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第40話 四人目の婚約者ができました。

 テンリがカリナとクロードの元で修行を初めて3年が経っていた。


 日は沈みがけで空が赤く窓から夕日が差し込む。


「さて、これで修行は終了な訳だけど、ま、これだけやればある程度の相手なら何とかなるかな」


 カリナは笑いながらそう言った。


「まぁそうだな、若干不安もあるが逃げるだけなら何とかなるだろう」


 クロードはそう言いながら手にカップを香りを楽しんだ後に一口飲む。


 ゲートから這い出てきた俺は家の床でぶっ倒れながらかなり荒い息をしていた。


「ハァハァ、やっと終了なんだ、やっと解放される」


 俺は手に力を入れ空に拳をつきだした。


 思えばこの3年間は地獄だった、生きてさえいればどんな状態でも治してやる、この意味は直ぐに理解させられた、腕は切り落とされるは足は引きちぎられるはお腹には穴を開けられるは魔物の巣穴に放り込められ何とか生還したらその直後地下のダンジョンを作ったからとすぐに放り込まれと何故今生きていられるのかわからないくらいの事をされ続けた、そしていったい何度逃げ出しただろうか、その都度ついでに逃げる修行だと言われて散々追い掛けまわされた。


 俺から言わせればこれは修行などではない、ただの虐待だ、そう虐待なのだ!


 大事な事だから二回言った。


 しかし彼等にそう言ったところで何を言っているんだと本気で首をかしげるだけ、しかもこの修行は俺が最低限死なないための修行であり自分達の孫に対する愛情だと言う。


 ふざけるな!どんな愛情だよ。


 だが今日でこんな生活ともおさらばである、今日遂に俺はこの怪物達から解放されるのだ!


 そんな事を考えていたら扉をノックする音が聞こえた。


 クロードは扉を開けるとヴォルデリアが少し不機嫌そうに立っている。


「ん?ヴォルデリア、やけに不機嫌そうだな?」


 クロードは首を傾げながらそう言う。


「ふん、別に不機嫌ではない!」


 明らかに不機嫌そうにヴォルデリアはそう言った。


「小僧の修行は今日で終了なのだろう?」

「ああ、そうじゃな」

「そうか、おい小僧!」


 急に呼ばれ俺は起き上がりヴォルデリアに向き直る。


「どうかしましたか?」

「今日は、我の娘を連れてきた、相手をしろ」

「はぁ、わかりました」


 俺が了承するとヴォルデリアの表情が更に険しくなった。


「何で余計に不機嫌になるんですか?」

「不機嫌ではないわ!」


 明らかに不機嫌だろ、ヴォルデリアの娘か、どんな子なのだろう?


「でその娘さんは何処ですか?」


 俺がそう言うとヴォルデリアの後ろから女の子がひょっこり顔を出す、俺よりも少し年上くらいの子だ、ヴォルデリアの纏っているマントでどうやら隠れていたようだ。


「始めまして、テンリ=エレノールです、御名前を御伺いしてもよろしいですか?」


 女の子は頷いて少し前に出る。


「・・・リリナ」


 女の子は一言そう言って俺をじっと見る。


 リリナはヴォルデリアとは違い真っ赤に燃えるような綺麗な赤い髪をしている、更には真っ赤な目、そしてとても可愛らしい顔をしている。


「リリナ様ですね、よろしくお願いします」

「・・・様、いらない、リリナでいい」

「ですが」


 チラッとヴォルデリアを見るとかなり恐ろしい顔になっている。


 それに気付いたリリナはヴォルデリアの方を向く。


「・・・父様、邪魔、帰って」


 そう言って扉を閉めた。


「あっははは、ヴォルデリアの奴娘に締め出されたぞ!」


 そう言ってカリナは大爆笑をしていた、クロードは口を抑えてクスクスと笑っている。


「せっかく来ていただいたのですぐにお帰りいただくのも、お茶を淹れるのでヴォルデリア様にも少しゆっくりしていってもらいたいのですが」

「・・・ん、仕方がない、わかった」


 俺はヴォルデリアが可哀想でリリナにそう言ってから扉を開けた、そこには膝をつき四つん這いになりながら絶望的な顔をしているヴォルデリアがいた、竜王の欠片もないその姿を見て俺はゆっくりと扉を閉めた。


