人か候補はいましたがそれではダメなのですかな?」
「せっかくだから自分の満足いく護衛をつくろうと思いまして、鍛えるのは俺がやるつもりですがセバスにも手伝ってもらいたいんですよ、それと後礼儀作法はセバスにお願いしたいんですが」
「ほほっ、どちらも喜んでお手伝いしましょう、礼儀作法はソーシャルと一緒に教えることにしまして、訓練はどのように?」
「訓練も5人でしてもらいます、まずは体力作りからしてもらいましょう」
「ほほっ、かしこまりました」
そんな話をしていると馬車が近づいてくるのが見えた。
「ほほっ、きたみたいですね」
「そうですね」
俺達の前に馬車が止まり中からフォルク達が外に出てくる、代表してソーシャルが一歩前に出る。
「テンリ様、セバス様ただいま戻りました」
「ソーシャルさん、ご苦労でしたね」
ソーシャルは軽く頭を下げセバスの横に移動した。
「さて、今日から住み込みでいろいろやって貰いますが、まずは屋敷を案内しましょう、セバスお願いします」
「ほほっ、まずはあなた達が寝泊まりする宿舎を案内します、その後は一通り屋敷を案内しその後は仕事内容の説明と明日からの予定を話します」
「「「「よろしくお願いします」」」」
元気が良くそんな彼等に俺とセバスは頷く。
「ほほっ、元気がよいですな、ソーシャル、あなたは通常の業務に戻りなさい」
「はい、失礼します」
ソーシャルは一礼してから屋敷の中に入って行った。
「ほほっ、では参りましょうか、ではテンリ様後程」
「ええ、お願いします」
セバスは四人を連れてこの場を移動した。
「さて、とりあえず部屋に戻りますか」
俺はそのまま部屋に向かって移動するのだった。
それから数時間後、俺は部屋に来たリリナとお茶を飲みながら読書をしている、リリナの専属メイドになったソーシャルがお茶を淹れてくれたがなかなか美味しい、コンコンと部屋をノックする音が聞こえる。
「ほほっ、セバスです」
ソーシャルが素早く扉を開ける。
「ほほっ、テンリ様、案内が一通り終わり仕事の説明と明日からの予定も話し終わりました、こちらが明日からの予定でございます」
セバスに渡された書類に軽く目を通す。
「わかりました」
「ほほっ、今は部屋で待機させております」
「すぐに向かいます」
セバスに付いていき俺達はフォルク達のもとに向かう。
「ほほっ、この部屋に待機させております」
セバスが扉を開き俺が中に入ると視線が集まる。
「さて、一通り屋敷を見て仕事内容の説明と明日からの予定も聞いたと思います、何か質問はありますか?」
俺の言葉にフォルクが手を上げる。
「フォルク君なんでしょうか?」
「なぁ、今日は後何をすればいいんだ?」
フォルクの言葉にセバスとソーシャルの目が険しくなり、それに気づいたフォルクはビクッと身体を震わせる。
「ほほっ、教えがいがありそうですな」
「フォルク君、テンリ様に対しての言葉使い、気をつけようね」
フォルクはやってしまったと顔をひきつらせた。
俺は苦笑いをしながら話を戻す。
「今日はゆっくりしてもらって構いません、あ、今手渡されている書類には目を通しておいてくださいね」
「は、はい」
フォルクは返事をした後コクコクと頷いた。
「他に質問はありますか?」
手を上げる者はいないみたいだ。
「わからない事や質問はいつでも聞いてくださいね、では以上になります、セバス、後の事はお願いします」
「ほほっ、かしこまりました」
俺とリリナ、ソーシャルの三人は部屋を後にする。
さて、明日からが楽しみだ、そう思いニヤリと笑うのだった。
何とか頑張って書き終わりました。
明日も投稿の予定ですのでよろしければ読んでください。
誤字脱字の報告ありがとうございます、助かります




