第11話 指輪を渡しました。
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朝目を醒ますと隣でリアナが寝ていた、なんとも幸せそうな顔をしている。
そのままリアナを抱きしめ再び目を瞑り微睡みの中に呑まれていく。
暖かいそれにとても安心する。あれ、そう言えば何で隣にリアナが寝ているんだろう?昨日寝るときは一人でベッドにいたはずなのに、これは夢?目を薄く開きゆっくりリアナの頬に触れる。
「やっぱり触れる?」
リアナは少しくすぐったそうな顔をしそれを見てあれ微笑ましくなる。
あれ、夢じゃないぞ、そこで寝惚けていた俺の脳は一気に覚醒した。
「な、何で又ここにリアナが!?」
意識は覚醒したのだが驚きにより今度は思考が止まる、リアナを自分に抱き寄せている状態でとても気恥ずかしい、何時までもこのままでいるわけにもいかず名残惜しいが俺はリアナを起こすことにした。
「リアナ、朝ですよ、起きてください」
「ふぇ、テンリしゃまだ~」
リアナは寝惚けているようでフワフワしている、なんて可愛いんだろう。
「えへへ~、テンリしゃま~」
リアナは寝惚けているようでそのまま抱きついてくる、俺は嬉やら恥ずかしいやらで心臓がドキドキだ。
「ちょ、リアナさん、目を覚ましてください」
「へ~?」
そこで俺の顔を覗き込み数秒。
「あれ、なんでテンリしゃまが私の部屋に?」
リアナは周りをキョロキョロと見回した後に俺を見る。
「ここ、私の部屋じゃない?」
「ここは俺が使っている部屋ですよ」
「う~ん、夢?」
「ではないです」
俺を見つめたまま次第に目が覚めてきたのかリアナの顔がみるみる赤くなる。
「な、え、な、わ、私」
「えっと、おはようございます」
「おはよう、ござい、ます?」
そして俺に抱きついていた事に気付き急いで離れた。
「わ、私、なんでまたテンリ様のお部屋に!?」
「寝惚けて部屋を間違えたとか?」
「いえ、そんなはずは、昨日お母様達とお話をしていて、そう言えば途中から記憶が、そのまま眠ってしまって」
俺はリアナが混乱しているのを微笑ましく見ていたのだが視線を感じ扉に目を向ける、すると扉が開いておりこちらを見ている三人の人物と目が合い俺は頭を押さえた。
「母様達、いったいそこでなにをしているんですか?」
「「「あ、バレた」」」
バレたって、隠れる気が更々ない癖によく言う。
「え?」
リアナは扉を見て母親達のニヤニヤと楽しそうな笑顔に更に顔を赤くし布団を頭まで被る。
「昨日話している最中にリアナが眠ったからベットに運んだの」
「せっかくだからテンリちゃんの隣に寝かせてあげたんだ」
「御礼はいいですからね」
三人は笑顔でそう言いながらその場をさって行った。
「あの、なんかごめん」
布団を被りプルプル震えているリアナに謝る、ただ犯人は母様達なのだ。
リアナは布団から顔を出す。
「あの、テンリ様が謝る必要はないです、そ、それに、朝一番にテンリ様のお顔が見れて、嬉しいです」
なんて可愛らしい事を言ってくれるんだろうか。
「俺も一番にリアナの顔が見れて嬉しいよ」
恥ずかしそうにリアナは笑う。
「あの、その、部屋に戻って着替えてきますね」
リアナはベットから降り自分の部屋に戻っていった。
服を着替え食堂に向かう、そこには既に皆が集まっていた。
「おはようございます」
俺は挨拶をしてリアナの隣に座り食事が始まる。
「テンリ、リアナ、我々は明日の朝に聖都を出てそれぞれの国に帰ることになった」
カロンの言葉に少し驚く、リアナとアルナとの婚約が決まったからその話し合いでまだ数日残ると思っていたんだけど。
「話し合いはもうよろしいんですか?」
「ああ、思ったより早く話が進んでな、聖都側も協力してくれているから取り決めがとても楽だった、この場で決められないこともあるから今はこれ以上話すことがない、それにお前達が婚約したとはいえ公式な発表はまだ先の話だからな」
カロンは帰ってからもやることはやま積みだと溜め息をしていた。
リアナは寂しそうな顔をしていたが仕方がないと頷いていた。
食事を終えた俺とリアナはアルナに会いに大聖堂に行く、その前にリアナは荷物を取りに一度自分の部屋に戻っている。
「明日の朝には帰るのか」
次にリアナとアルナの二人に会えるのはいつになるかわからない、せっかくなので何かプレゼントしてあげたいけど、どうしたものか?
