第12話 ドリュサス男爵領に着きました。
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聖都から出発しエレノール領には順調に進んでいた。行きはリアナ達と合流するために王都に寄り少し遠回りをしたが帰りは最短距離でエレノール領に戻るため道が少し違う。
今いるのはドリュサス男爵と言う人物が納めている領地で、その街にはファンタジー世界の定番の一つダンジョン迷宮がある、そこは冒険者でとても賑わっているそうだ。
迷宮の名前はシュレフェットダンジョン大迷宮、何階層まであるかは判明していないが古くからある迷宮で現在の最高到達階層は28階層なのだそうだ。
「このドリュサス領はとても楽しそうな所ですね、特にシュレフェットダンジョン大迷宮、ぜひ行ってみたいです」
俺はカロンを見ながら迷宮に行きたいと催促する。
「シュレフェットダンジョン大迷宮か、テンリは冒険者になりたいんだったな、だがあそこはデイステン王国と冒険者ギルドが共同で管理していて冒険者か国の兵士じゃなきゃ入れないようになっている今のテンリでは入れないな」
カロンが話した通りこのダンジョン迷宮は国と冒険者ギルドが共同で管理をしている、ダンジョン迷宮に入る前に入り口で受付の許可をもらわなければならない。
許可を貰うには冒険者ギルドに所属又は国の兵士として所属していなければならない、一般人がなぜ入れないか、簡単な話である、危ないからだ。
だがいくつかの例外もある、その例として一般人が冒険者を雇ったり兵士が貴族の随伴をするなどだ、ただしダンジョン迷宮内での怪我やもし死んでしまった場合全て自己責任であると同意書にサインしなければならない。
「冒険者を雇ったり兵士に随伴してもらえれば入れますよね」
「・・・なぜそんな事を知っているんだ?」
「ちゃんと調べましたから」
「ダンジョン迷宮には罠が複数あり危険だ」
「ここのダンジョン迷宮の罠は11階層以降です、1・2階くらいのフロアなら魔物も弱いとの事です、それより下に降りなければ大丈夫なはずです」
「それも調べたのか!しかしだな、テンリは戦闘訓練などしたことがないだろ」
「そんな事、は・・・あれ?」
よくよく思い出せば知識ばかり増やすために本ばかり読んで戦闘訓練をしてない、それどころか転生してから運動すらまともにしたことがなかった。
「テンリ、お前にはまだ早い、まずは戦闘訓練からだな、セバスにいろいろ教えてもらえ」
「訓練をする前に実戦を見ておけばそれを参考に効率の良い戦闘訓練ができると思います」
「ダメだ」
「くっ」
「それに今からドリュサス男爵に挨拶しに行く、我々は屋敷に泊めてもらい兵達は宿で休ませてやらねばならない、明日の朝には直ぐに出発する予定だ、テンリをダンジョン迷宮に連れていく時間はないな」
カロンに言い返す事ができない、その後不機嫌なままドリュサス男爵の屋敷に近づいていく。
「テンリ、そろそろ機嫌を直せ、そんな態度のままではドリュサス男爵に会わせられないだろう」
「わかってます」
「まったく、普段は素直なのに」
カロンはため息をつく。
「今までが素直過ぎたのよ」
「そうだよ、テンリちゃんくらいの年齢の子ってもっと我が儘だよ」
話を聞いていた母様達が俺の味方になってくれる。
「レインちゃんもマインちゃんもテンリちゃんくらいの年齢の時はもっと我が儘だったでしょ」
「たまには子供の我が儘に付き合ってあげないと嫌われるわよ」
嫌われると聞きカロンは少し悩み始めた。
「仮にだ、ダンジョン迷宮に行くとして誰が行くんだ?」
「カロンとセバス」
「二人がついていけば余程の事がない限り大丈夫だよね」
カロンは腕を組み考える。
「カロン君、こないだ兵士の人が話してたんだけどね、遠征のためになかなか家に帰れなかったんだって、遠征が終わって久しぶりに家に帰ったら自分の娘に叔父さん誰って聞かれたそうだよ」
「な!」
兵士の人可哀想過ぎる、家族のために一生懸命仕事をしやっと家に帰ったら娘に忘れられているなんて。
「テンリちゃんは頭が良いから忘れられる事はないと思うけど、あんまり構わないとどうなるか、カロン君気をつけてね」
タリアの言葉にカロンは諦めた顔をする。
「テンリ、少しだけだぞ」
「本当ですか、父様大好きです」
俺は満面の笑みで答えた、母様達グッジョブです。
話が纏まったのと同時にドリュサス男爵の屋敷に到着したようだ、馬車を降りると屋敷には多くの人達がおり一斉に頭を下げる、するとドアが思い切り開き満面笑みで1人の男が近付いてくる。
「カロン様、お久しぶりです、お元気そうで何よりです」
「ドリュサス男爵もお変わりないようで安心しました」
ドリュサス男爵だ、とても優しそうな顔でぽっちゃりしている。
このドリュサス男爵はとても優しく領民の声に耳を傾け税も安くしているためかなり評判の良い領主だそうだ、冒険者が好きでここで働いている人の多くが元冒険者だったりするそうだ、この場にいる人達は厳つい顔や体格がいい者達も多い。
