83.保護中
その日は、父ちゃんと姉ちゃんと三人で、叔母さんの家に泊めてもらった。
急に人数が増えたから、叔母さんは出前を取ってくれた。
食欲はなかったが、祖父ちゃんに「しっかり食べて体力をつけないと、暫くゴタゴタするから乗り切れんぞ」と言われて、取敢えず口に入れた。
何を食べたのか記憶にない。
父ちゃんは、オカンの実家に電話して「笑美華が逮捕されました。詳しい話をしたいのでお越しください」と、だけ言って切っていた。
オカンの実家から折り返し掛かってきても、「帝都に着いてから、携帯に連絡下さい」だけ言って、ガチャ切り。
祖父ちゃんが、父方の親戚にも連絡して、夕方には首都圏に住んでいる叔父さんたちが、愛子叔母さんの家に集合した。
父ちゃんと父方の親戚は、大人だけで夜遅くまで相談していた。
連休最終日の月曜日。
父ちゃんは、警察とか色々用事で、朝から出掛けている。
姉ちゃんは、従姉兄に色々聞かれて、ちょっと興奮気味に熱く語っていた。
これまでのこと、昨日のこと、これからどうしたいか。
「刑務所に入ってる間に、内緒で引越して縁切るの!」
「ニュースでよく見るけど、初犯だったら執行猶予付いて、刑務所入らないかもよ?」
「あー……そっかー……じゃあ、追い出して、実家に帰らせて、その間に引越す!」
「笑美華伯母さんと一緒に、あっちの親戚も縁切るの?」
「うん、だってそうしないと、セットだもん」
「だよな。寿一伯父さんが離婚したら、俺らは関係なくなるけど、そっちはそうだよな」
俺は、その遣り取りをぼんやり眺めていた。
気が抜けたのか、何もする気が起きない。
腕環は着けっぱなしだったが、魔力モードだからか、全く疲れていない。
袖の上からそっと腕環に触れる。
何かの……いや、デーレヴォの気配に安心する。
体力モードでも魔力モードでも、腕環の中にいる時の気配は同じだった。