「テンリ」
悩んでいるとカレンに声をかけられる。
「どうかしたの?」
「カレン母様、明日には帰らないといけないのでその前にリアナとアルナにプレゼントをと考えているんですが、どうしようかと」
「そう、それならガルフ=ゴートンというドワーフがいるからそこに行ってみたら」
カレンはそう言いどこからか地図を取り出し場所を教えてくれた。
「それとこれを持っていきなさい」
文字が書かれた木の板を渡される。
「それを見せれば良くしてくれるわ」
「ありがとうございます、一度行って見ますね」
カレンとの話を終え部屋から戻ってきたリアナと共にアルナの要る大聖堂に向かう。
アルナに会い明日の朝に聖都を出る話をする。
「そっか、明日の朝2人共国に帰るんだね」
「もう少し聖都に滞在すると思ってたんだけどね」
「仕方ないよ、皆忙しい立場の人達だからね、本来こんなにのんびりしてられる人達じゃないし」
「そうだね、アルナは今日も忙しいの?」
「まあね、この後も直ぐにお仕事だよ、全く嫌になる」
「そっか」
扉をコンコンとノックする音が聞こえる。
「アルナ様そろそろお時間です」
「わかりました直ぐに参ります」
アルナは立ち上がり服を整える。
「どうやら時間みたい」
「大変だね」
「これでも聖女だからね」
「貴重な時間を取ったみたいでごめんね」
「むしろ短い時間でも話しに来てくれて嬉しいわ」
アルナは扉に手をかけてニヤリと笑う。
「私もリアナみたいに一緒のベットでテンリと眠りたかったな」
その言葉にリアナは顔を赤くさせる、良いものが見れたと満足そうにアルナは手を振り部屋を出ていった。
「俺達も行きましょうか」
「うぅ~、はい」
俺はリアナの手を取り最終日となる聖都の観光をするため大聖堂から出ていった。
大聖堂を出てまずはカレンに教えて貰ったガルフと言うドワーフに会いに行くことにした、徒歩で行くにはそこそこ時間がかかるため馬車を出してもらい目的地に向かう。
「テンリ様、この目的地には何があるのですか?」
リアナは首を傾げながら聞いてくる、プレゼントの事でカレンにこの場所を教えて貰った、なので何かしらの装飾品を取り扱っている店だと思うけど。
「明日にはお互い国に帰らないといけないのでリアナとアルナに何かプレゼントしようと思いまして、それで悩んでいたらカレン母様にこの場所を教えてもらったんです、ガルフ=ゴートンと言う名のドワーフがいるそうです」
「ガルフ=ゴートン!それって世界最高の鍛治師と言われている方ですよ!」
「そうなんですか?」
「はい、鍛治だけでなく装飾品でも世界最高峰で有名です」
「凄い方なんですね」
「そうなんです、ただかなり気難しい方らしく気に入った方にしか販売していないそうです、態度の悪いお客様が来たときは殴って追い返す程だとか」
カレンに勧められたので向かったはいいがまさかそんな大変そうな相手だとは、もっと話を聞いてから行くかどうかを決めるべきだった、意気込んだものの二人にプレゼントを渡せなかったらカッコ悪いな。
目的地につき俺とリアナは建物を見上げる。
「あの、ここであっているのでしょうか?」
「地図では間違いなくここになっているんですが」
「カレン様が場所を間違えて教えたなんて事は?」
「ないと思います」
俺もリアナもどうしたものかと立ち尽くしてしまう、なにせ余りにも外観がボロボロなのだ。
「・・・とりあえず俺だけで入ってみますね」
「いえ、私もお供します」
扉が外れているので警戒しながら中を覗く。
「こんにちはー」
返事がない。
「誰かいませんかー?」
やっぱり返事がない、リアナが言ったようにやはりカレンが間違えたのだろうか?