「タリア様にカレン様もお元気なようで」
「お久しぶりです」
「久しぶりね、あんたまた太ったんじゃない?」
タリアは普通に挨拶したがカレンは腕を組み上から目線に加えて失礼な事を言う、しかしドリュサス男爵は怒ることなく笑顔のままだ。
「そして貴方がテンリ君ですね」
「はい、初めまして、テンリ=エレノールです」
「これはご丁寧に、私はローマニエ=ドリュサス男爵です、それにしても落ち着いておりますな、我が子にも見習わせたい事です」
「ありがとうございます」
俺との挨拶の後はセバスに顔を向ける。
「セバス様、お久しぶりでございます」
「お久しぶりですドリュサス男爵」
ドリュサスはセバスに尊敬の眼差しを向けている。
「どうぞ中にお入りください」
ドリュサスに案内され屋敷の中に入って行く。
広間に案内されそこでドリュサスの妻と息子を紹介された。
「妻のメローリャと息子のソリュアです」
「初めまして、メローリャ=ドリュサスです」
「は、初めまして、ソリュア=ドリュサスです」
メローリャとソリュアは緊張しながら挨拶をする、すぐに俺達も挨拶をした。
メローリャは綺麗で整った顔立ちだ、息子であるソリュアも同じく整った顔立ちをしていてイケメンだ。
「妻も息子も公式の場での経験が無いもので粗相があるかもしれませんがお許しください、さてお腹も空いていることでしょうこちらで食事を用意させていただいております」
食堂に案内され食事をしながら話をする、ドリュサスには3人の妻がいるのだそうだ、第一婦人、第二婦人は貴族の娘でラウスヴェル学園で現在教師として働いているそうだ、そしとその第一婦人には長男次男、第二婦人には長女がおりその子供達もまたラウスヴェル学園に通っているとのこと。
メローリャは第三婦人で平民だがドリュサス男爵の妻達は3人共とても仲が良いそうだ。
ソリュアは三男で今は7歳だが彼もいずれラウスヴェル学園に通うそうだ、その頃には入れ代わりで長男がラウスヴェル学園を卒業して第一婦人と共に戻って来るらしい。
「テンリ君、よければソリュアと友達になっては貰えないかな?」
「はい、よろしくお願いしますソリュア君」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
ソリュアは恥ずかしそうに笑う。
「良かったなソリュア、ところでカロン様、滞在のご予定はどれ程?」
「明日の朝には出発しようかと」
「そんなに早いのですか!?出来ればいろいろお話しを聞きたかったのですが」
ドリュサスは残念そうにする、それと同じくソリュアも残念そうにしていた。
「カロン様、せっかくテンリ様にお友達が出来たのですからもう少しゆっくりしては?」
セバスの提案にドリュサスとソリュアが目を輝かせる。それを見てカロンは苦笑いだ。
「領主としての仕事がな」
「大丈夫よ、うちの人材は優秀だもの、それに帰ったら私もタリアも仕事を手伝ってあげるわ」
「そうだね、だからカロン君お願い」
「しょうがない、滞在は3日だ、それ以上は無理だぞ」
「わかってるわ」
「さすがカロン君」
「ドリュサス男爵、3日程の滞在ですがよろしいですか?」
ドリュサスは物凄い勢いで首を縦に降った。
「もちろんですとも、良かったなソリュア」
「はい」
2人共とても良い笑顔だ。
「兵士の方々もこの屋敷にお泊まりください、部屋も多いですので皆さんお泊まりになれますよ」
「よろしいのですか」
「こちらが言いだしたことですから是非」
「ではよろしくお願いします」
こうしてドリュサスの屋敷に3日間の滞在が決まった。
「父様、ダンジョン迷宮に行く時間がとれましたね」
「覚えていたか」
「はい」
テンリの言葉にカロンは苦笑いだ。
「ダンジョン迷宮に行くのですか?」
話を聞いていた興奮しながらドリュサスは立ち上がる。
「は、はい、父様と約束していまして」
「なんと!カロン様が直接行かれると」
「はい、それにセバスも」
「な、なんと、是非ソリュアも同行させて頂けないでしょうか」
「ソリュア君ですか」
「はい、ソリュアは私の影響で冒険者に憧れていましてな、兵士や懇意の冒険者パーティーとよく迷宮に行っているのです」
「そうなんですか」
「はい、なのでぜひソリュアも」
大興奮のドリュサスに若干テンリもカロンも引き気味だ。
「流石に2人を連れていくとなると」
「勿論こちらからも兵を出しますとも、それとは別に懇意にしている冒険者パーティーにも声をかけましょう、若手ではありますが全員Cランクの冒険者でもうすぐBランクに手が届く程の人材です」
ドリュサスの勢いが凄い。
「わ、わかりました」
「ありがとうございます」
直ぐにドリュサスは使いを出し兵士やドリュサスが懇意にしている冒険者達に連絡しダンジョン迷宮に行くメンバーが決まった。
次はいよいよ異世界ファンタジーの定番の一つダンジョン迷宮です。




