64.母帰宅
作戦開始から八日目の月曜。
朝十時頃目が覚めた。
祝日でよかった。
姉ちゃんは、既にバイト先に行った後だ。
机の上に栄養ドリンクが三本。
寝過ぎで背中が痛い。一本飲んで、重い体に活を入れ、台所に降りる。
ご飯に大根とワカメの味噌汁をかけて掻きこむ。
食器を洗う気力もなく、洗い桶に沈める。牛乳を飲み、更に水も飲んで、トイレに行った。起きた時に水分を多めに摂っておかないと、脱水で死にそうだ。
壁に手をつき、重い足を何とか持ち上げて、自室に戻った。
三時過ぎに起きて、義務的に昼食を摂る。
栄養ドリンクとご飯と味噌汁、朝食として冷蔵庫に用意されていた目玉焼きとサラダを口に入れて、すぐ寝に戻った。
次に目が覚めた時、部屋には姉ちゃんが居た。パソコンに向かって何か作業をしている。
「ねえちゃ……」
「しーッ!」
姉ちゃんは、すごい勢いで振り向いて、俺を黙らせた。俺をディスプレイの前に引っ張って、テキストに文字を綴る。
お母さんとお兄ちゃんが帰ってる。
お兄ちゃんは自分の部屋。
腕環はあんたの鞄の中。
俺は、テキストに目を走らせ、一文毎に頷いた。姉ちゃんは、俺の顔を見てひとつ頷くと、テキストを保存せずに終了した。
俺は、最後の栄養剤を飲んでトイレに降りた。
オカンは、どうやら風呂に入っているらしい。
今日は何もしないで寝てただけだし、もういい。このまま寝る。




