↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/89

第41話 お世話になりました。

 結局ヴォルデリアは帰りはしなかった、今は文句をいいながらも俺の修行が無事?終了したので腕によりを掛けて料理を作ってくれている。


 なんだかんだ文句は言いながらもいろいろと気を使ってくれるのでヴォルデリアの事を俺はとても好ましく思っている。


 ヴォルデリアが料理を作っている間に俺は風呂に入り汗だくな身体を綺麗さっぱり流した。


 本来なら今日中に自分の家に帰る予定であったのだがリリナとヴォルデリアの訪問で未だに祖父母の家に残っていた。


「・・・テンリ明日からどうするの?」


 そしてリリナのこの言葉で俺がここを出ていくのは明日からになった。


「明日は自分の家に帰ろうかと」

「・・・ん、わかった」

「リリナ様は」

「・・・リリナ、様はいらない」

「えっと、リリナは明日はどうするの?」

「・・・テンリについていく」

「へ?」

「・・・妻は夫を支える、だからついていく」

「リリナって第一王女だよね、大丈夫なの?」

「・・・ん、大丈夫、女王である母様から許可は貰った、王位は弟が継ぐ、だから私は自由」


 リリナには弟がいるのか。


「でもリリナって五行天竜の序列一位だよね、国を離れてもいいの?」

「・・・問題ない、邪魔する相手は親でも殺す」


 そう言ってリリナはキッチンで料理をしているヴォルデリアの方を見る。


「・・・だから大丈夫」

「そ、そう」

「・・・ただ近いうちに母様には会って欲しい、いい?」

「わかりました」

「・・・ん」

「そのリリナのお義母様は何処まで知っているんですか?」


 俺は気になった事を聞く、俺の事やアトレイアの事をいったいどこまで知っているのか、ヴォルデリアは大体の事を知っているようだからリリナの母親も知っているのだろうけど。


「・・・母様はなにも知らない」


 しかし帰ってきた言葉は予想外だった。


「え!なにも知らないのに許可が出たんですか?」

「・・・ん、母様は自分が縛られるのが嫌、だから私も自由にさせてくれる、それに結婚したい相手がいると言ったら許可してくれた」

「王族として自由すぎやしませんか」


 俺が驚いているとヴォルデリアがサラダを持って戻ってきた。


「小僧がクロードとカリナの孫だから許可が出たのだ、それに我も話を通してある」


 あんなに忌々しそうに俺を睨んだヴォルデリアが実はきちんと話を通していたのだと聞いて俺は驚く。


「ふん、さすがに小僧とリリナの結婚を認めない訳にはいかんからな、そんな事をしたらアトレイア様に滅ぼされてしまう」


 そう言ってサラダをテーブルに置いた。


「ありがとうございます」

「ふん」

「・・・父様、照れてる」

「て、照れてなどおらん」


 ヴォルデリアはいそいそとキッチンに戻っていた。


 その様子を見て俺とリリナは微笑んだ。


 そしてそんな俺達を見てクロードは優しく笑い、カリナはニヤニヤしていた。


 ヴォルデリアの料理は相変わらず美味しかった、種類が豊富でくどくならないように少し薄味にしてあり栄養バランスもバッチリである飽きさせないような工夫もしているのでいくらでも食べれてしまう、そして食後にはちゃんとデザートも用意してあるのだ、完璧である。


 食事が終わりヴォルデリアが食器を洗う。


「・・・父様が料理を作れるなんて知らなかった」


 リリナは素直に驚いていた。


「・・・しかも物凄く美味しかった、今まで食べた中で一番美味しい」


 少し膨らんだお腹を擦りながらとても満足そうだ、テーブルに乗りきらないほど大量に作った料理がほとんどリリナのお腹に収まっているのはこの際置いておこう。


「ヴォルデリア様はよくここに来て家事全般をやってくれてるんだよ」

「・・・知らなかった、あんなに口も性格も悪い父様に家事ができるなんて」


 なかなか酷い言われようだ。


「ヴォルデリア様は口は悪いかもしれませんがとてもお優しいですよ、ただ素直にするのが恥ずかしいだけです」

「・・・そうなの?」

「はい」


 リリナは頷いてにっこり笑った。


 ヴォルデリアは洗い物が終わり一息ついた後に帰って行った、帰る間際にリリナにしつこいくらい迫っていた。


「リリナ、ホントに帰らなくていいのか?その小僧と一緒にいるのか?環境が変わると寝付けなくなるかもしれんぞ?枕が変わっても寝れるのか?」


 等としつこくしていた、しかし。


「・・・父様うざい」


 この一言でみたび膝を折った後ヴォルデリアは帰って行った。


 そしてこのやり取りを見てカリナはとても楽しそうだった。


 クロードとカリナ、そしてリリナを交え少し話をした後寝るために部屋に向かう、ベッドに横になり天井を見る、そこには見慣れた天井があった、ここに三年も住んでいたのだと思うとなんだか不思議な気分になった。