建物の中に入りもう一度声をかける。
「あのー」
「うるっせぇー!」
いきなりの怒鳴り声に俺もリアナも驚き声のする方に顔を向ける。
「人が気持ちよく寝てるのに誰だ!」
現れたのは背が低いが身体がガッチリしている頑固そうな顔をしたドワーフだ。
「あの、あなたがガルフさんですか?」
「んぁ?子供?俺は確かにガルフだが、お前らは誰だ?」
「テンリです」
「リアナと言います」
「テンリにリアナか、で、嬢ちゃん二人が俺に何のようだ?」
「あの、俺は男です」
「んぁ?そうなのか、女みたいな顔をしてるからわからなかったぜ、わりぃな」
「かまいません、えっとそれで今日ここに来たのは、彼女ともう一人の女の子にプレゼントをしようと悩んでいたら母様にここを薦められまして、アクセサリーを見せていただこうかと」
「わりぃがアクセサリーに限らず商品は一個も置いてないぞ」
「そうなんですか?」
「昔はいろいろ作って店に出してたが今はやってねぇ、それに子供に払えるほど安いもんでもねぇ、仮に払えたとしても今はそこいらの奴等に売る気も作る気もねぇがな、例え貴族や王族の頼みでも俺が気にくわなきゃお断りだ」
道中リアナに話を聞いた通りかなり気難しい相手のようだ、そこでカレンに渡されていた木の板の事を思い出す。
「あの、これを」
「んぁ?なん!?おい、坊主お前これどうした!?」
「母様にこれを見せると良くしてくれると」
「母親の名前は」
「カレンです」
「かぁー、もっと早く言いやがれ、そうか坊主はカレン嬢ちゃんの子供か」
「母様の事知ってるんですか?」
「勿論よ、カレン嬢ちゃんがちっこい時から知ってるぞ」
ガルフは先程までの面倒くさそうな態度から一転し上機嫌で俺の背中をバシバシ叩く、かなり痛い。
「坊主はそっちの嬢ちゃんともう一人の女にプレゼントをやりたいんだな、なんだ両方恋人か?」
「えっと、二人とも婚約者です」
「かぁー、その年で婚約者が二人か」
ガルフはニヤニヤと笑いながらまた背中をバシバシ叩く。
「なぁ坊主、俺が作るのでも構わねぇがせっかくのプレゼントだ、坊主の手作りなんてのもいいんじゃないか?作り方なら俺が教えてやるからよ」
手作りのプレゼントか、だけど上手く出来るかわからないし、やっぱりここはプロに任せた方がいいのでは?
