第34話 出会いは衝撃的でした。
現れた黒い竜は俺とセバスの前に降り立ち俺達を見下ろしている、屋敷の中からは悲鳴が聞こえ初めた、皆がパニックを起こしているようだ。
『テンリと言うのは貴様だな?』
黒竜は威圧しながら俺を見て質問をする。
「しゃ、喋った」
「高位の魔物は知性を持ちます、それが竜となるとどれ程の実力になるか想像もつきません」
セバスは身構えてはいるがその顔は苦虫を噛み潰した顔をしている。
『おい、我が問いに答えろ!』
黒竜は返事がないのが勘に触ったようで先程よりも強い口調で話す、どうやら俺に用があるようなので怖いながらも俺は返事を返す。
「俺は確かにテンリと言いますが」
恐る恐る答えた。
なぜ黒竜が俺の名前を知っているか解らない、竜種に何かをした覚えはないんだが。
すると黒竜はニヤリと笑う。
それは一瞬の出来事だった、気づけば俺は黒竜に掴みあげられていた、油断はまったくしていなかったのだが気づけば俺は黒竜の手の中だ、巨大な身体をしながらも俺を握り潰さないようにしかし抜け出せない絶妙な力加減だ、俺はこんな状況にもかかわらず器用なものだと感心してしまった。
「テンリ様!」
セバスが慌てて俺の名前を叫ぶ。
『そこの人族よ、この者を少し借りていく』
そう言い残し黒竜は俺を手に握りながら上空に舞い上がった。
セバスはなにも出来ないままその場に立ち尽くしてしまった。
黒竜は雲の上まで上がりそのまま移動を開始しした。
物凄い速度で移動しているのだろう周りの景色が目まぐるしく変わる。
『おい、息苦しくはないか?』
不意に黒竜から話しかけられそう言えばかなりの高所まで来たにも関わらず息が苦しくない、それにかなりの速度で移動しているのに風に叩きつけられる感覚もない。
「大丈夫ですが、何か魔法でも使っているのですか?」
『そうだ、人族は脆弱だからな、移動するだけでも苦労する』
俺の質問に黒竜はやれやれと話す。
「えっと、お名前を聞いても?」
『貴様は我の名を知りたいのか?』
「教えて頂けるのなら、嫌ならいいです」
『そうか、我の名がそんなに聞きたいか、仕方ない特別に教えてやろう、我が名は竜王ヴォルデリアだ!』
「なっ!」
ヴォルデリアって何百年も前に各大陸で暴れまわっていた災厄の暗黒竜の名前じゃないか!でも大昔に討伐されたって話のはずだ。
「あの、間違ってたら申し訳ないんですけど、ヴォルデリア、様は何百年も前に各大陸で暴れまわっていたあのヴォルデリア様ですか?」
『確かに昔は暴れまわっていたな、あの頃は若かった』
ヴォルデリアはしみじみと頷いていた。
「その、討伐されたと本に乗っていたのですが?」
『我が討伐などされるわけがなかろうが!討伐されていれば今ここにいるはずがないだろう!』
俺の言葉に怒り大気が震えた。
「そうですよね」
『ふん!わかればよい!』
「ヴォルデリア様はなぜ急に姿を現さなくなったのですか?」
『それは・・・いろいろあるのだ』
ヴォルデリアは急に大人しくなり遠い目をした。
なんだか聞いてはいけない事を聞いてしまったようなので話を変えることにしる。
「あの、これからどこに行くのですか?それにどうして俺の名前を知っているのですか?」
俺は疑問に思っていることを訪ねる事にした。
『質問が多い奴だな』
黒竜は少しめんどくさそうに返事を返す。
「あの、答えたくないなら答えなくても大丈夫です」
機嫌を損ねて何かあるといけないので俺は大人しく引き下がる事にした。
『誰も答えぬと言っておらぬだろうが!』
しかし黒竜は少し怒りながらそう話す。
『今向かっておるのはアシュフォード大陸の奥地にある幻惑の森と言う場所だ、そこで貴様を待っている者がおる、我はその者にテンリと言う人族の子供を連れて来るように頼まれて貴様を迎えに行ったのだ』
一体誰が何の目的で俺なんかを?