 コンコンと扉を叩く音が聞こえ返事をする。


「開いてますよ」


 すると扉を開けて寝間着姿のリリナが入って来た。


「リリナどうしました?」

「・・・一緒に寝る」

「えっと」

「・・・カリナお婆様に使える部屋がないからテンリの部屋に行くように言われた」

「あの人はまったく、使える部屋ならたくさんあるのに」

「・・・私とテンリが使える部屋は今日はここだけだって」

「わかりました、それじゃリリナはベッドを使ってください、俺は床で寝ますから」


 リリナは首を横に降る。


「・・・一緒にベッドで寝る」

「さすがにそれは」

「・・・カリナお婆様に私とテンリは今日この部屋のベッドしか使ってはダメと言われた、それ以外の選択をしたら修行が一年増えるって」

「なんて理不尽な」

「・・・私と寝るの、嫌?」

「嫌な訳じゃないですよ」

「・・・なら寝よ」


 リリナはそう言ってベッドに潜り込んだ。


 俺は小さく溜め息を吐き隣に寝転ぶ。


「・・・テンリ、おやすみ」

「リリナ、おやすみなさい」


 目を閉じれば疲れていたためかすぐに眠りについた。


 そして翌朝。


 とても温かく柔らかい物を抱き締めていた、物凄く抱き心地が良い。


「・・・ん、テンリ、朝」


 俺はその声にゆっくり目を開ける。


「・・・おはよう」

「おはよう?」


 返事を返し少し恥ずかしそうに俺に抱きしめられているリリナを見て一気に目が覚めた。


「ご、ごめん!」


 俺はすぐに手を放しその勢いのままベッドの後ろに落ちた。


「・・・大丈夫?」

「だ、大丈夫です」


 あまりにベタな展開に俺は苦笑いをしながら応えた。


 起き上がり一度背伸びをする。


 熟睡出来たので身体がとても軽く感じる。


「・・・着替える」


 リリナはそう言っておもむろに寝間着を脱ぎ出す。


「ちょっと待って!」


 俺は驚いて後ろを向く。


「・・・着替えないの?」

「えっと、着替えますけど、同じ部屋で着替えるのはちょっと」

「・・・私達は夫婦、だから問題ない」


 そう言いながらリリナ着替え始めた。


 そんな事がありながら何とか俺も着替えを終えて部屋を出る。


「二人共おはよう」


 クロードは朝食をテーブルに乗せながら俺達に笑顔で挨拶をする。


「おはよう、昨日はよく眠れたか?」


 カリナはニヤニヤを隠す事なく俺とリリナを見る。


「おはようございます」

「・・・おはよう」

「昨日は良く眠れましたよ」


 俺はそう返事を返す、俺の慌てる様子を期待していたカリナはつまらないと肩をガックリさせた。


 朝食を食べ終えいよいよ俺は家に帰る、ただ3年ぶりに帰るのはいいが屋敷にそのまま帰ろうかエレノールの街の少し放れたところにしようか迷っている。


「テンリ、いつでも遊びに来ていいからね、気兼ねなくおいで」

「待ってるから、それとカレン達によろしく言っといてね」


 クロードとカリナはそう言いながら少し寂しそうな顔をする。


 俺は二人に頷くが正直な話し当分ここには来たくない、なんせ何度も死にかけたのだ、トラウマになっている、ただ二人の事が嫌いかと言えばそんな訳ではない、なんだかんだといろいろ世話をやいてくれたしいろいろ教えて貰った、なのでトラウマを克服するために少し時間が欲しいのだ、克服できるかはわからないけど。


「お爺様、お婆様3年間お世話になりました、それじゃ行きます」


 俺はゲートを開き二人に手を振ってリリナと共にゲートをくぐった。

 2日続けての投稿です。

 次回からは週1の投稿に戻ります。

 話としてはまだまだ続いて行きますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。