 数分後。


「ごほん、先程は悪かったな」


 わざとらしい咳払いをしながらヴォルデリアは体裁を取り繕う。


「ところでヴォルデリア様、どうして今日はリリナ様をお連れになったのですか?いつもはお一人で来ますよね?」

「それはだな、リリナと約束をしたのだ、もし無事に小僧が修行を終えたら連れてきてやると」

「そうなんですか、しかし何で俺と?」

「それはだな、その、な」


 ヴォルデリアはとても言いにくそうに言葉を途切れさせる。


「・・・私はテンリと結婚する」


 俺はその言葉を聞き口に含んだ直後のお茶を喉に詰まらせた。


 ヴォルデリアはまた不機嫌な顔をしつつ少し唸っている。


「あの、それはどういうわけですか?」

「・・・私のステータス、見て」


 俺はそこでハッとなりリリナのステータスを心眼で見る。


名前:リリナ=ドラグニア

年齢:435歳

性別:女

種族:竜人族 神族

称号:第一王女 神の一欠片 五行天竜序列一位

HP:43000/43000

MP:36500/36500

攻撃:2200

防御:2350

魔力:2000

敏捷:2020

幸運:2080

技能:言語理解 アイテムボックス 神眼 全魔法習得可 全技能習得可 状態異常無効 リンク 竜化 龍化

PS:会う順番が狂ったけど後で揉めたりしないかな、絶対喧嘩になるよこれ、まぁ何かあればテンリが何とかしてくれるよね。


 いろいろと驚きを隠せない、まずは家名だドラグニアってアシュフォード大陸にあるドラグニア王国の王族じゃん、しかも称号に第一王女って、更に天界から与えられた称号、五行天竜の序列一位だなんて、さらには全ステータスが今まで見てきた中でも最強だ、まぁ数名ステータスが見れなかった人達はいるけど。


 だが何より一番重要なのは称号の神の一欠片だ、つまりこの子、いや、年齢ははるかに上だからこの女性だな、この女性は俺の婚約者になるであろう事がわかった。


 ヴォルデリアを見れば忌々しい奴めと言わんばかりの顔をしている。


 ただ気になったのはヴォルデリアとリリナの関係である、それを察したのかヴォルデリアは嫌そうな顔をしながらも説明を始めた。


「リリナは我の娘であるのは間違いない、もともと竜人族は我等竜族に生け贄に出された人族達だ、人化した竜族が交わり竜人族として種族が生まれたのが始まりと言われている」

「それはリリナ様の母親がヴォルデリア様の生け贄に出されて産まれたのがリリナ様と言う事ですか?」

「違うわ!」


 ヴォルデリアは即座に否定した。


 リリナは俺の服を掴む。


「・・・竜王になれるのは竜族で最強の実力を持つものを言う、竜王になるには竜王に認められその座を譲られるか竜王を殺す、当時竜人族最強であった母様は竜人族でありながら竜王になろうと父様に挑んだらしい、結果はぼろ負けだったと言っていた、そしてたまたまその場で人化した父様に介抱されそのまま惚れて求婚したのだそうだ、母様はいまだに父様にベタ惚れ」


 ヴォルデリアは娘に馴れ初めを話されて顔を手で覆っていた。


 話を聞いていたクロードは頷く。


「500年くらい前の話だったね、その頃はちょうどわしがヴォルデリアに勝ってヴォルデリアが大人しくなった時期だったか、確かその時に出会ったんだって言ってたな」


 ばつの悪そうな顔をするヴォルデリアはクロードを睨む。


「余計な事を言うな!」


 そしてその話を聞いて大爆笑しているのはカリナだ、床で転げ回っている。


「と、とにかくだ、リリナは我の娘で一応小僧の婚約者になる、忌々しいがな」

「それならヴォルデリア様じゃなくてお義父さんと呼んだ方がいいですね」

「やめろ気持ち悪い!」


 俺とヴォルデリアの会話を聞きリリナは俺の服を引っ張る。


「・・・受け入れた?」

「俺に拒否権はないですからね」

「・・・拒否したい?」

「いえ、そんな事は思ってませんよ」

「・・・ホント?」

「はい」

「・・・ん」


 リリナは頷くと俺の腕に抱きつく、それを見たヴォルデリアは今にも飛び掛かって来そうだ。


「・・・後は私達夫婦で話をする、父様、邪魔だから帰って」


 ヴォルデリアはその一言でまたも崩れ墜ちる。


 こうして俺に四人目の婚約者ができたのだった。

 40話です。

 読んでくださる皆様いつもありがとうございます、まだまだ続きますので今後もよろしくお願いします。

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