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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第11章.決着

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78.離婚届

 狼狽(うろた)えて、何とか誤魔化そうとするオカンに、父ちゃんは一枚の紙を突きつけた。


 離婚届


 「家族全員のDNA鑑定をする。子供たちをどうするかは、その結果で決める」

 「ちょ……オヤジ、マジかよッ?」

 クソ兄貴が腰を浮かす。


 「お前はもう、二十歳越えてるから、関係ない」

 父ちゃんは、養育費的な意味で言ったんだと思うが、クソ兄貴は、何を勘違いしたのか、ホッとした顔で座り直した。


 もし、俺が父ちゃんの子じゃなかったら……


 新聞屋でも、児童養護施設でもいい。オカンの居ない所へ行かせて欲しい。


 「使い込んだ生活費と貯金の弁済、お前のせいで発生して、私が立替えた賠償金等の返還、慰謝料については、連休明けに弁護士に……」

 「慰謝料? 幾らくれるの? 弁護士代はあんたが出しなさいよ」

 父ちゃんを遮って、オカンはニヤニヤしながら言った。


 「何を言ってるんだ? お前が私に支払うんだぞ?」

 「は? 頭オカシイの? 何で女の私が、あんたみたいな不細工な男に払うのよ!」

 オカンは、取り(つくろ)いもせず、本音をぶちまけた。


 「私の若くて一番キレイな時代を食い潰した癖に! 仕事仕事で家事も育児も丸投げだったじゃない! そっちこそ、慰謝料払いなさいよ! ATMの分際で、生意気な!」


 「お前は、家事も育児も俺の両親に丸投げで、母さんが病気になった時も、介護しないで、いびって追い出したじゃないか」

 祖父ちゃんと祖母ちゃんが、愛子叔母さんの家に引越したのって、オカンのせいだったのか。


 逆ギレで(わめ)き散らすオカンに対して、父ちゃんは冷静に話している。

 「尼崎譲(あまがさきじょう)西九条健(にしくじょうけん)今津光星(いまづこうせい)西宮龍輝(にしのみやりゅうき)北口玲(きたぐちれい)大物陽紀(だいもつようき)野田龍寿(のだりゅうじゅ)。お前の結婚後から今までの交際相手七人で間違いないな?」


 「あらあら、懐かしい名前ね~。みんな元気かしら~」

 父ちゃんがリストを読み上げると、オカンは父ちゃんを睨みつけながら笑った。


 七人って……龍寿だけじゃなかったのかよ……プロの探偵スゲー……


 「以前、キャバ嬢の営業トークを真に受けた部下を笑ったことがあるが、俺も同じだった。お前の正体を見抜けなかった。もっと早くに気付いていれば……」

 「ふっふふっ……今頃気付いたの? 鈍感よねー。元々、あんたみたいなつまんない男、好きでも何でもないのよ。金がなかったら、もっと早くこっちから切ってたの! 今まであんたに不釣り合いな美人の妻を自慢できて、イイ思いしてきたんでしょ? 所詮(しょせん)は見合いなんだから、愛なんていらないじゃない。お互いスペックだけで選んだのに、たかが浮気くらいで、離婚だ慰謝料だって大騒ぎして、バッカみたい。ちょっと頭冷やしなさいよ」


 バカって言う奴がバカの法則発動。

 ここまで酷いと、何か変な笑いが込み上げて来て、別な意味で辛い。

 笑ってはいけない離婚協議。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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