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第18話 説明をしに行きました。

 城の門につき門番を勤める兵士が近付いてくる。


「そこで止まれ、この家紋はエレノール家の方々ですね」

「はい、ご当主のカロン様とご子息のテンリ様です」


 門の前でいったん馬車を止め御者と兵士が話を始める。それを俺は窓から見ていた。


「確認いたしました、どうぞお進みください」


 そのまま馬車は門を進んで行く。


「案外あっさり入れるものなんですね」


 てっきり色々な手続きが必要なのかと思ったが。


「本来は色々な手続きが必要だ、陛下に謁見するだけでも何日もかかる」


 やっぱり必要だった。陛下と会うだけで大変なんだな、聖都ではよく会ってたから暇なのかと思っていたが仕事はちゃんとしていたんだ。


「しかし今回はメルテツシナ魔王国の国宝が絡んでる、しかもセバスの話しでは代々魔王になる者に受け継がれる物だと、その話が本当ならゆっくりしていられないだろう」


 魔王に代々受け継がれるものか、そんな物が手元にあると思うとなんだか怖いな。


「その・・・ごめんなさい」

「謝る必要はないさ、そもそも聖都のしかも蚤の市で売られているなんて誰も思わないからな」

「でも売られていたわけですから」

「そうだな、ただそれをメルテツシナ魔王国の者達が信じるかどうかだな」

「信じてもらえないでしょうか?」

「恐らく信じないだろうな」


 俺もカロンも大きな溜め息を吐く。


「とりあえずそれをどうするのかを陛下に相談するわけだ、後は、任せてしまおう」

「はい」

「さて着いたぞ、降りよう」


 俺とカロンは馬車を降り城内に入る、案内役のメイドに連れられて部屋の一室で陛下を待つ事になった。そこから30分程たった頃だろう、ノックと共に陛下が入って来た。


「待たせたな」


 俺とカロンは臣下の礼を取る。


「急な事で申し訳ありません」

「構わん、そもそも公の場ではないからな、畏まる必要もない」

「そうっすよ、ここには口うるさい貴族連中がいる訳じゃないっすからね」


 陛下の後には十二聖天の序列七位のミルが入ってくる。


「自分も手紙読みましたよ、カロンさんもテンリ君も大変っすね」


 ミルは他人事のように話す。


「ミルには裏を取って貰わなければならないのでこの話の後はメルテツシナ魔王国に向かって貰う」


 それを聞きミルが肩を落としていた。


 そして最後に知らない男の人が入って来た。


「カロン殿、お久しぶりですな」

「ドルメイン様、お久しぶりです」


 ドルメインと言われた人物は俺を見定めるように目を細める、しかもかなりの威圧感だ、軽く殺気も混ざっている、部屋の空気が重たくなるのを感じる。近くにいるメイドさんなんて恐くて震えている、あ、泣き出した。


「この方はドルメイン=デイステン、陛下の弟であり宰相を勤めている方だ」

「ドルメイン=デイステンだ」

「初めまして、テンリ=エレノールです」


 とりあえず笑顔で挨拶をする、するとドルメインは俺を見ながら笑い始めた。


「クックッ、高圧的な態度をとっても歯牙にもかけないか、普通の子供なら恐くて震えるか泣き出すが、肝が据わっているな」


 ドルメインが笑顔で手を差し出してくる。その手を取り握手を交わした。


「試すような事をして悪かったな、あんまりにも兄貴が自慢するから試したくなった」

「自慢ですか?」

「ああ、ステータスが異常だそうだな、まだ公になってないがアルナと獣王国の姫と婚約したと聞いた、更には神託の義で天使様ではなく神アトレイア様からその婚約に対して祝福の言葉を授かったとも聞いた、天に選ばれただの神に選ばれただのそれが自分の義理息子になると興奮しながら何度も聞けばな」


