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碩学の無能力者  作者: 髙津 央
第08章.作戦

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56.不明点

 父ちゃん、オカンの浮気と無駄遣いがわかったら、離婚して追い出してくれるよな?

 クソ兄貴が不良大学生だってわかったら、大学中退させて働かせるか、家から追い出してくれるよな?

 あいつら、借金返すどころか増やしてるから、父ちゃんにとっても敵だよな?


 「可愛いから許す!」なんて脳内お花畑なこと言わないよな……


 まぁ父ちゃんは常識人だ。大丈夫。

 現在の状況を把握したら、あいつらと戦ってくれる。


 もしダメだったら……


 祖父ちゃんと愛子叔母さんにも説得してもらおう。背に腹は代えられない。


 それでも万が一、父ちゃんも敵に回るようなことになったら、家出しよう。その状況で家に居たら、姉ちゃんと俺は、オカンに殺される。

 どこか遠くの街で、新聞屋さんに雇ってもらって、住み込みの新聞奨学生になって、高校と大学に行かせてもらおう。


 作戦が失敗に終わっても、生き延びる手段があると気付いて、少しだけ気持ちに余裕ができた。特に大学は、家に居るより確実に行けそうだ。

 姉ちゃんは、しっかりしているから、大丈夫だ。(むし)ろ、俺が足手まといになっている。


 じゃあ、父ちゃんが俺たちの味方になってくれた場合は、どうだろう。


 離婚の慰謝料って、誰が幾ら払うもんなんだ?

 オカンの借金ってどうなるんだ?

 ブランド服とか売れば、少しは回収できるかもだけど、所詮(しょせん)は古着だしなぁ。


 金のことは色々心配だけど、少なくとも「幸助」に改名はできるな。

 父ちゃんは、俺たちの名前を嫌がっていて呼ばない。

 クソ兄貴に対しては、万引きで愛想を尽かしてるみたいで、無視。姉ちゃんは「お姉ちゃん」俺は「坊主」と呼ばれてる。


 二人が出ていけば、音の暴力でご近所に迷惑を掛けることもなくなる。

 須磨家との交流も解禁されて、俺と姉ちゃんは普通に友達を作れるようになる。

 今更だけど塩屋さんに事情を話して謝って、俺が「付き合って下さい」って言うことも可能になる。


 デーレヴォは……


 いつまでウチに居られるんだろう?

 全てが終わったら、自力で占い師の爺さんの所に帰っちゃうって……「全て」って何がどうなれば、終わったことになるんだ?

 離婚だけでも、モメたら何年もグダグダするかもしれない。ホントに何年も借りたままでいいのか? 爺さんに中間報告くらいは、した方がいいよな?


 わからない事が多過ぎる。


 自分が何を知るべきで、何をどう調べれば、それがわかるのか、わからない。

 何がわからないのか、知るべきなのに知らないことが何なのかさえ分からない。


 俺ってホントに無知なんだな。


 姉ちゃんは、俺よりずっと物知りだ。色んな本を読んでるからか、バイトで社会経験を積んでるから、なのか。


 俺も魔術の本ばかり読んでないで、もっと色んなジャンルの本も読まなきゃな。

 でも、どんな本を読めばいいんだろう。


 何を読んで、どんな知識を身に着ければいいのか、わからない。


 「今は知らない事、知りたい事、興味を持った事をどんどん調べて……」

 占い師の爺さんの言葉を思い出した。


 何を知らないのかは、わからない。


 今、知りたいのは【離婚】について。

 どういう場合に離婚できるのか、どこでどういう手続きをするのか、金は幾ら掛かるのか、慰謝料って?

 離婚したら、子供や家や借金はどうなるんだ?


 モデムのコードを伸ばしてノーパソをベッドに持ち込む。

 寝そべって電源を入れ、燃える赤狐のブラウザを起ち上げ、検索窓に「離婚」と入力する。


 何故か、Enterを押す手が震えた。一瞬で数百万件の検索結果が出る。

 俺は次々とタブを開いていった。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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野茨の血族」 巴君のその後。
虚ろな器」 高校生になった友田君が登場。
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