「嬢ちゃんはどうだ?」
「是非テンリ様の手作りが良いです!」
ガルフの提案に目をキラキラさせるリアナ、俺はその目を見て断る事が出来ずに手作りすることになった。
ガルフに案内され裏手側から外に出るとすぐ側に小屋が建っていた。
「あそこが俺の工房だ」
小屋の中に案内されるといろいろな道具が置いてある、先程のボロボロな外観の建物とは違いこちらはかなりしっかりしている。
作る前にどんな物がいいかリアナに聞いたら指輪が欲しいと言われガルフには指輪を作るための道具や作業行程を教えてもらった。
「それじゃ始めるぞ」
「よろしくお願いします」
「おうよ」
ガルフに教えてもらいながら俺は作業をこなしていき1つ目の指輪を完成させた。
「なぁ坊主、こういう作業初めてか?」
「はい、どこか変なところがありますか?」
ガルフの言葉に不安になる。
「いや、完璧だ、シンプルなデザインではあるがここまでの物を作れるとは」
ガルフの御墨付きがもらえ安心だ。
そして更に二つの指輪を完成させる。
「どうでしょうか?」
「完璧だ、ところで指輪は二つで良かったんじゃなかったか?全部で三つあるが」
「もう一人渡す人がいたのを思い出しまして」
リアナとアルナに渡すのは当然だがもう1つはアトレイアの分だ、2人に渡してアトレイアの分がないと後で怒りそうだからな。
「そうか、なぁ坊主、俺の弟子にならないか?お前には才能がある」
「弟子、ですか?」
「あぁ、俺には天才と言われた弟子が何人かいた、確かに天才と言われる程才能に溢れ努力も惜しまない奴等だった、今ではそれなりに有名だ、まぁ俺には遠く及ばないがな」
何気にガルフ自身の自慢も入ってる。
「だがお前はそんな奴等よりも遥かに才能がある、もしかしたらこの俺を越えるかもしれん、どうだ、俺の弟子にならないか?」
ここまで真剣に誘ってもらいありがたい話だ、しかし俺には冒険者にるという夢がある。
「お誘いありがとうございます、ですが俺には冒険者になる夢があります、それに明日には国に帰らないと行けないので」
「そうか、惜しいな、今の段階でこれ程の物が作れるんだ、本格的に学べば相当な腕になるだろうに」
ガルフは残念そうな顔をしている。
「まぁ無理強いはいけねぇからな、だがもしも本格的に学びたくなったら何時でもきな、歓迎するぜ」
「ありがとうございます」
「んじゃ最後の仕上げと行くか」
ん?指輪ってこれで完成ではないのか?
俺が不思議そうな顔をしているとガルフはテーブルに布を敷きその上に三つの指輪をのせる、布には魔方陣が書き込まれていた。
「これは?」
「最後にこの指輪に魔法を付与するんだ、指輪の大きさを変えれるようにな、やってみるか?」
「はい、どうすればいいですか?」
「その布に魔力を込めろ、そうすりゃ後は魔方陣が起動して勝手に付与してくれるから」
魔力を込めるってどうすればいいんだ?とりあえず布に手を向け念じてみる、すると魔方陣が光だし少ししてから光が消えた。
「これで完成?」
「あぁ完成だ」
どうやら無事に指輪が完成したようだ。
「リアナ出来ました!受け取ってください」
「はい」
俺はリアナの手を取り指輪をはめる。
「どうですか?」
「とても嬉しいです、テンリ様ありがとうございます」
嬉しそうに指輪を眺めるリアナを見て安心する、なにせ指輪を作っている最中ずっと待たせてしまっていたのだ。
「だいぶ待たせてしまいました、暇でしたよね」
「いえ、指輪を真剣に作っているテンリ様を見ていたので楽しかったです」
「まったく、見せつけてくれるじゃねぇか」
ガルフは笑いながら俺達を祝福してくれる。
「そうだ、あの、ガルフさんお代の方は?」
「今日はお前達に会えて満足だからよ、気にするな」
「ですが」
「いいか坊主、好意は素直に受け取っとくもんだ」