 俺は陛下を見るが陛下は目を反らしていた。


「とにかくお前が普通の子供でない事はわかった」


 確かに普通の子供ではないな。


「それと婚約の話はまだ秘密にしておいてくれ」

「秘密ですか?」

「ああ、お前達が子供だと調子にのってよからぬ事を考える奴が出てくるかもしれない、公表するにしても準備が必要だ」

「はい」


 ふと先程泣きながら震えていたメイドさんと目が合った。


「あの、メイドさんの顔が青ざめているのですが」

「ん、ああ、気にするな、アイツは俺の直属の部下だ、ただのメイドじゃない、それに口も堅い、もし万が一今のを話してしまえば、まぁ、わかるよな」


 メイドさんは首をおもいっきり縦に振っていた、何とも可哀想な。


 皆が椅子に座りメイドさんからお茶を入れて貰う、涙目ではあったが仕事は完璧にこなしていた、流石はプロだな。


「さて、本題に入ろうか」


 陛下の一言で場の雰囲気が変わった。


「手紙を読んで事情はわかった、しかしそれがまだ事実かはわかっていない」

「はい、セバスが話していたので嘘ではないのでしょうが、証拠があるわけではありませんから」


 コクロウがメルテツシナ魔王国の国宝であり魔王の就任と同時に受け継がれる、セバスはそう言っていたが確かに証拠があるわけではない。


「テンリよ、その問題の剣を見せてくれ」

「わかりました」


 陛下に言われ俺はアイテムボックスからコクロウを取り出し机の上に置く。


「これがメルテツシナ魔王国の国宝か、これを触らせてもらってもいいか?」


 ドルメインはじっくり観察した後に手に取ってもいいか確認してきたが俺もカロンも止めた。


「その、触るのはやめておいた方がいいかと」

「テンリの意見に賛成です」


 陛下、ミル、ドルメインの三人は不思議な顔をする。


「なぜ手に取らない方がよいのだ?」


 陛下はごもっともな質問をしてくれた。


「その、俺が持ったり使ったりはできたのですが、父様が触ろうとしたら」

「おもいっきり吹き飛ばされました」

「「「は?」」」


 俺とカロンの話しを聞き、陛下達が難しい顔をする。


「それはどういう事だ?」

「多分なのですが、所有者、または使い手が限られているのだと思います、もしこの剣に認められていない人物が触ろうとすれば拒絶され吹き飛ばされるのではないかと」

「他の者達は試したのか?」

「いえ、皆が試すのを拒否したので確認はできていません、ただ不用意に触るのは危険かと、危うく壁にめり込む所でした」


 その話しを聞けばさすがに試そうとは言い出さなかった。


「刀身も見てみたい、剣を抜いて見せてくれないか」

「わかりました」


 俺はコクロウを手に取り鞘から抜き刀身を見せる。その直後に部屋の空気が重くなる。


「なんと禍々しい」

「ですけど凄く綺麗で目を奪われるっす」

「確かに国宝と言われれば納得だ、ありがとう、鞘に納めてくれ」


 俺はコクロウをゆっくりと鞘に納め机の上に置きなおした。


「手紙で読んだだけでは半信半疑だった内容も実物を見れば納得できた」

「確かにこれは国宝、いやそれ以上の物かもしれないっす」

「そしてメルテツシナ魔王国は絶対にこれを取り戻そうとすることだろう」


 ドルメインの言葉に皆が頷く。


「手紙であらかた知っているのだが、改めてその剣を手に入れた経緯を話してくれ」

「はい」


 そして陛下達にこの剣を手に入れた時の話しを説明する。それをカロン、陛下、ミル、ドルメインの四人は口を挟むことなく聞く、ただメイドさんは聞きたくないと一人耳を塞ぎしゃがみこむ。


「以上がコクロウを手にするまでの話です」


 俺の話しを聞き終えると大人達は盛大な溜め息を吐いた。


「こちらに非はないといえ手元にこんな物があれば盗んだと疑われるかもしれないな」


 陛下は腕を組ながらコクロウを見る。


「いっそこの話しをなかったことにしたらどうっすか?」

「それもありか」


 ミルの言葉を聞き陛下は頷く。


「ダメに決まっているでしょう」


 ドルメインは溜め息を吐く。


「裏がとれ次第メルテツシナ魔王国に連絡しましょう、疑いがかかるかもしれませんが後で問題が拗れるよりいいでしょう、それに上手くいけばメルテツシナ魔王国に恩が売れる、あそこは環境があまりよくないがそれを補うために高度な魔道具が多くあると聞きます、それを手に入れることができるかもしれない」


 ドルメインの言葉に皆が頷く。


「今日は以上だな、カロンにはまた情報が入り次第連絡をする」

「わかりました」


 話し合いが終わり俺とカロンは王城を後にした。

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