「俺を連れてくるように頼んだのはどんな方何ですか?」
『話を聞いておらんのか?我が聞いた話では貴様に話が伝わっていると言っておったが、まぁよいか、もうすぐ目的地に着く、そこであやつらに聞け』
ヴォルデリアはそう言いながらスピードを落としゆっくりと地面に降り立つと俺を解放した、その目の前には巨大な黒竜であるヴォルデリアよりもさらに大きな木々が立ち並んでいた。
「ここが目的地の幻惑の森ですか?」
『そうだ、今からこの中に入るが我からはぐれぬように気をつけろ、この中で迷えば二度と出て来れぬと思え』
「わ、わかりました」
『うむ、おっと、その前に』
いきなりヴォルデリアを闇が包みどんどん小さく成っていく、人の大きさほどになったら闇が晴れ人の姿が現れた。
「ここしばらくはこの姿で生きていたから元の姿よりもしっくりくるな」
そこには背が高くとても顔が整っている真っ黒な長髪のイケメン青年がいた。
「ヴォルデリア、様?」
「そうだ、元の姿よりこっちの姿の方が歩幅が合わせやすかろう、では行くぞ」
ヴォルデリアは森の中に進み俺は慌ててその後ろを付いていく。
そこそこ歩いたが特に何が起こる訳でもなくただ真っ直ぐに進んでいく、目的地に着く気配もまったくない。
「ヴォルデリア様何処まで行くんですか?」
「まったく、貴様はのんきな奴だな」
「え?」
「囲まれておるぞ」
俺は周りを警戒しながら確認するがまったく解らない。
「まだわからぬか、安心しろ我のそばにいれば襲われる心配はない。そのうち気配もわかるようになるだろう、生きていればだが」
最後に恐ろしいことを言放つ、俺は警戒を強めながらヴォルデリアに離されないように着いていった。
一体どれくらい歩いたのかわからない、ただただヴォルデリアの後ろに着いて歩く、すると唐突に立ち止まりヴォルデリアは前を指差した。
「あそこが目的の場所だ」
そう言われヴォルデリアの指差す方を向くと一部開けた場所がありそこには一軒の木で出来た家があった。
「あそこが目的地ですか?」
「そうだ」
ヴォルデリアはまた歩きだし俺はそれに着いていく。
扉の前につきヴォルデリアは勢いよく扉を叩く。
「おい連れてきてやったぞ、さっさと扉を開けんか」
ドンドン、ドンドンドンと扉を叩く音が激しくなる。
「あの、そんなに叩かなくて」
「うるせー!」
内側から扉が吹き飛ばされそれと同時にヴォルデリアも吹き飛ばされる。
「何度もドンドンと叩くな!壊れるだろうが!殺すぞ!」
とても不機嫌そうな顔をした女性が家の中から扉を蹴破って外に出てきた、女性は中指を立てながらヴォルデリアを睨み付ける。
いやいやあなたが扉を壊してますよと思いながら俺は顔をひきつらせその光景を見ていた。
「ん?誰かと思えばヴォルデリアか?お前なにしてんだ?」
吹き飛ばされたヴォルデリアは逆さまで空中に止まり不機嫌な顔で女性を睨む。
「貴様が連れてこいと言っていた子供を連れてきたのだ」
「んあぁ、あぁ、ご苦労様」
女性は納得した顔をしながら周りをキョロキョロしだす。
「ん?どこ?」
ヴォルデリアは溜め息を吐き俺を指差す、女性はその指差す方に視線を向け振り返る。
俺はどうしていいかわからず困った顔をしているとパッと顔を輝かせ女性は俺をグッと抱き上げた。
「おぉ、テンリ、そうかそうか、改めて近くで見てもやっぱり可愛らしいな、うん!」
この女性よく見れば母親であるカレンにとてもよく似ている。
「えっと、初めまして、テンリ=エレノールです」
俺は軽く頭を下げる。
「おお!挨拶できるのか、偉いぞ」
女性は嬉しそうにうんうんと頷く。
「あの、あなたは?」
「私がわからないのか!?、いや、でもそうか、うん、私の名はカリナ」
「カリナさん」
「うん、カレンのママでテンリのおばあちゃんだ」
「へ~、ばあちゃん?婆ちゃん、え!俺のお婆様なんですか!」
確かにカレンとよく似ていはするがとてもお年寄りには見えない、どう見ても二十代前半だ、カレンと姉妹だと言われた方が納得できる。
カレンの母にして俺の祖母、なんとも出会いが衝撃的過ぎる。
「そうだぞ、今日から私がテンリに修行をつけてやるからな」
カリナはそう言って笑顔で俺を抱き締めた。
「おいカリナ、あいつはどこに行った?」
ヴォルデリアは周りをキョロキョロ見渡す。
「さぁ?もうすぐ帰って来るだろう、それまで家で待っていればいいぞ、ついでにテンリをちょっと鍛えてくるって言っといて」
「うむ、わかった」
「後お前が壊した扉を直しといて」
「扉を壊したのは、う、うむ、わかった」
ヴォルデリアは不満そうな顔ではあるが了承した。扉を壊したの完全にお婆様でしたよ。
ところであいつって誰だろうか?
「あの、あいつとは誰のことですか?」
「帰って来たら紹介するわ、取り敢えず行くよ」
カリナは俺をおもむろに肩に担ぎ上げゲートを開くとその中に入っていった。
お読みくださりありがとうございます。
見直しをしてから投稿しているけど誤字脱字がそこそこあります、なのでご指摘してくださる方ありがとうございます、助かります。
今さらですが10,000PV超えました、正確には16,000PV超えです、ゆっくりとした投稿ではありますがお付き合いくださる皆様ありがとうございます。