「わかりました、ガルフさん今日はいろいろとありがとうございました」
「ありがとうございます」
「おぅ、また来いよ」
お礼を言いガルフの工房を後にした。
「とても素敵な方でしたね」
「そうだね、教え方も上手だったし、帰ったらカレン母様にお礼を言わないと」
そこでお腹がキューとなった、リアナを見ると顔が真っ赤だ、今日はほとんどの時間を指輪作りに使いお昼も抜く程集中していた、リアナもずっとそれに付き合ってくれていたためお昼を食べていない。
「俺もお腹が空きましたし急いで帰りましょう」
俺とリアナは急いでホテルに帰った。
「そうか、そんな事があったのか」
カロンは顎に手をあて頷く、食事を終えた俺達は広間に集まり今日の出来事を話している。
「それにしてもガルフか、世界最高峰の腕を持つ人物ではあるんだが、かなり癖が強く人付き合いが大嫌いで有名なんだがな、そんな相手によく気に入られたものだ」
アガレスは感心しながら答えた。
「これもカレン母様のお陰です、ありがとうございました」
「可愛い息子の為だもの気にしなくてもいいわよ」
俺はカレンから借りていた木の板を返そうと取り出す。
「それはテンリにあげる」
「いいんですか」
「えぇ」
「ありがとうございます、ところでこれっていったいなんなんですか?」
「世界樹の木で出来た証明書みたいな物よ、マネスキヤ共和国が運営するお店で出せばどこでも融通してくれるからもし機会があれば使ってみなさい」
「はい」
今はまだ使う予定はないけど冒険者になって家を出たらとても便利そうだ。
「それにしてもあのガルフに弟子入りを進められるとは、ガルフに弟子入りをしようと各大陸から大勢の者達が集まったがその中でも弟子を取ったのは数名だけだったそうだ、その内の2人は今や全大陸の国々に店があるほど有名だ」
ロレンスは驚きながら答える。この人は何で当たり前のようにここに要るのだろう、忙しい身のはずでは?いや、深く考えるのはやめておこう。
その後男性陣は酒を飲みながら愚痴をこぼし女性陣はリアナに指輪を見せてもらいながらキャキャと騒いでいる。
「そろそろ部屋に戻ります」
「あ、私も」
俺が立ち上がるとリアナはすぐに隣に来た。
「おやすみなさい」
「皆さんおやすみなさい」
俺とリアナは広間を出て自分達の部屋に向かう。
「あの、よければもう少しお話しませんか」
「いいですよ、では俺の部屋に行きましょうか」
「はい」
俺はリアナと部屋に入る。
「今日は一日指輪作りに時間とられてごめんね」
「謝らないでください、それに私達の為に一生懸命作ってくれてありがとうございます」
「まともな物が出来て良かったよ」
「大切にしますね」
「うん、そうしてくれると嬉しい、か、な」
あれ、物凄く瞼が重い。
「テンリ様大丈夫ですか?」
「うん、だい、じょうぶ、だよ」
どうやらかなり疲れていたようだ、俺の意識が遠いていく中リアナは優しく頭を撫でてくれた。
「テンリ様、おやすみなさい」
リアナの手はとても安心でき心地の良いものでそのまま眠ってしまった。
朝起きると目の前にリアナの顔がる、とても幸せそうな顔だ。
今更驚きも焦りもなくあるのは安心感だ。
「リアナ」
名前を呼びそっと頬に手を添える。
昨日は2人で話してる最中に俺が寝ちゃたんだっけ、リアナもそのまま寝てしまったんだろう、今回は母様達が関与していない、見つかればきっとからかわれるな、関与していようがしていまいがあの人達にはからかわれるけど。
今日でリアナとアルナとお別れだ、当分会えなくなるのか、それを考えると寂しい。
リアナをギュッと抱き締める、するとギュッと抱き締め返された。
「ひょとして、起きる?」
「はい、おはようございます」
「お、おはよう」
まさか起きていたなんて、驚いて心臓がバクバクしてる、恥ずかしく起き上がろうとするとリアナと腕に力がはいる。
「もう少しだけこのままで」
「うん」
そのまま数分ほどしてリアナは起き上がった。
「俺が寝た後リアナもそのまま寝ちゃたんだ」
「えっと、テンリ様が手をずっと握っていたので」
「えっ!」
つまり今回の原因は俺か。
「ついに私達が何もしなくても同衾するようになったわね」
「テンリちゃん大胆」
「孫の顔が早そうで何よりです」
例の如く母親達は扉を少しだけ開けニヤニヤと笑いながら話をする。
「わ、私、き、着替えてきます」
リアナは母親達の覗きに顔を赤らめ部屋を出ていこうと起き上がる。
「ちょっ、リアナまっ、あ!」
しかし布団に引っ掛かりリアナはテンリを押し倒すような形でベッドに倒れこんでしまう。
「ご、ごめんなさいテンリ様!」
「だ、大丈夫です」
先程までと違い母親達に見られているとわかった状態で間近に迫ったお互いの顔に恥ずかしくなる。
「あらあら、今度はリアナが自らテンリを押し倒したわ」
「リアナちゃんも大胆になったんだね」
「孫は何人できるのかしら」
母親達の言葉でリアナの顔が真っ赤になり勢い良く部屋から飛び出していった、それを見送った母親達は良いものが見れたと笑いながら扉の前を去っていった。
広間ではカロン以外の皆がニヤニヤしている。
「テンリ、リアナ、今更ではあるが婚約したとはいえ、もう少し落ち着いた行動をしなさい」
「「はい」」
カロンはそれだけを言いため息を吐く。
「仕方がないわ、なにせテンリがリアナを離さなかったんだから」
「ラブラブだもんね~」
「仲睦まじくて良いことです」
カレン、タリア、エリンの順に茶化してくる。
このままでは部が悪いと判断し荷物を纏めるからとリアナとこの場を逃げ出す。
そして聖徒を離れる前に教皇であるステーラと聖女で婚約者でもあるアルナに挨拶をするため皆で大聖堂に来ていた。
「皆様おはようございます」
「おはようございます」
ステーラとアルナは挨拶しそれぞれ言葉を交わしていく。
俺とリアナは区切りがついたのを見計らいアルナの側に向かった。
「アルナ」
「テンリ様、リアナ様」
とても慎ましやかな動作に気品に満ちた笑顔、いわゆる聖女モードだ。
「お二人共今から国にお帰りになるんですね、私はテンリ様の婚約者になれましたがお二人とあまり一緒に過ごせず残念です」
アルナは本当に残念そうな顔をしている。
「アルナに受け取って欲しいものがあるんだ」
「受け取って欲しい物ですか、なんでしょう?」
俺はアルナの手を取りそっと指輪をはめた。
「え、これって」
「俺からのプレゼントだよ、一から作ってみたんだけど」
「え!」
アルナは驚いた顔をする。
「気に入らなかった?」
俺は少し不安になり聞いてみればアルナは凄い勢いで首を横に降った。
「あ、ありがとうございます」
アルナは少し恥ずかしそうにしながらもとても良い笑顔そしていた。
「受け取って貰えてよかったよ」
「大切にします」
アルナはおもいっきりテンリに抱き付きそのまま唇にキスをする、そしてその光景を見た人達から生暖かい目で見られた。
この場にいるのはテンリ、リアナ、アルナの婚約を知っている人物だけなので問題はないが婚約発表もしていない段階でこのような事が知られたらきっと問題になっただろう。
満足したのか離れたアルナは少し顔を赤くしていた、そしてこの後リアナが母様達に煽られ暴走する一幕もあった。
「思えばあっという間だったな」
「はい、次に会えるのを楽しみにしています」
「私達と会えなくて寂しくても浮気しないようにね」
笑いながら最後に軽く話し俺はリアナとアルナを思い切り抱き締める。
「それじゃ、またね」
こうして自分達の国に帰るため聖都を出発した。
これで聖都での話は終わりです。
もうそろそろ戦うシーンが出てくる予定です。




